[月刊『寺門興隆』 2011年9月号より転載]

近世の仏教 智山勧学会編 青史出版 8500円
「新義真言を中心として」が副題。新義真言の組織は近世社会でいかなる役割を果たしてきたのか。仏教諸宗派のつながりを中心に組織・財政・地域社会との関係から明らかにする論文集。



漢詩を通じて弘法大師空海の生涯を繙く 高野山出版社 14000円
今日残る空海の漢詩四十首を、密教研究者の中谷征充が、それぞれの典故や典拠を調べ、漢詩語句について丁寧に分析し、これまで知られなかった空海の漢詩世界の解明に挑んだ研究論文。



踊り念仏の風流化と勧進聖 大森惠子著 岩田書院 3000円
今なお全国に見られる念仏芸能は、いかに発展形成されたのか。念仏踊りの供養と風流の性格に着目しつつ、空也と施茶、能との関わりや風流盆踊りに与えた歌舞伎・浄瑠璃の影響を考察。



仏教漢語50話 興膳宏著 岩波書店 720円
本誌人気連載だった「漢字仏教つれづれ行脚」が一冊の本にまとめられた。世間、我慢、睡眠、道楽など五十語の語源とエピソードが綴られる。新書判。



カラー版 空海と密教美術 武内孝善・川辺秀美著 洋泉社 1000円
当時最もビジュアル的に先鋭だったといわれる京都・東寺講堂の立体曼荼羅など空海のもたらした密教美術の影響は大きい。そうした密教美術群の位置づけや空海の思想に迫る。新書判。



曽我量深先生の言葉 津曲淳三編 大法輪閣 1700円
「念仏するところに、浄土が開けて来る」「疑いにより、仏様と結ばれている」など、独特の他力思想から生まれる言葉を残した真宗大谷派僧侶、曽我量深(1875~1971)の語録集。



「精神主義」は誰の思想か 山本伸裕著 法藏館 2800円
清沢満之が晩年に唱導したといわれる「精神主義」はいかに形成されたのか。残された書簡やテキスト、暁烏敏や多田鼎など浩々洞に集った人々の文などから、その真宗思想の本質に迫る。



自然を生きる 玄侑宗久・釈徹宗著 東京書籍 1500円
東日本大震災が起きる三週間前に福島県下で行われた対談の記録。日本社会の再構築とその方向性を、異なる専門領域を持つ住職二人が仏教、道教、儒教など多様な視点を交えて縦横に語る。



人生の最期に求めるものは 対本宗訓著 佼成出版社 1500円
副題は「僧衣と白衣の狭間で見えてきたこと」。著者は臨済宗佛通寺派僧侶で内科医。二足の草鞋を履いたからこそ見えてきた医療と仏教の課題を綴る。「現代における仏教の役割とは」他。



大工門ひな形 富樫新三編著 理工学社 5500円
副題は「数奇屋門から四脚門・高麗門まで」。古来より、門外不出とされてきた設計書、雛形本の門を現代の大工も分かるように図面化した書。山門新築時など伽藍普請の一助にも。



池上彰の宗教がわかれば世界が見える 池上彰著 文藝春秋 800円
人はなぜ宗教を求めるのか。日本人は無宗教か、などのテーマで僧侶や学者七人(島田裕巳、釈徹宗、高橋卓志、養老孟司他)と行った対談集。新書判。



日本一やさしい般若心経 名取芳彦著 経済界 800円
「心をかる.くする20の言葉」が副題。東京の真言宗豊山派密蔵院住職が『般若心経』を「こだわらなくてもいいから―皆空」など平易に説く。新書判。



女の覚悟 ひとり悩むあなたへ贈る言葉 川村妙慶著 講談社 1429円
東日本大震災後、結婚に急いだり、不安に駆られる女性が増えているという。様々な悩み相談に応えてきた真宗大谷派の女性僧侶による法話集。



つぎはぎ仏教入門 呉智英著 筑摩書房 1400円
仏教はどういう宗教なのか。釈迦は何を悟り、何を説いたのか。評論家が仏教の教えを初心者にも分かりやすく解説した入門書。「仏教と独善」他。



弘法大師と四国遍路 星野英紀監修 青春出版社 1133円
定年後、お遍路を志す人は少なくないが、何がそこまで惹き付けるのか。全国に残る弘法大師信仰、四国八十八カ所霊場の魅力を読み解く。新書判。



日本の福祉を築いたお坊さん 星野貞一郎著 中央法規出版 800円
在家に生まれながら法華経に深く帰依し仏教精神に基づくハンセン病救済、日本福祉大学の創設など日本福祉に多大な業績を残した僧侶、鈴木修学(1902~1962)の生涯と功績を辿る。



悲しむ力 中下大樹著 朝日新聞出版 1000円
「2000人の死を見た僧侶が伝える30の言葉」が副題。仏教系ホスピスで多くの患者を看取り、近年は生活困窮者や自殺念慮者の相談、自死遺族ケアなどを行う真宗大谷派僧侶の体験記。





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