[月刊『寺門興隆』 2011年2月号より転載]

中世律宗と死の文化 松尾剛次著 吉川弘文館 12600円
叡尊や忍性らを中核とする中世律宗教団。戒律復興運動の担い手として捉えられてきた彼らを、石工集団を組織して五輪塔など死の文化の創造という視点から再評価し、律宗の実態に迫る。



韓国の民間信仰 全二巻 張籌根著 興山舎 二巻揃い10500円
「済州島の巫俗と巫歌」が副題。現代日本で行われる祈りの儀礼、檀家のルーツは韓国の済州島にあった。日韓の仏教儀礼の関係性を明らかにした、韓国文化人類学者による名著を復刊。



法蔵 吉津宣英著 佼成出版社 1470円
「『一即一切』という法界縁起」が副題。華厳教学の縁起思想は現代の仏教思想にどう位置づけられるか。大仏の成立、華厳学派の形成などに着目。



密教瞑想入門 阿字観の原典を読む 北尾隆信著 大法輪閣 2835円
密教の瞑想法である阿字観とは何なのか。空海が高弟の実慧に伝えた『阿字観用心口決』と、覚鑁が母親に捧げた二編の阿字観次第から、その教義と実践方法を現代にも使えるように解説。



浄土教理史 信楽峻麿著 法藏館 2100円
浄土教思想は、どのような展開を辿り、日本に伝わったのか。阿弥陀仏思想の成立から往生思想の起源、浄土三部経の内容、親鸞に至るまでの浄土教理の展開の系譜が歴史的に解明される。



アジア山地社会の民俗信仰と仏教 菅原壽清著 岩田書院 8295円
中国・雲南省とタイ北部に今も息づく仏教の姿とは、いかなるものか。アニミズムやシャーマニズムの混在したアジアの仏教を実地調査に基づき、民俗学の知見から明らかにした研究書。



決定版 親鸞 武田鏡村著 東洋経済新報社 2940円
法然の教えに導かれ、独自の悪人正機説を打ち立てた親鸞。その九十年の生涯と思想を史料分析と現地取材を通じ、これまでにない視点から読み解く。



澤庵 犀の角のごとく一人歩め 泉田宗健著 淡交社 2940円
紫衣事件で幕府の寺院政策を批判し、山形に流罪になるも、後に三代将軍・徳川家光の帰依を得て品川の東海寺開山に迎えられた名僧・澤庵禅師の評伝。



迷える者の禅修行 ネルケ無方著 新潮社 777円
「ドイツ人住職が見た日本仏教」が副題。ドイツの悩める青年が日本の山奥の曹洞宗寺院住職になったわけは。修行の葛藤と現実を振り返る新書判。



インドの「闘う」仏教徒たち 榎木美樹著 風響社 840円
副題は「改宗不可触民と亡命チベット人の苦難と現代」。カースト制度のもと仏教徒に改宗したインド人、そしてチベット独立を目指して活動する亡命チベット人の境遇と実情をリポート。



坊主失格 小池龍之介著 扶桑社 1365円
山口県のお寺に生まれ、東大に入学するも心に葛藤を抱えた日々。瞑想活動などで知られる若手僧侶が、仏教に生かされてきた自らの歩みを振り返る。



大僧正とセラピストが人間の大難問に挑む ビジネス社 1260円
副題は「あなたの人生が上手くいかない本当の理由」。比叡山延暦寺大僧正の小林隆彰と作家でセラピストでもある加治将一が、人生の難問に答える。



立松和平 仏教対談集 アーツアンドクラフツ 2100円
昨年亡くなった作家が、宗教家ら十一人(玄侑宗久・大谷光真・板橋興宗・山折哲雄・岩田慶治・角田泰隆他)と行った対談が一冊の本にまとめられた。



かくれ佛教 鶴見俊輔著 ダイヤモンド社 1680円
日本人である私にとって宗教とは、教とは何なのか。思想家が、戦後日本の歩みと自らの半生を重ねながら、伝統仏教から創価学会までを論じる。



生死 板橋春夫著 社会評論社 1995円
「看取りと臨終の民俗・ゆらぐ伝統的生命観」が副題。先達が作って来た死に向き合う意識とは何だったのか。民俗学の視点から命の儀礼を問い直す。



日本人の信仰心 前田英樹著 筑摩書房 1680円
日本人が培ってきた信仰心とは何か。日本各地で伝承されてきた文化習俗を見直し、その古層を浮き彫りにする。「神意に適う、ということ」など。



戦後知の可能性 安丸良夫・喜安朗編 山川出版社 3675円
宗教・歴史・民衆というキーワードで哲学者ら九人(石母田正、丸山眞男、竹内好、吉本隆明、村上重良、網野善彦、色川大吉、宮田登、柄谷行人、酒井直樹)の思想を中心に戦後を読む。



宗教と開発 ジェフリー・ハインズ著 麗澤大学出版会 5880円
グローバル経済のなか、発展途上国の開発において宗教は何をなし得るのか。紛争・貧困・環境・保健・教育など様々な課題に向き合う宗教の可能性を論じる。阿曽村邦昭・阿曽村智子訳。





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