[月刊『寺門興隆』 2013年1月号より転載]

全訳チャンドラキールティ入中論 起心書房 8800円
インド仏教の中期中観派の代表的思想家チャンドラキールティが「空」の立場から十地の菩薩道により到達する仏の世界を論じたインド大乗仏教の名著の邦訳。瓜生津隆真・中沢中訳。



近代日本思想としての仏教史学 法藏館 5800円
著者は龍谷大学アジア仏教文化研究センターの博士研究員、オリオン・クラウタウ。江戸と明治以降の仏教はいかに変わったのか。近代の仏教をめぐる言説に着目しその変遷を辿る学術書。



略縁起集の世界 論考と全目録 中野猛著 森話社 7800円
略縁起とは、近世の木版刷り寺社パンフレットのこと。縁起や霊験、高僧伝など各地の略縁起を分類し、考察した長年の研究の集大成。国内の図書館にある略縁起集の全目録も参考となる。



天台比叡に響く仏の声 道元徹心編 自照社出版 2400円
天台宗の教義と実践をテーマにした龍谷大学の仏教学連続講座の講義録。声明や造像を含めた視点から千日回峰行者や研究者など十三人による論考。



奇偉荘厳の白鳳寺院・山田寺 箱崎和久著 新泉社 1500円
巨大な仏頭(国宝)で知られる山田寺は藤原道長に「奇偉荘厳」と言わしめるほどの威容を誇る寺だったという。最新の発掘調査から往時の姿が明らかにされる。「姿をあらわした回廊」他。



ヒトガミ信仰の系譜 佐藤弘夫著 岩田書院 2800円
実在した人物を神様にして、信仰の対象とする人神信仰は日本各地に見られる。古代から近代までの様々な人神信仰のあり方から、日本人の死生観に迫る研究書。「聖人信仰と霊場」など。



ブッダの〈呼吸〉の瞑想 ティク・ナット・ハン著 野草社 1800円
ブッダの呼吸による気づきの瞑想を説いた経典『アーナパーナサティ・スッタ』を現代語訳化すると共に、その実践法を記している。翻訳は島田啓介。



知的唯仏論 宮崎哲弥・呉智英著 サンガ 1600円
気鋭の評論家二人が手塚治虫の『ブッダ』や宗派の標語、現代の四苦など縦横無尽のテーマから仏教を問う対談集。「単身社会こそ仏教の出番」など。



如何に中陰法要を勤めるか 那須信孝著 方丈堂出版 800円
繰り上げ初七日など最近、全国的に葬儀後の中陰法要が簡略化傾向にある。浄土真宗本願寺派住職が中陰法要の理想的なあり方と本質を問いかけている。



「瓢鮎図」の謎 芳澤勝弘著 ウェッジ 1400円
国宝・瓢鮎図は足利義持の求めで水墨画の祖、如拙が描いたもので、禅僧三十一人が画中に賛詩を寄せている。従来省みられなかった賛詩を分析し、絵に込められた公案を明らかにした書。



中途半端もありがたい 東京書籍 1400円
作家で臨済宗妙心寺派福聚寺の玄侑宗久住職と学者など十人(木田元、五木寛之、山田太一、中沢新一、佐藤優、日野原重明、山折哲雄他)との対談集。



亀泉集証 今泉淑夫著 吉川弘文館 2200円
室町中期、相国寺蔭凉軒の主に就いて当時の外交関係や禅宗官寺の人事・仏事について記述した『蔭凉軒日録』の著者である亀泉集証の生涯を辿る書。



京都・紫野 大徳寺僧の略歴 竹貫元勝著 淡交社 2000円
茶道文化は禅僧にいかに育まれたか。京都大徳寺に縁の禅僧九十三名、中国五山の禅僧や明治期の禅僧の事績などから禅と茶の関係が浮き彫りにされる。



チベット人の民族意識と仏教 日高俊著 風響社 700円
中国の弾圧に抵抗した僧侶の焼身自殺が絶えないチベット。同国の民族意識の萌芽と仏教の関係を歴史を辿りながら明らかにしているブックレット。



日本美術全集 全二十巻 小学館 各巻15000円
寺院建築、仏教美術からモダンアートまで、最新の研究成果と知見を盛り込んだ美術全集。第一回配本は『法隆寺と奈良の寺院』。編集は辻惟雄他。



アシュラブック 北進一著 美術出版社 2300円
一大ブームを巻き起こした阿修羅像。あの美しさはどこから来るのか。なぜ上半身が裸なのか。美術研究者が阿修羅像と不空羂索観音像の魅力を探る。



写経作法入門 山田法胤著・小林逸光書指導 芸術新聞社 1800円
「ここから始める基本練習帳」の副題どおり初めての人も写経の作法とやり方が分かる写経入門書。『懺悔文』『般若心経』『回向文』などを収録。



お寺ごはん 青江覚峰著 ディスカヴァー21 1100円
「家でつくれるお寺のレシピ99」が副題。料理僧として子供の食育に力を入れる浅草の浄土真宗東本願寺派緑泉寺住職が指南するお寺の料理レシピ集。





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