3月号画像
A5判・210頁・全頁2色刷
(表紙/上村淳之画伯・文化功労者)
2015年3月号の主な内容 (Vol.488)

[今月号の特集]

イスラム国の人質脅迫、さらに惨殺に仏教者は何を問うか
我々はイスラムをいかに理解しているだろうか。日本人全体がテロの標的とされた今、イスラム国問題はもはや対岸の火事ではない。日本の仏教者はこの問題にどう答えられるか。釋徹宗師をはじめ識者住職に尋ね、日本に暮らす日本人ムスリムたちと、ムスリムに土葬墓地を提供している山梨県の曹洞宗文殊院に現状や諸問題を聞いた。


宗務総長の代表役員登記が済んでもなお罷免された元住職が提訴し得たわけ
名古屋市昭和区八事の高野山真言宗別格本山興正寺の問題で宗門行政が揺さぶられている。この1月、法務局はついに代表役員名を元住職から宗派の特任住職(宗務総長)に変更登記を完了させた。しかし、元住職は再び自らの地位の正当性を求めて裁判に訴えたのだ。さらにはこの間、元住職は代表役員として堂々と様々に興正寺の事業を進めている。元住職による寺有地巨額売却の不正に端を発した罷免問題が混迷を深めている前代未聞。



未だ日本に還れぬ戦没者百万余柱とお寺に残されたままの朝鮮人遺骨はどうなる
戦後70年を迎える今夏を前に、戦後処理の問題が様々に浮上している。未だ約113万柱が海外に残る日本人戦没者の遺骨、さらに仏教界もその調査に尽力した日本国内のお寺などに残された朝鮮半島出身者の遺骨問題だ。その現状と、何が障害か。本当に故郷に還せるのか。政府の責任も問われる。



公立大学で起こった卒業証書に西暦表記をするな裁判
マスコミの多くはもちろんだが最近は行政などの公文書にも西暦が使われ始めている。しかし本来、西暦はキリスト教の暦のはずである。これがもとで今、信教の自由を侵害されたとする裁判が争われているのだ。その詳細をレポートする。



道に迷った人しか来なかった極貧寺を琵琶で見事に立て直した壮絶なる住職道
お寺への1300メートルもの山道を40年かけて住職の独力で開いたといえば遠い昔話にも聞こえるが、まさに今のことだから驚嘆する。しかも檀家3軒の極貧寺に若くして飛び込み、今では琵琶説法が大人気なのだ。神奈川県は箱根の浄土宗阿弥陀寺の水野賢世住職の文字通り壮絶なる人生ドキュメント。



お斎(お寺での食事)こそ檀信徒の心をとらえる実践寺院ルポ
お斎をやめるお寺が増えているようだ。だが有り難いお説教も大事だが、その後の飲食は参拝者の最大の楽しみだったはずである。それを今もなお日々、様々な工夫でお斎を続ける新潟県日蓮宗顕法寺、真宗大谷派長徳寺、福岡県・浄土真宗本願寺派正行寺、岐阜県・浄土真宗本願寺派神通寺、茨城県・曹洞宗医王寺を取材した。



一枚の紙から仏様が作れる切り紙を学ぼう
お子さんが折り紙で作った仏様などがお仏壇に飾ってあるのを見たことがあるが、「切り紙」でも仏様が作れるという。これをすすめている本があるのだ。上河内美和さんが著した『仏像の切り紙』がそれ。身近にある道具で誰でもやさしく作れるそうだ。その思いと作り方入門を解説しよう。



新連載 カウンセラー報告〔1〕僧侶であることの危機を乗り越えて…富田富士也(教育・心理カウンセラー)―僧侶に向かないと思い悩んでいるお寺の子供らのホンネを聞いて…
お寺に生まれて住職の後継者として期待され、育てられた子供たちに、自信喪失や引きこもり、コミュニケーション下手が少なくないという。そんなとき親やお寺の家族はどうすればいいのか。カウンセラーである筆者が、お寺や寺族の中で苦悩する青年僧侶のホンネを聞いた。



お墓に対する実態調査の結果から分かる顕著な変化〔2〕…槇村久子(京都女子大学宗教・文化研究所)―現代人のライフスタイルに寺院墓地は生き残れるのか
墓地を運営する寺院にとってその墓の後継ぎがいなくなることが一番の問題だろう。これまで想定していなかった墓地の個人化や無縁化、流動化の中で寺院がどのように対応していけばよいかは、日本の社会状況の大きな変化に答えがあると提言する。



人口減少社会に宗教は、寺院はどうなるのか〔2〕…川又俊則(鈴鹿短期大学教授/宗教社会学者)―会社をやめた高齢出家者が過疎地のお寺を救うか
少子高齢化は住職の世界にも影を落とすようになっている。目下、この対策として目立つのが、会社勤めを終えた後にお寺に入るケースだ。寺院生まれだけでなく在家の高齢出家も注目されている。気鋭の宗教社会学者が三重県で実際に住職となった4人に取材し、その現況を考察する。




激変する葬送にいかに対処すればよいか!? 〔18〕…内藤理恵子(宗教学者)
「いまお墓よりも新たな位牌が注目されている訳」




住職も知るべき認知症との向き合い方〔3〕…杉山孝博(公益社団法人認知症の人と家族の会副代表理事/川崎幸クリニック院長)
「徘徊や失禁や弄便さらに入浴を拒否されても落ち着いて対応するために」




好評連載 宗派そして宗派の最高議決機関で論議されていることは寺院や住職のためなのか、チェックしよう
【真言宗豊山派】仏教語「声明」が僧侶によって商標登録されてしまった大問題
【浄土真宗本願寺派】原発事故によって被害を受けた寺院の仏具に対する補償について東電が出した酷い回答
【真宗佛光寺派】宗派初の宗勢調査で分かった寺院と門徒の驚くべき現状と課題




