9月号画像
A5判・212頁・全頁2色刷
(表紙/上村淳之画伯・文化功労者)
2016年9月号の主な内容 (Vol.506)

[今月号の特集]

四国霊場参拝者への妨害排除で札所住職を提訴した四国霊場会と住職の反論
一札所の住職が四国八十八ヶ所霊場全体を悩ませているという。事実、四国霊場会は同住職を提訴し、その裁判の結果次第では札所全体に亀裂が生じかねないのだ。すでに同住職は四国霊場会を脱会したと主張、同霊場会も札所剥奪を検討するという。本当なのか。現地ルポ。


ポケモンGOの襲来に各寺院はどう対処すべきか、問題はあるか
この夏、列島を騒がせた「ポケモンGO」。交通事故や歩きスマホの問題からネガティブな印象を持つ住職も多いだろうが、地域の観光振興に利用する案も出ている。で、このゲームはお寺にとっていいものなのか、悪いものなのか。宗門の対応と各寺院の取ったユニークな対応から分かる問題点とは何か。


納骨堂建立の融資金詐欺でお寺の境内地が競売される恐怖
広大な寺墓地をもつ愛媛県内の日蓮宗寺院に持ち込まれた納骨堂建立計画。その資金のために住職が境内地を担保に供した銀行から高額の融資金を得た途端、立案者が消え、境内地が競売にかけられる事態に。寺院は騙されたのか。



身寄りなき貧困者の葬儀を行政と寺院の連携で行う方法がある!
老齢の生活困窮者が増えている。「まともに葬儀もあげられない」という彼らの不安の声を汲み取ろうと、神奈川県横須賀市は生活困窮者の終活支援を始めた。これに地元寺院が協力。老齢独居者の葬儀を生前に決めるというきわめて興味深い試みを取材した。



仏像が大量に盗まれたのはなぜだ! 和歌山県連続仏像盗難大事件の教訓…大河内智之(和歌山県立博物館主査学芸員)
被害届だけでもわずか1年で60件、仏像170余体に及んだ。和歌山県下における仏像連続大量盗難事件である。これを目の当たりにした博物館学芸員の「事件はなぜ起きたのか」の詳細な分析と提言。



事故被害者の遺影を盗撮まがいで報道したテレビ局の法的責任
被害者の葬儀の場で遺影を勝手に撮影して報道したテレビ局が遺族から訴えられた。遺影の公開を望まぬ遺族は、静穏に故人を悼む権利を侵害されたと悲痛に訴える。葬儀に出仕し遺族と接することが多い住職も注目すべき裁判に、司法はいかなる判断を下したのか。



納骨堂兼永代供養墓の無許可販売でお寺が業者を訴えた波紋
新たに納骨堂を設置経営するには墓埋法上の許可を得る必要があるのは常識だ。ところが、金沢市の真宗大谷派寺院が経営主体となっている霊園では、無許可のまま新設、販売を始めてしまった。住職は霊園の管理会社に撤去を求めて裁判所に訴えた。なぜそんなことになったのか。



刑法学者が問う宗教判例批判! お寺の秘仏の写真を猥褻とした判決は正しかったか…原田保(愛知学院大学法科大学院教授)
一般に猥褻物と思われる物でも寺院にとっては信仰の対象や秘仏として祀られている場合がある。しかし、それがために住職が猥褻罪に問われた刑事裁判がある。その判決を検証すると、裁判官の宗教への無理解があるというのだ。



LINEは災害時の緊急連絡や布教にも有用なのか
地震や水害など緊急時の通信ツールをお寺は備えているだろうか。すでにSNSの有用性は多く語られているが、なかでも実際に熊本地震で役立ったというLINEの機能に注目。これを布教にも利用する住職もある。その活用法と注意点とは。



お寺で体操の会から育児相談会まで開く住職夫妻の大活躍
体操の会、筆を楽しむ会、手作り紙芝居、おむつなし育児、ヨガ教室、断食坐禅会。愛知県碧南市にある曹洞宗寺院では、これらのすべてを定期的に催し大盛況だ。18年にわたって無住だったお寺を近隣住民が絶え間なく訪れるまでに再建した住職の大奮闘を取材した。



いま注目のお寺が催す「カフェ」の成功の秘訣とは
ここ数年、お寺や僧侶が催す「○○カフェ」という取り組みが各地で大人気だ。お茶やお菓子を出すだけなのに、「お寺の敷居が低くなった」と、どのお寺も大好評。話題性も高い。なぜなのか。実践する数カ寺に取材した。



