[月刊『寺門興隆』 2010年6月号より転載]

新アジア仏教史全十五巻 佼成出版社 各巻4200円
アジア諸国における仏教発展の系譜と特徴を、最新の研究成果をふまえて浮き彫りにした仏教史書の刊行が始まった。編集委員は奈良康明、沖本克己、末木文美士、石井公成、下田正弘。



改訂新版 日本仏教のあゆみ 宮坂宥勝著 大法輪閣 2835円
日本人の精神の土壌と行動に大きな役割を果たしてきた仏教。飛鳥時代から近現代にいたるまでの歴史を多角的な視点から解説した名著が改訂新版として刊行された。日本仏教史略年表付。



近・現代真宗教学史研究序説 水島見一著 法藏館 15750円
副題は「真宗大谷派における改革運動の軌跡」。真宗大谷派教団において、戦後民主主義をいかに受容してきたか。戦前の清沢満之の白川党から戦後の同朋会運動までの道のりが検証される。



太子信仰と天神信仰 武田佐知子編 思文閣出版 6825円
「信仰と表現の位相」が副題。聖徳太子と菅原道真ほど、庶民の崇敬を集めてきた人はいないだろう。両信仰に関わる美術史・文学史・宗教史・芸能史的研究を集成しその違いを解明する。



棟札の基礎的研究全二巻 秋山敬著 岩田書院 二巻揃い 19740円
お寺の新築時、上棟式で打ち付ける棟札の形状は、実は時代ごとに異なるという。山梨県内に残る棟札の形やサイズ、慣用句・符号・呪符などに着目し、その類型化を試みた珍しい研究書。



闘諍と鎮魂の中世 鈴木哲・関幸彦著 山川出版社 2310円
菅原道真や平将門など天皇・武士・貴族らの怨霊伝説は江戸時代以降、どのように語られたのか。敗者の視点から日本人の宗教観の変遷を読み解く。



鎌倉大仏の謎 塩澤寛樹著 吉川弘文館 1890円
鎌倉の大仏は美男におわす、と歌われ民衆に愛されてきた鎌倉大仏だが、その造立背景は不明とされている。銅造以前の木造大仏や、今はなき大仏殿などの史料から歴史的経緯の謎に迫る。



樺崎寺跡 大澤伸啓著 同成社 1890円
「足利一門を祀る下野の中世寺院」が副題。足利尊氏など一門にまつわる供養塔などが発見された栃木の樺崎寺跡。室町時代の将軍家と寺の関係を最新の発掘調査から浮き彫りにされる。



歌う。尼さん  やなせなな著 遊タイム出版 1365円
著者はお寺でコンサートも開くプロのシンガーソングライターで、奈良県の浄土真宗本願寺派教恩寺の僧侶。お寺に生まれ「歌うことで再び仏さまの前に導かれた」という軌跡が綴られる。



親と子の心の解決集 富田富士也著 興山舎 1500円
「おしょうさんも納得の27教訓」が副題。本誌別冊の人気連載を単行本化。様々な親子の悩み相談に向き合ってきた、教育・心理カウンセラーが綴る実例集。



玄奘三蔵、シルクロードを行く 前田耕作著 岩波書店 798円
七世紀、仏教を求めて旅に出た三蔵法師がシルクロードで見たものは何だったのか。『大唐西域記』をもとに、その生涯と軌跡が辿られる。新書判。



一言一言に救いがある道元禅師の言葉 公方俊良著 主婦の友社 1260円
生き方に迷った時に触れたい道元の言葉四十四を『正法眼蔵随聞記』から選んで解説を付す。「『私心』を無くして、小さな幸せにひたってみる」他。



瀬戸内寂聴と歩く四国遍路 角川学芸出版 1600円
四国八十八カ所の見どころと魅力を作家で尼僧の瀬戸内寂聴が先達となって案内するビジュアルお遍路ガイド。遍路作法や装束の説明、宿坊案内も。



人の心は歩く早さがちょうどいい 酒井雄哉著 PHP研究所 1470円
四十歳で得度した後、二度にわたる千日回峯行の満行を果たした大阿闍梨が巡礼先で見たものは何だったか。国内外で出会った人々の思い出を交えて綴る法話集。「己の限界を超える」他。



鉛筆でなぞる蓮如さん 木越祐馨編著 北國新聞社 1800円
『御文章』を鉛筆でなぞり書きしながら覚えよう! と企画された本。石川県書美術連盟常任理事による手本や現代語訳の解説、北陸の東西本願寺派住職による『御文章』拝読CDも付く。



仏像図解新書 石井亜矢子著 小学館 756円
様々な仏像の役割とその形を、イラスト入りで読みやすく解説した入門書。携帯向け新書サイズで拝観マナーや地区別の寺院リスト付き。画・岩崎隼。



デューイ宗教論の射程 上寺常和著 北樹出版 2625円
副題は「『道徳』としての『誰でもの信仰』」。二十世紀を代表するアメリカの哲学者J・デューイの思想を現代日本の宗教的諸相をふまえて読み解く。





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