[『月刊住職』 2016年6月号より転載]

東アジア梵鐘生産史の研究 五十川伸矢著 岩田書院 6800円
日本のお寺に見られる梵鐘は、どのような歴史的展開を経て伝わったのか。中国、朝鮮半島の古代梵鐘の造形(鋳型)と鋳造(溶金注入)の技術展開に着目し、東アジアの文化交流を考察。



箜篌の研究 中安真理著 思文閣出版 6000円
副題は「東アジアの寺院荘厳と絃楽器」。箜篌(くご)は西域や古代東アジアで広く用いられたハープに似た弦楽器だが、現在は廃れた。長く寺院建築を荘厳した箜篌の実態が明らかにされる。



近代仏教スタディーズ 大谷栄一他編 法藏館 2300円
廃仏毀釈や神仏分離令などの時代の逆境を乗り越え、社会に影響を与え続けた近代仏教。その歴史と周辺分野、特徴を気鋭の研究者二十九人が写真と人物相関図も用いながら明らかにする。



ブッダのおしえ 前谷影・今村正也他著 講談社 2500円
最古層の仏教思想と共に、最初期の仏教教団の状況を伝えるといわれる仏教最古の経典『スッタニパータ』。最新研究に基づく現代語訳と解説を付す。



源信 日本人のこころの言葉 小原仁著 創元社 1200円
六道の迷いを捨て、阿弥陀仏の極楽浄土に生まれるには何が大切かを体系的に明らかにした『往生要集』は法然や親鸞など、日本の浄土教に大きな影響を与えた。源信の思想と歩みに迫る。



新編 白隠禅師年譜 芳澤勝弘訳注 禅文化研究所 5000円
江戸時代の禅僧、白隠禅師の思想と歩みを禅師の生前に東嶺によって編まれた『草稿』を主に禅師の仮名法語や語録、墨蹟などを合わせて再編成する。



世界中のトップエリートが集う禅の教室 KADOKAWA 1600円
著者は外国人観光客向けの英語坐禅会を開いたり、グローバル企業幹部などに禅指導を行う大本山妙心寺塔頭春光院の川上全龍副住職。社会を変革する禅の思考を紹介。石川善樹協力。



初詣の社会史 平山昇著 東京大学出版会 6400円
「鉄道が生んだ娯楽とナショナリズム」が副題。初詣が今日ほど定着した背景などを、近世の恵方詣、明治時代のインフラ、知識人の言説から論じる。



他者論的転回 磯前順一・川村覚文編 ナカニシヤ出版 3800円
公共空間から排除された者たちの公共性はいかにして可能か。フランスにおけるムスリムの境遇、靖国神社参拝問題、福島原発災害への仏教者の関わりなど宗教を通じ公共性を捉え直す。



荒仏師 運慶 梓澤要著 新潮社 1800円
圧倒的なパワーで観る者を惹きつける仏の彫像はいかにして生まれたのか。鎌倉時代を代表する仏師、運慶の美の探求の源泉と格闘を描いた歴史小説。



そうじで清めるこころと暮らし マガジンハウス 1200円
著者は東京の曹洞宗観音院の来馬正行住職。仏壇や玄関、床の間、お手洗いなど場所ごとの掃除の実践方法から、掃除を通じて得る禅の心までを説く。



禅堂生活 鈴木大拙著・横川顕正訳 岩波書店 900
禅の思想は雲水の日常生活の修行一切に込められている。禅堂の修行生活を、師事した今北洪川、釈宗演老師への随想も交えて紹介している。文庫判。



仏教とカウンセリングの意義 自照社出版 4600円
複雑化する現代人の悩みへの対応を、宗教的アプローチと心理的アプローチに分けて、解決に向けたカウンセリングの手法を探る。友久久雄・吉川悟編。



死で終わるいのちは無い 三橋尚伸著 ぷねうま舎 2000円
著者は産業カウンセラーでもある真宗大谷派の女性僧侶。サラリーマンから僧侶まで数多の悩みに向き合った経験を通じて生死の問題を考える法話集。



宗教社会学を学ぶ人のために 井上順孝編 世界思想社 2200円
マックス・ウェーバー、デュルケム、ジンメルなどの古典的理論から、日本の民俗宗教や最新の認知科学まで多角的な視点から宗教社会学を紹介する。



禅とキリスト教 人生の処方箋 東京堂出版 1800円
自分らしく生きるとは? 弘前大学の山田史生教授と、教え子であるクリスチャンのニック・べランド氏が対談形式で禅と聖書の教えをひもとく。



徹底比較 仏教とキリスト教 大法輪閣 1800円
仏教とキリスト教はどう違うのか。開祖、救い、愛、戒律、死後の世界、世界観などテーマごとに2段組で比較して、それぞれの特徴を比較解説する。



ぶらり東京・仏寺めぐり 長田幸康著 幻冬舎 1300円
弘法大師ゆかりの古刹、徳川将軍家や幕臣が帰依した名刹など東京23区内の39カ寺を縁起、歴史、見どころ、ご利益と共に紹介するガイド本。





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