2月号画像
A5判・212頁・全頁2色刷
(表紙/上村淳之画伯・文化功労者)
2017年2月号の主な内容 (Vol.511)

[今月号の特集]

厳しい社会情勢下で10宗派の予算は何を目指しているのか? 宗派予算の比較検証で分かる伝統仏教の危機
過疎地寺院対策に後継者育成、都市開教など宗派が取り組むべき課題は山積している。しかし人口減少期を迎え各寺院の檀信徒が活力を失えば、宗派の財源確保もままならなくなるだろう。こうした社会情勢を受けて各宗派の財政はどうなっているのか。予算編成内容を比較分析して分かったことは何か。


寺院施設妨害事件(1)納骨堂の申請が市民の陳情で不許可とされた今後も起こり得る重大事
滋賀県大津市を相手に浄土宗寺院が納骨堂の許可を争っている。大津市が条例と市民感情を盾にノーといえば、住職は「道路行政に協力した代替地での墓地申請に大津市は配慮すると約束したはず」と応酬。実はこの裁判は今後の墓地行政の方向性を見る上でも見逃せない。


寺院施設妨害事件(2)法規違反がなくても住民1500人が寺院建設反対を叫ぶ本音と住職の対処
日蓮正宗総本山大石寺塔中の住職が千葉県松戸市の新興住宅地で新寺建立を計画したところ地元住民が反対運動を起こした。実に1500人もの署名を集めて市当局に建設中止を訴えたのだ。住民は新寺院になぜ反対なのか。住職が開いた説明会ではお互いに歩み寄りも見られたのだが……。現地に取材した。



後見人制度を謀り高齢檀家の財産を奪った住職の手口と裁判の判決
判断能力の低下などで財産管理に不安を持つ人をサポートする成年後見制度。住職も知っておくべき制度だが、これをちらつかせながら長野県の浄土真宗本願寺派寺院の住職が高齢檀家の土地や財産を奪ったとんでもない事件があった。裁判で明らかになった住職の手口、そして司法の判決とは。



ITベンチャー企業にお寺が狙われている!?
「檀家管理システムを開発する」といわれ、IT企業にお寺が約800万円を送金したのに、企業は一切何も開発することなく消えた。高齢住職のお寺がIT企業に狙われる数多の被害実態がある。



高齢檀家も寺族も使いやすくなるお寺のリフォーム。その成功の秘訣
高齢社会や生活環境の変化の中、これまでのお寺の設備では追いつかないところがある。大改修とまではいかずとも、お寺の中で日常感じる不便な点をリフォームしたいと思うご住職は少なくないだろう。限られた予算で、リフォームに踏み切ったお寺はどこを優先し、成功したのか。6カ寺の実例を紹介しよう。



自治体の判断で古い伽藍の増改築も可能になる
指定文化財でなくても町屋や武家屋敷など歴史的価値のある建造物が、老朽化により取り壊されている現状がある。建築基準法のせいだ。このため、こうした建物の改築等には建築基準法を適用除外にし、建物の保存や維持をしやすくする条例を定める自治体が増えている。寺院にも朗報か。



境内に滝行場を作り檀家を倍増させた住職の気宇壮大
なんと境内に人工の滝行場を作った住職がいる。愛知県東海市の住宅街に建つ天台宗寺院だ。月1回の一般公開日には、多くの国内外の若者が滝行志願にやってくる。なぜ滝行場だったのか。そこには住職の壮大な夢のステップがあったのだ。



ビハーラ病棟の常勤僧による偽らざるリポート(1)
「臨死患者に日々向き合って僧侶に何ができるかを問う」…森田敬史(長岡西病院ビハーラ病棟常勤僧)

誰にも死は訪れる。そのとき何が必要なのか。日本仏教はこの命題に長いときをかけて応えようとしてきた。そして今、死と最も距離をおきたいはずの病院に僧侶が常駐する時代となった。9年にわたって終末期医療の現場に立つビハーラ僧が、その現況をあますところなく伝える。



葬送を怠る者や新たな葬法に法律(刑法)は機能し得るか(2)
「散骨や手元供養などの個人主義葬法に犯罪性はないのか」…原田保(愛知学院大学法科大学院教授)

肉親の遺骨を山海に撒く散骨について官庁が容認したとの報道が一人歩きしているが、これは捏造だという。しかし、この捏造報道の後は新たな葬法が様々に行われ既成事実化されている。こうした事態に対して刑法学者が鋭く問題提起する。