[寺院・住職に直言提言]
吉増剛造 (詩人) … 「釈尊の足裏―サーンチーのStupa―」
萩原朔美 (エッセイスト/映像作家) … 「お寺が掲げる豊かな文字たち」




[ショートルポ]
●和歌山小5殺人事件の容疑者逮捕で高野山真言宗への衝撃●東日本大震災で全壊した岩手県大槌町曹洞宗江岸寺の墓地復興事業で住職があえて檀家2人を提訴した真相●最新3Dプリンターを使ってご本尊を守る島根県・臨済宗東福寺派清泰寺の防災防犯対策





 [好評連載]

 初めての人に仏教を説くために 最新版仏教文化基礎講座〔47〕
 「提婆達多の不行状に対して釈尊はいかに教誡したか」
  鈴木隆泰
(山口県立大学教授)


 現代日本の宗教最前線の状況と問題〔28〕
 「なぜ韓国は今になって従軍慰安婦問題を厳しく問うのか」
  櫻井義秀
(北海道大学教授/宗教社会学者)


 秘められた祈りの形講座〔112〕
 「670年前に68カ寺も建立された安国寺とは何か。その存亡の行方は?」
  豊嶋泰國
(宗教民俗研究者)


 今にいたる中世の寺院・僧侶や在家その実像〔127〕
「僧侶が天皇に法会報告書『巻数』を出していた訳。その知られざる史実が明らかになった」
  井原今朝男 (国立歴史民俗博物館名誉教授・総合研究大学院大学名誉教授)


 寺院と僧侶と檀家の近世史実〔9〕
 「徳川家康が仏教教団を体制に封じ込めた寺院法度の実際」
  圭室文雄
(明治大学名誉教授)


 つっぱり和尚骨山日記〔195〕
「今、私に何かあった時は家内には“身一つで寺をすぐ出るように”と常々言っております」
  髙橋芳照 (高野山真言宗住職)


 なんたって寺族の言い分ほんねの記〔149〕
 「疎外されたので『お経の会』を辞めると檀家に言われてしまった!」
  鏡島眞理子
(曹洞宗住職夫人)


 パーソナルブッディズム〔29〕
 「『快適さ』への隷属か『中道』の自由か」
  小池龍之介
(正現寺住職)


 誌上講座・未来の住職塾から寺院僧侶活性化対論〔9〕
 「寺院統廃合の時代が来る!?」
  松本紹圭
(『未来の住職塾』塾長)・ 井出悦郎 (『未来の住職塾』講師)


 今からの宗教酔眼千里眼〔17〕
 「日本人と現代仏教の位相(17)――自死防止に取り組む仏教者たち」
  島薗進
(上智大学教授・宗教学者)


 今こそ宗教と法律の問題新講座〔20〕
 「住職も知るべき相続の法的要件」
  櫻井圀郎
(宗教法および宗教経営研究所所長教授)


 70億人の宗教トレンド〔58〕
 「パリのイスラムテロで明らかにされた欧州の現実と、いま必要なこと」
  荒木重雄
(アジア社会研究者・社会環境学会理事長)


 いまさら師匠に聞けないこと〔39〕
 「袈裟を縫う会に通い始めて実感したこと」
  仙田陽高
(真言宗豊山派住職)


 色即是空の科学事始め〔106〕
 「宇宙が戦場になりかねない――はやぶさ2号の裏で進む宇宙軍拡路線」
  池内了
(総合研究大学院大学名誉教授・宇宙物理学者)


 仏教ことわざよもやま漫歩〔51〕
 「無明の闇」
  勝崎裕彦
(大正大学学長・浄土宗住職)


 住職のための今月のことば
 「イスラム国」
  稲垣真澄
(ジャーナリスト)


 法律相談… 本間久雄(弁護士)・ 橋口玲(弁護士)
質問1 夫の遺骨を合葬したいと後妻に頼まれ合葬したら子供が遺骨を返せと来たが、寺としてはどう対処すべきですか
質問2 参詣した車でお堂を壊されたが本人の謝罪がないまま後日保険社員だけが来た。精神的慰謝料を請求したいがおかしいですか


 税金相談… 実藤秀志(公認会計士・税理士)
質問1 朝の勤行と掃除を条件にお寺に泊まった観光客が勝手にお賽銭を投じますが課税されますか
質問2 住職引退後の備えに「個人型確定拠出年金」に入りたいが税務上のメリットを教えてください





[別冊付録](12ページ) ●毎号「法話特集」の別冊が付きます。



 お説教のタネ本「全力を振り絞ったアスリートにしか発せられない一言」


 在俗の説法者〔152〕 「イエローリボンを」
  篠原鋭一
(曹洞宗住職・自殺防止ネットワーク「風」代表)


 生きるとは何か〔56〕 「戦争なき世を願う」
  亀井鑛
(NHKEテレ「こころの時代」元司会者)


 スピリチュアルケア講座〔67〕 「妖怪ウォッチ」
  井上ウィマラ
(高野山大学教授)


 仏教儀礼入門〔155〕 「散華の作法を学ぶ」
  多田孝正
(天台学会元会長・大正大学名誉教授)


 そもそもお葬式セミナー〔143〕 「各宗派の故人を送る文――曹洞宗の引導法語」
  村越英裕
(臨済宗妙心寺派住職・イラストライター)


 法語伝道聖句三昧〔195〕 「ありのままの自分」
  田中治郎
(みち書房元代表)


 いまどきマンガ説法〔32〕 「蜘蛛の糸」
  佐々木正祥
(真宗佛光寺派住職)






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