[『月刊住職』 2015年1月号より転載]

アジアの灌頂儀礼 その成立と伝播 森雅秀編 法藏館 4000円
アジアの宗教儀礼の中核をなした灌頂。インドから東南アジア、日本まで儀礼の展開と変容を辿る研究成果をまとめた研究書。「大乗経典における授記と灌頂」「日本中世における灌頂」他。



六朝期における仏教受容の研究 遠藤祐介著 白帝社 9074円
仏教思想を取り込んだ中国・六朝時代。その受容の過程を当時の知識人の論文や作品から見られる宗教的関心、仏教・儒教・道教の三教論争などから分析する。「東晋代の礼敬論争」など。



仏教思潮論 宇井伯寿著 書肆心水 6300円
副題は「仏法僧三宝の構造による仏教思想史」。初期仏教、唯識思想の碩学だった著者の主著『仏教汎論』二巻本を要約したもの。原始仏教から日本仏教までの流れを仏法僧の構造で説く。



古代寺院の資産と経営 上原真人著 すいれん舎 4600円
副題は「寺院資財帳の考古学」。古代寺院は何によって支えられ、どんな活動をしていたのか。お寺の資産帳簿こと寺院資財帳の解読から明らかにされる。「仏法僧に帰属する動産」など。



清沢満之と日本近現代思想 山本伸裕著 明石書店 3000円
「自力の呪縛から他力思想へ」が副題。近代の大谷派教団のみならず、西田幾多郎や夏目漱石などにも大きな影響を与えた清沢満之。その思想の真髄と日本思想史との関係性に迫る論考。



変容する死の文化 国立歴史民俗博物館他編 東京大学出版会 5400円
東アジア各国で死をめぐる文化が急激に変容している。近現代の日本、中国、韓国、台湾の葬送と墓制の変化を比較しながら、その実情に迫る論考。



一冊でまるごとわかる日本の13大仏教 瓜生中著 大和書房 740円
奈良仏教から平安仏教、鎌倉時代以降に開かれた仏教まで、日本の主要仏教十三宗の教えと歴史を初心者にも分かりやすくまとめた仏教入門。文庫判。



仏事Q&A 浄土真宗本願寺派 前田壽雄著 国書刊行会 1300円
本尊、主な年中行事、葬儀の方法、法事など実際に築地本願寺に寄せられた質問をもとに門徒が知っておきたい基礎知識をQ&A式でまとめている。



お寺からの賜り物 玄侑宗久著 大法輪閣 1600円
東日本大震災と福島第一原発事故は地域と共にあるお寺の意味を再確認させた。作家で福島県の住職が自らの歩みと共にお寺とは何かを問いかける。



迷わない坐禅の作法 枡野俊明著 河出書房新社 1200円
著者は世界的庭園デザイナーでもある横浜の曹洞宗住職。日常生活に、もっと禅を取り入れてほしいと38のポイントをあげて説く禅的生活指南。



墓と葬送のゆくえ 森謙二著 吉川弘文館 1700円
永代供養墓の増加や葬儀の縮小、直葬の広がりなど近年、墓や葬儀のあり方が大きく変わっている。変化の背景、行政の役割、新たな葬法の問題点、今後の課題などが幅広く論じられる。



教養としての宗教入門 中村圭志著 中央公論新社 840円
グローバル社会を生きるには宗教知識が欠かせない。仏教、キリスト教、ユダヤ教、イスラム教、ヒンドゥー教、儒教、道教、神道をガイド。新書判。



お浄土があってよかったね(2) 宮崎幸枝著 樹心社 2000円
副題は「医者の本音、患者の本音」。著者は念仏者である医者。院内に仏間を設け僧侶を招いて法話会を開き患者と仲間と共に歩む日々が綴られている。



どうせ死ぬのになぜ生きるのか 名越康文著 PHP研究所 780円
「晴れやかな日々を送るための仏教心理学講義」が副題。死の不安に応答する真の実践行は仏教しかないと確信した精神科医による仏教論。新書判。





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