単身世帯が4割を超える社会での首都圏開教に求められる現実策…西原祐治(浄土真宗本願寺派西方寺住職、東京仏教学院講師)
一口に「都市開教」といっても、都市自体が目まぐるしく変わり続ける中で取り組み方も変わらざるをえない。自ら首都圏に新寺を建立し後進にそのノウハウを指南する住職が、その歩みと現実、そして将来予測される社会動向を見据えた上で首都圏開教のあるべき姿を展望する。



地元新聞記者の寺院現況リポート〔23〕
「敷居を低くしてお寺や仏法との縁づくりを企画する寺院僧侶に学ぶ」…桜井邦彦(中国新聞文化部記者)

何もしなければ檀家はもちろん近所の人もお寺へは来ない。だが、ひとたび、お寺が動き始めればお寺に目を向けてくれる人は現れるはずだ。それが1人でも2人でもいいと縁づくりを始め、今では大きな輪になっているお寺を取材した。



好評連載 激変する葬送にいかに対処すればよいか!?〔40〕
「今や葬儀は葬儀社の商品として消費されている」…内藤理恵子(宗教学者)

名古屋市の大手葬儀社に取材したところ、部外者にはおよそ知られることのない事態が進行していた。のみならず、今や葬儀は葬儀社にほぼコントロールされている事実が明らかになった。

 新刊告知 
 この連載を元にした単行本、内藤理恵子著『あなたの葬送は誰がしてくれるのか――激変する供養のカタチ』(本体価格2,900円)が発売されました。遺族・葬送・お墓参りと納骨・供養・終活など30項目にわたって葬儀や供養の激変を克明にリポートした本書は、読めば葬送を通じて寺院住職への期待が高まっていることがはっきりと分かります。



好評連載 日日是薩婆訶(にちにちこれそわか)(18)
「ウソだらけの情報社会だけれども志ある若い僧侶にエールを送りたい」……玄侑宗久(臨済宗妙心寺派福聚寺住職/作家)




障害者を快く迎えるお寺にしよう〔12〕
「障害者差別解消法が定めた『合理的配慮』の目的と意義と実際」…野沢和弘(毎日新聞社論説委員)

2016年4月に施行された障害者差別解消法には「合理的配慮」が義務化されている。あらゆる人々が暮らしやすい社会となるよう様々な機関に要請されていることだが、その実際とは……。



連載 寺院と僧侶と檀家の近世史実〔31〕
「江戸の庶民は大山不動に何を願い実際にご利益はあったのか」…圭室文雄(明治大学名誉教授)

檀家一軒一軒を巡りお札を配った御師によって、信仰の種がまかれた。けれども、それが実りにならなければ人は顧みないだろう。ここにご利益の布教がある。その様子を見よう。



連載 本当の創価学会問題 〔67〕
「創価学会が訴えたり訴えられたりする裁判で露呈する教団への疑念」…段勲(ジャーナリスト)




[寺院・住職に直言提言]
畑 正憲 (作家/動物研究家) … 「生かされているのか」
宮田毬栄 (元編集者/文筆家) … 「孤独な修行者」




[ショートルポ]
●藍綬褒章受章歴もある佐賀県・臨済宗南禅寺派の老住職が総代にナイフで切りつけた情念●「コワシタイカラコワシタ」と語る韓国籍容疑者が福島県でお地蔵さんなど137件を破壊した謎●大新聞に歳末募金の一部を経費使用したと批判された三重県名張市仏教会が「助け合い募金」から「助け合い運動」に改めた熱意●プミポンタイ国王崩御で哀悼深い岡山県白石島の高野山真言宗寺院にタイ式仏舎利塔が建つ仏縁




初めての人に仏教を説くために 最新版仏教文化基礎講座〔70〕
「出家とは家を出ることではなく社会そのものから離れること」…鈴木隆泰(山口県立大学教授・寺院住職)


 新刊告知 
 日本印度学仏教学会賞受賞者・鈴木隆泰教授の本誌連載の単行本第2弾『ここにしかない原典最新研究による本当の仏教第2巻』(本体価格2,400円)が大好評。第2巻は釈尊の説法で重要な女性の出家や死後世界、そしてアングリマーラの殺人、提婆達多の釈尊殺害計画の全貌が分かる内容。心の危機に釈尊は何を救いとしたのか、原典に学ぶ最良の教えを人生に活かしましょう。



住職のための今月のことば「夢を見る」 …稲垣真澄(産経新聞元編集委員・ジャーナリスト・僧侶)