新連載(2)生老病死に向き合う僧侶に期待されるケア
人々の安心のため寺院ができる社会福祉とは何か…谷山洋三(東北大学大学院准教授)

寺院は宗教活動の組織だから社会福祉とは一線を画すべきだという声は仏教界に少なくない。とはいえ、そういう寺院でもその営みが社会福祉になっているケースは多い。それは仏教が救済を目的にしているからに他ならない。それでは今、寺院にいかなる社会福祉が求められているのか。



好評連載 激変する葬送にいかに対処すればよいか!? 〔35〕
「恐山のイタコに口寄せをしてもらって分かった話」…内藤理恵子(宗教学者)

イタコの口寄せ。多くの人が知っていることだろう。が、その実際を知る者はほとんどいない。噂話ばかりが一人歩きしているので、現地を訪ね、自ら口寄せしてもらった。そこで教えられたことは……。



地元新聞記者の寺院現況リポート〔18〕
「病院にお坊さんは来ないでほしいといわれる時代は終わりつつある」…桜井邦彦(中国新聞文化部記者)

医者による余命宣告が一般化するなかで、生と死に向き合う患者にとって苦悩を傾聴する僧侶への期待が高まっている。のみならず医療者もその思いは変わらない。それだけに宗派が開設するビハーラ病院の実践が注目されている。



好評連載 日日是薩婆訶(にちにちこれそわか)(13)
そのうちなんとかなるだろうといつも励ましてくれる……玄侑宗久(臨済宗妙心寺派福聚寺住職/作家)




障害者を快く迎えるお寺にしよう〔7〕
「知的障害者施設はなぜ襲われたか、その深層を問わねばならない」…野沢和弘(毎日新聞社論説委員)

7月26日未明、神奈川県の知的障害者入所施設で起きた大量殺害事件。事件の異常性ばかりが問われるがそれだけが問題ではない。犯人は「障害者は不幸を作ることしかできません」「安楽死できる世界です」と犯行に及んだという。その刃は現代社会に向けられている。



連載 寺院と僧侶と檀家の近世史実 〔26〕
「四国遍路の流行により弘法大師信仰が庶民に浸透した史実」…圭室文雄(明治大学名誉教授)

遠路泊まりがけで寺社巡拝をする者が増えたのが江戸期の特徴だ。その筆頭に挙げられるのが四国遍路。それによって宗派を超えて弘法大師信仰が定着したという。



連載 本当の創価学会問題 〔62〕
「創価学会が公称している会員827万世帯の実態数を検証する」…段勲(ジャーナリスト)




[寺院・住職に直言提言]
山根一眞 (ノンフィクション作家) … 「菩提寺との不思議な深い縁」
松井孝典 (千葉工業大学惑星探査研究センター所長) … 「科学と宗教の違いから分かること」




[ショートルポ]
●北海道の浄土真宗本願寺派江差別院の副輪番が門徒を裏切るお布施着服横領事件を起こしたのはなぜか●中京大学への寺有地売却収入138億円が消えた!? 名古屋市の高野山真言宗興正寺裁判続報●宗祖の名前を冠した「空海記念統合医療クリニック」構想の現状と発起人住職の熱い思い




好評連載 宗派そして宗派の最高議決機関で論議されていることは寺院や住職のためなのか、チェックしよう
【真言宗智山派】なぜいまになって宗門が「時局対策課」を新設したのか
【浄土宗】宗門が地方の『教区議会運営マニュアル』を作った本当の訳





初めての人に仏教を説くために 最新版仏教文化基礎講座〔65〕
「他人に悪しきことばをなぜ使ってはならないのか釈尊の教訓」…鈴木隆泰(山口県立大学教授)


 新刊告知 
 日本印度仏教学会賞受賞者・鈴木隆泰教授の本誌連載の単行本化第二弾『ここにしかない原典最新研究による本当の仏教 第2巻』(本体価格2,400円)が発売されました。第2巻は釈尊の説法で重要な女性の出家やアングリマーラの殺人、提婆達多の釈尊殺害計画の全貌が分かる内容。心の危機に釈尊は何を救いとしたのか、原典に学ぶ最良の教えを人生に活かしましょう。



住職のための今月のことば「プロとアマ」 …稲垣真澄(産経新聞元編集委員・ジャーナリスト・僧侶)

