[『月刊住職』 2014年9月号より転載]

佛説大蔵正教血盆経和解 髙達奈緒美編 岩田書院 8900円
江戸時代の浄土宗僧侶、松誉巌的による『血盆経』注釈書全七巻三冊を影印したもの。女性不浄観・血穢観に影響を与えた『血盆経』信仰が近世の民衆にいかに説かれたのかを伝える史料。



公武権力の変容と仏教界 平雅行編 清文堂出版 4500円
院政から武家政治へと移る激動の中世を、人物に焦点をあて勢力興亡を描く全三巻「中世の人物 京・鎌倉の時代編」の第三巻。顕密仏教と禅律僧。



近代仏教と青年 近角常観とその時代 岩田文昭著 岩波書店 3600円
 近代の真宗大谷派僧侶、近角常観が東京・本郷の求道会館で行った説教は多くの青年知識人を惹き付け、後の日本を代表する哲学者や出版人を育てた。その生涯と多分野に及ぶ影響力を辿る。



先祖と日本人 畑中章宏著 日本評論社 1900円
日本人にとって先祖や故郷、魂とは何か。戦後、それらの認識はどう変わったか。柳田国男によるこの問いを東日本大震災後の現代に重ね合わせて捉え直す。「『魂の行方』を求めて」他。



葬送習俗事典 葬儀の民俗学手帳 柳田国男著 河出書房新社 2000円
喪の始め、葬式の総名、二人使い、寺行き、枕飯など、今日失われつつある葬式にまつわる習俗などを網羅した事典が読みやすい新字新仮名での復刊。



大佛勧進ものがたり 平岡定海著 吉川弘文館 2200円
幾度も災厄に遭った奈良・東大寺は勧進僧などの尽力で復興を成し遂げた。天平期から昭和の大修理までの歴史を東大寺執事長(故人)が綴る。「東大寺供養」「甍くずれる」など。復刊本。



日本霊性論 内田樹・釈徹宗著 NHK出版 860円
東日本大震災後、伝統宗教や死生観を見直す動きがある。鈴木大拙の提唱した「日本的霊性」を視野に入れ、人間の根源的な支えとなる「霊性」を評論家と浄土真宗本願寺派住職が論じる。



お寺の収支報告書 橋本英樹著 祥伝社 800円
著者は一昨年、檀家制度を廃止した曹洞宗住職。寺院運営の実情から仏教界の問題点まで率直に語る。「宗教法人の二重構造」「お寺のなかの階層化」「収入を何に使うか」他。新書判。



仏教学者 中村元 植木雅俊著 KADOKAWA 1800円
「求道のことばと思想」が副題。研究者から市井の人々まで仏教とは何かを広く伝えたインド哲学・仏教学の泰斗、中村元(1912―1999)の思想と八十六年に及ぶ生涯が辿られる。



すぐに活用できる 全宗派対応 葬儀実践全書 興山舎 4300円
なぜ葬儀に仏教が必要か。その回答は、各宗派の葬儀次第をはじめ、故人を送る文、戒名・法名・法号にかかわる法話にあると、本誌別冊連載の村越英裕が遺族会葬者を感動させる通夜葬儀の方法を説く。



死して巌根にあらば骨も也た清からん 児玉修著 思文閣出版 1800円
「屋後の青山、檻前の流水、鶴林の双跌、熊耳の隻履、又是れ空華、空子を結ぶ」と遺偈し七十八歳で遷化した臨済宗永源寺の開山、寂室元光の評伝。



真宗の本義 信楽峻麿著 法藏館 2200円
阿弥陀仏とは誰か、どうしたら信心が成立するのか。『教行信証』から読む親鸞の教えを龍谷大学元学長がアメリカで説き大きな反響を呼んだ講義録。



大事なことから忘れなさい 松山大耕著 世界文化社 1300円
英語による外国人への参禅指導や海外向けの日本文化発信活動でも知られる京都・臨済宗妙心寺派退蔵院の副住職が悩み深き現代人に禅の教えを説く。



「いのち」のままに 玄侑宗久著 徳間書店 1300円
三百二十万人が精神疾患で医療機関にかかる現代日本。心を解きほぐし、自在に生きるための瞑想法を福島の臨済宗妙心寺派住職で芥川賞作家が指南。



真言密教の聖地 高野山へ行こう! JTBパブリッシング 1300円
平安時代に弘法大師によって開かれ、数多の参詣者が訪れる山岳宗教都市、高野山。魅力と霊場の歩き方をイラストレーターの田中ひろみがガイドする。



暦の大事典 岡田芳朗他編 朝倉書店 18000円
日常生活はもとより、お寺の年中行事や宗教儀礼にも深く関わる暦は時代と共に変遷してきた。日本はじめ世界各国の主要な暦について解説される。



宗教年鑑 平成25年版 文化庁編 ぎょうせい 2500円
仏教系、神道系、キリスト教系の各宗派の所在地や連絡先、都道府県の宗教法人数、動向などを網羅した日本国内の宗教法人データの平成25年版。





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