 既刊告知 
 この連載を元にした稲垣真澄著『いつでも法話ができる現代布教キーワード必ず説きたい176話』(本体価格2,900円)が大好評。「TPP」「ゼロ葬・直葬・墓じまい」「ドローン」など現代を読み解くキーワード176を宗教、葬送、社会など14のジャンルに分け、キーワードごとに見開き2頁で編集。毎日起きる出来事や変化を素早く法話に織り込むためのヒントや説き方の実例集としても最適。







 [好評連載]

 今にいたる中世の寺院・僧侶や在家その実像〔150〕
「親鸞『教行信証』の著作時の推理から分かった東国仏教にも影響した日宋交流の最盛期」
  井原今朝男 (国立歴史民俗博物館名誉教授・総合研究大学院大学名誉教授)


 今こそ宗教と法律の問題新講座〔37〕
 「檀家名簿も個人情報保護法下におかれ寺院には細かな取り扱い義務が課せられる」
  櫻井圀郎
(宗教法および宗教経営研究所長教授)


 現代日本の宗教最前線の状況と問題〔47〕
 
「神道勢力『日本会議』が台頭したのはなぜか」
  櫻井義秀
(北海道大学教授・宗教社会学者)


 色即是空の科学事始め〔129〕
 
 「オースミ効果を一過性とするな――ノーベル賞受賞の大隅良典氏の第一声こそを」
  池内了
(総合研究大学院大学名誉教授・宇宙物理学者)


 なんたって寺族の言い分ほんねの記〔171〕
 「葬儀のお布施が踏み倒されても被害届は出せない」
  鏡島眞理子
(曹洞宗住職夫人)


 誌上講座・未来の住職塾から寺院僧侶活性化対論〔32〕
 「お寺づくりをなぜ学ぶのか」
  松本紹圭
(『未来の住職塾』塾長)・ 井出悦郎 (『未来の住職塾』講師)


 今からの宗教酔眼千里眼〔40〕
 
「日本人と現代仏教の位相(40)――近代仏教社会事業の始まり」
  島薗進
(上智大学教授・日本臨床宗教師会会長)


 いまさら師匠に聞けないこと〔60〕
 「生じたものは滅するとする苦を超える話」
  仙田陽高
(真言宗豊山派住職)


 70億人の宗教トレンド〔81〕
 「モンゴルで消えかかった仏教がいま復興の道を歩んでいるわけ」
  荒木重雄
(アジア社会研究者・社会環境学会理事長)


 仏教ことわざよもやま漫歩〔74〕
 「竹葦稲麻」
  勝崎裕彦
(大正大学前学長・浄土宗住職)


 コラム 盆踊り全国漫遊記〔18〕
 「お寺を舞台に隣人祭のすすめ」
  柳田尚也
(湘南盆踊り研究会代表)


 法律相談… 平松和也(弁護士)・ 本間久雄(弁護士)
質問1 親に連れられた知的障害者が仏像に触って破損したら賠償責任は誰にあるか
質問2 収益事業による利益金を寺族の給与や金融商品に費やすのは違法か


 税金相談… 河村照円(税理士・行政書士・寺院住職)
質問1 寺族のために生命保険に加入して相続税が有利になる方法はありますか
質問2 袋地が借地人から寺院に返されたが無価値なので固定資産税は減額されますか





[別冊付録](12ページ) ●毎号「法話特集」の別冊が付きます。



 お説教のタネ本「思わず同感、納得する転倒予防川柳に学ぶ」


 在俗の説法者〔175〕 「オレと耕運機」
  篠原鋭一
(曹洞宗住職・自殺防止ネットワーク「風」代表)


 生きるとは何か〔79〕 「『仕事やめろ楽だぞ』」
  亀井鑛
(NHKEテレ「こころの時代」元司会者)


 スピリチュアルケア講座〔90〕 「父の看取り」
  井上ウィマラ
(高野山大学教授)


 露の団姫のお笑い仏教寄席〔21〕
 「お坊さん系漫画をお坊さんが楽しむってヘン!?」
  露の団姫
(つゆのまるこ、落語家)


 そもそもお葬式セミナー〔166〕 「ネットの中の葬儀」
  村越英裕
(臨済宗妙心寺派住職・イラストライター)


 法語伝道聖句三昧〔218〕 「生きてさえいればそれだけで先生」
  峯岸正典
(曹洞宗長楽寺住職・宗教間対話研究所所長)


 いまどきマンガ説法〔55〕 「炎上」
  佐々木正祥
(真宗佛光寺派住職)






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