[月刊『寺門興隆』 2010年7月号より転載]

仏教とは何か 上田閑照・氣多雅子編 昭和堂 5040円
副題は「宗教哲学からの問いかけ」。平成十九、二十年に各分野の碩学が参加して行った哲学シンポジウムをまとめたもの。執筆者は十人(竹村牧男、奈良康明、木村清孝、佐々木宏幹他)。



日本文学に現れた法華信仰 上田本昌著 山喜房佛書林 13650円
日本人に愛されてきた『法華経』は文芸から説話、歌まで様々な文化に影響を与え、その思想は芸術にまで昇華している。日蓮宗勧学院副院長が日本の古典に見る法華信仰を紹介し分析。



『浄土三部経』を読む 高橋審也著 角川学芸出版 2520円
仏典を原文と書き下し文、平易な解説で紹介する入門書「仏典を読む」シリーズの一冊。同書の他に、合群信哉著「『教行信証』を読む」、須山長治著「『禅語録』を読む」も刊行された。



仏典のことば さとりへの十二講 田上太秀著 講談社 1050円
諸行無常、衆縁和合、悉有仏性、無明即煩悩主、三界唯一心など衆生を救済する仏教の基本原理を十二の言葉を通じて伝える仏教入門書。文庫判。



仏教とカウンセリング 友久久雄編 法藏館 3675円
人間関係や肉親との死別など誰もが持つ不安に応える方法にカウンセリングが注目されている。仏教学・心理学・社会福祉学などの成果から仏教とカウンセリングの理論と実践が示される。



今、浄土を考える 勧学寮編 本願寺出版社 1260円
亡くなった人はどこに行ったのか、死んだら私はどこに行くのか。現代に立脚点を置き、具体的な出来事を機縁に浄土の問題を考察する。「指方立相」「広略相入」「二種法身」の解説付き。



アメリカ仏教 ケネス・タナカ著 武蔵野大学出版会 2100円
副題は「仏教も変わる、アメリカも変わる」。キリスト教が主流のアメリカの地で仏教が伸びている。隆盛の背景や同国ならではの特徴を社会的出来事や他国と比較しつつ分析している。



イヤな自分とサヨナラする方法 PHP研究所 945円
副題は「お坊さんがおしえる」。著者は浄土真宗本願寺派僧侶の小池龍之介。嫉妬や見栄、悪口で自己嫌悪に陥る心理を仏教の智恵で解きほぐし、心穏やかに生きることをすすめた法話集。



いま、この日本の家族 絆のゆくえ 森謙二他編 弘文堂 1890円
家族から地域社会まで、戦後六十年余で日本の絆の基盤は大きく変容した。研究者らが葬送のあり方、遺影の祀られ方、孤独死、家庭崩壊といった生死にかかわる視点から変化の核心に迫る。



もしもし、生きてていいですか? 篠原鋭一著 ワニブックス 1300円
本誌別冊でも人気連載中の千葉県曹洞宗長寿院住職の最新刊。人生最後の救いを求めて鳴り止まないお寺の電話、それに全身全霊で応える住職の実体験が綴られる。



仏教の身体感覚 久保田展弘著 筑摩書房 777円
坐禅や瞑想、念仏行を重んじることで仏教は人々に伝わりやすくなったと著者は説く。その源流を求めて身体感覚から仏教史が読み解かれる。新書判。



永平広録を読む 澤木興道提唱 大法輪閣 2520円
無所得・無所悟・只管打坐を説く道元の坐禅を復興した曹洞宗僧侶・澤木興道老師(昭和四十年に遷化)が『永平広録』の坐禅に関する教えを解説。



図説あらすじでわかる! 親鸞の教え 加藤智見著 青春出版社 1040円
なぜ人は念仏を称えるだけで救われるのか。阿弥陀如来の救いの本質を、東京工芸大名誉教授で真宗大谷派住職が分かりやすく説いた入門書。新書判。



真宗学僧逸伝 日溪法霖ものがたり 佐々木昭霖著 探究社 1260円
江戸時代中期の浄土真宗僧侶、日溪法霖(一六九三~一七四一)は十九歳で法然の『選択集』を講義するほどの逸僧で、多くの著作を残したが自ら命を絶った。その波瀾の生涯が辿られる。



新良寛伝「越の聖」の虚像と実像 高橋誠著 彩流社 2310円
「越の聖」とうたわれ様々な伝承が残る良寛だが、その実像は明らかではない。良寛研究に携わってきた在野の研究者が通説を豊富な資料から検証。



宗教とは何か T・イーグルトン著 青土社 2520円
宗教を排し、科学万能主義を標榜した資本主義社会は行き詰まっているように見える。格差・貧困の打開策と宗教の可能性をイギリスの〝知の巨人〟が論じる。大橋洋一・小林久美子訳。



殉教と殉国と信仰と 高橋哲也他著 現代書館 1680円
死者を讃えるのは誰のためか、と宗教者による戦争協力の歴史を振り返り、哲学者と真宗大谷派僧侶の菱木政晴、カトリック司教の森一弘が鼎談する。





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