[『月刊住職』 2016年10月号より転載]

中世鎌倉五山の建築 鈴木亘著 中央公論美術出版 4500円
中国仏教史の中で最も洗練された様式を導入し、来日僧と入宋僧の指導で建てられた中世鎌倉五山の禅院建築。日本の中世建築の成立における重要性を、伽藍の配置や形式などから論じる。



西行・慈円と日本の仏教 大隅和雄著 吉川弘文館 2300円
「遁世思想と中世文化」が副題。遁世者として生きた西行と、その生き方に憧れながらも天台座主に就いた慈円。『新古今和歌集』を代表する歌人僧侶の生き方から日本仏教史を捉え直す。



社会苦に挑む南アジアの仏教 関西学院大学出版会 1200円
インドの政治家でカースト制度の差別打破のため仏教復興運動を行ったアンベードカル博士と、それを同国で継承する佐々井秀嶺師から、社会苦を乗り超える仏教を考察。関根康正他著。



植民地台湾と日本仏教 中西直樹著 三人社 4800円
半世紀におよぶ戦前日本仏教の台湾布教とは、いかなるものだったのか。各宗派単位の当時の動きと全体像に迫る研究書。「本願寺派と曹洞宗の占領地布教」「大谷派南清布教の展開」他。



堕落と復興の近代中国仏教 E・シッケタンツ著 法藏館 5000円
日本人が描く近代中国仏教のイメージは誤りだった? 明治以降の中国仏教の実態を、日本仏教との交流過程から明らかにした新たなアジア仏教史論。「宗派と仏教の堕落と復興」など。



仏教と気づき ケネス田中編著 武蔵野大学アソシエート 1700円
副題は「〈悟り〉がわかるオムニバス仏教講座」。仏教とは心身を通して真実に気づく宗教。そのアプローチの方法を仏教学・印度学の専門家が解説。



生命のことば 高野山真言宗他編 毎日新聞出版 1500円
毎夏、総本山金剛峯寺で開かれる高野山夏季大学は大正十年のスタート以来、百年の歴史を刻む。各時代の著名人や僧侶11人が、人間とは、生きるとは、をテーマに語った名講義を収録。



宗教を心理学する 松島公望他編著 誠信書房 2500円
「データから見えてくる日本人の宗教性」が副題。阪神淡路大震災、東日本大震災に見られた宗教観、自然体験と宗教心、無信仰を標榜する人の信仰世界などが多角的視野から考察される。



生老病死の医療を見つめて 中井吉英編著 ミネルヴァ書房 2500円
老いは体力を奪うが叡智を授け、死が近づくと新たな学びがある。医療者と宗教者が自らの体験を交え、病を受け入れた家族や患者との対話から受けとめた、よりよく生きるための言葉集。



ここにしかない原典最新研究による 本当の仏教 第2巻 興山舎 2400円
本誌好評連載中の鈴木隆泰教授による「最新版仏教文化基礎講座」の単行本化第2弾。殺人者や敵対者、女性出家や死後世界に釈尊は何を説いたか。重要説法の全貌。



医者が仏教に出遇ったら 田畑正久著 本願寺出版社 1000円
著者は「西本願寺 医師の会」発起人である真宗門徒の医師。生と死の現場と、仏教の関係を綴る。「心臓に聞いてみてください」「自然の賑わい」他。



禅と掃除 枡野俊明・沖幸子著 祥伝社 1400円
世界的庭園デザイナーでもある曹洞宗住職と、ドイツ式片付け術を提唱する家事サポートサービス代表が、シンプルに生きるための掃除のコツを指南。



近現代日本の宗教変動 ハーベスト社 3800円
近現代における各地の宗教動向を宗教社会学の視点から論じる。「政教分離訴訟の宗教社会学」「人口減少時代の教団生存戦略」他。寺田喜朗他編著。



人類の衝突 島薗進・橋爪大三郎著 サイゾー 1700円
「思想、宗教、精神文化からみる人類社会の展望」が副題。宗教や民族を理由とする対立が絶えない時代の行動について宗教学者と社会学者が論じる。



修行と信仰 藤田庄市著 岩波書店 2500円
千日回峰行、不眠不休の坐禅、修験道など、なぜ人は求道のために身体を酷使するのか。仏教、神道、キリスト教の荒行に挑戦してその心を探る。



ルポ アフリカに進出する日本の新宗教 上野庸平著 花伝社 1500円
意外やアフリカでは日本の新宗教が受け入れられている? 幸福の科学、真如苑、統一教会、崇教真光、ラエリアン・ムーブメントの布教動向ルポ。



煙が目にしみる C・ドーティ著 国書刊行会 2400円
「火葬場が教えてくれたこと」が副題。著者は32歳のアメリカ人女性。就職先の葬儀社で、死者と向き合った日々をユーモア交えて描く職場体験記。





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