 既刊告知 
 稲垣真澄が現代社会に斬り込む本誌連載が単行本『いつでも法話ができる 現代布教キーワード 必ず説きたい176話』(本体価格2,900円)として発売されました。「TPP」「ゼロ葬・直葬・墓じまい」「ドローン」など現代を読み解くキーワード176を宗教、葬送、社会など14のジャンルに分け、キーワードごとに見開き2頁で編集。毎日起きる出来事や変化を素早く法話に織り込むためのヒントや説き方の実例集としても最適。







 [好評連載]

 今にいたる中世の寺院・僧侶や在家その実像〔145〕
「還暦を過ぎると村人は和尚になった……中世村落に浸透した菩提供養」
  井原今朝男 (国立歴史民俗博物館名誉教授・総合研究大学院大学名誉教授)


 秘められた祈りの形講座〔127〕
 「厨房守護神からあらゆる福徳の神となった大黒天の謎」
  豊嶋泰國
(宗教民俗研究者)


 今こそ宗教と法律の問題新講座〔32〕
 「寺院が行う『公益事業』とは何なのか」
  櫻井圀郎
(宗教法および宗教経営研究所長教授)


 色即是空の科学事始め〔124〕
 
 「陸上自衛隊の新エンブレムに日本の未来が危ぶまれる訳」
  池内了
(総合研究大学院大学名誉教授・宇宙物理学者)


 いまさら師匠に聞けないこと〔55〕
 「道元が会った中国僧のいう和椹とは何か」
  仙田陽高
(真言宗豊山派住職)


 現代日本の宗教最前線の状況と問題〔43〕
 
「世界を襲うテロに隠されている怒りと苛立ち」
  櫻井義秀
(北海道大学教授・宗教社会学者)


 誌上講座・未来の住職塾から寺院僧侶活性化対論〔27〕
 「寺業計画をお持ちですか(2)」
  松本紹圭
(『未来の住職塾』塾長)・ 井出悦郎 (『未来の住職塾』講師)


 今からの宗教酔眼千里眼〔35〕
 
「日本人と現代仏教の位相(35)――傾聴と寄り添いのあり方」
  島薗進
(上智大学教授・日本臨床宗教師会会長)


 70億人の宗教トレンド〔76〕
 「バングラデシュに援助している日本人なのになぜ殺戮されたのか!?」
  荒木重雄
(アジア社会研究者・社会環境学会理事長)


 古今東西名著万巻のススメ〔53〕
 「渋沢栄一『論語と算盤』を読む」
  芹川博通
(比較思想学会前会長・日本宗教学会評議員)


 仏教ことわざよもやま漫歩〔69〕
 「泥中の蓮」
  勝崎裕彦
(大正大学前学長・浄土宗住職)


 コラム 盆踊り全国漫遊記〔13〕
 「踊り念仏から盆踊りへの道程」
  柳田尚也
(湘南盆踊り研究会代表)


 法律相談… 平松和也(弁護士)・ 橋口玲(弁護士)
質問1 退職金規程がないまま前住職に退職金を出したら現住職の負債になるか
質問2 墓地の名義が二代前の住職の名義になっているが寺名義にできるか


 税金相談… 実藤秀志(公認会計士・税理士)
質問1 住職や坊守の介護のためにお寺をバリアフリー化する際の税務や補助金
質問2 住職が結成する政治団体に寺院や住職個人が寄付をする際の税務





[別冊付録](12ページ) ●毎号「法話特集」の別冊が付きます。



 お説教のタネ本「高齢者多数は『60代は再出発の時』と見る」


 在俗の説法者〔170〕 「家族を救った不登校」
  篠原鋭一
(曹洞宗住職・自殺防止ネットワーク「風」代表)


 生きるとは何か〔74〕 「貧福論の昔と今」
  亀井鑛
(NHKEテレ「こころの時代」元司会者)


 スピリチュアルケア講座〔85〕 「薬としての医者」
  井上ウィマラ
(高野山大学教授)


 露の団姫のお笑い仏教寄席〔16〕
 「尼さん憎けりゃ剃髪まで憎い!? それ、なんでや~」
  露の団姫
(つゆのまるこ、落語家)


 そもそもお葬式セミナー〔161〕 「一周忌にする法話」
  村越英裕
(臨済宗妙心寺派住職・イラストライター)


 法語伝道聖句三昧〔213〕 「一番難しいのは、人を赦すことですが、人が人を赦せなければ人間とは何なのでしょうか」
  渡邉照敬
(真言宗智山派住職)


 いまどきマンガ説法〔50〕 「うつむき族」
  佐々木正祥
(真宗佛光寺派住職)






Copyright (C) 2006-2016 kohzansha. All Rights Reserved.