[『月刊住職』 2017年11月号より転載]

阿毘達磨仏教における業論の研究 清水俊史著 大蔵出版 13000円
仏教は因果の理論をいかに体系化したのか。初期経典から説一切有部、上座部の教理書までを視野に入れ、仏教が業報輪廻の世界を認識・分析しつつ教理化した過程を浮き彫りにしている。



インド思想から仏教へ 高楠順次郎著 書肆心水 6900円
日本近代仏教史研究の嚆矢が、仏教誕生の経緯と当時のインド思想を照らし合わせて仏教の本質を示しつつ、キリスト教や西洋哲学にない、その独自性を明らかにした名著が復刊された。



鎌倉寺社の近世 転換する中世的権威 中野達哉編 岩田書院 2800円
建長寺をはじめとする鎌倉の寺社は近世に入り幕藩体制に組み込まれるなか、どのような変容をとげたのか。他者との関係性、寺院内部のシステム・制度に注目することでその実態に迫る。



日本古代中世の葬送と社会 島津毅著 吉川弘文館 8500円
古代中世の人々はいかなる遺体・遺骨観、霊魂観を持って葬送を行っていたのか。葬送の時刻と推移、儀礼・習俗などから当時の他界観・死生観に迫る。「暁観念の変化と葬送」など。



大内氏の領国支配と宗教 平瀬直樹著 塙書房 8500円
勢力範囲は中国、九州北部にも及んでいた戦国大名・大内氏。その領国支配において寺社とはどのように向き合ったのか、寺社との関係から考察している。「妙見信仰と祖先伝説」他。



運慶大全 山本勉監修 小学館 60000円
日本彫刻史上、最高峰とされる鎌倉時代の仏師・運慶。八都府県、11カ所に散在する運慶の全作品を初めて網羅した美術書。あらゆる角度からの図版や全35躯すべての原寸図版収載。



天宮事経 藤本晃著 サンガ 3300円
「天界往生の物語」が副題。輪廻の中で天界に生まれ変わるには、いかなる善業を積むとよいのか。初期仏教経典『天宮事経』を現代語訳と共に解説。



弁才天信仰と俗信 笹間良彦著 雄山閣 2200円
インドの最古の聖典『リグ・ヴェーダ』に語られる河川の神がなぜ日本で弁才天として信仰を集めるに至ったか。信仰の源流に遡り、その展開を考察。



近代西本願寺を支えた在家信者 中西直樹著 法藏館 1900円
廃仏毀釈など外圧にさらされた西本願寺を様々な側面から支えた篤信の信者・松田甚左衛門に焦点をあて西本願寺近代史に新たな視点を提示している。



出羽三山 山岳信仰の歴史を歩く 岩鼻通明著 岩波書店 900円
奈良の大峯山、九州の英彦山と並ぶ東北の修験の聖地、羽黒山。芭蕉が詠んだ月山、湯殿山など古より親しまれてきた「お山」の歴史と文化を紹介。



清水寺にあいにこないか 大西英玄他著 日本ビジネスプラン 1800円
京都の法相宗大本山清水寺の執事補四人(大西英玄・大西晶允・大西皓久・森清顕)による法話集。「心身の予防と準備」「仏法とは幸せのレシピ」他。



慈悲のかたち 大菅俊幸著 佼成出版社 2200円
シャンティ国際ボランティア会に携わってきた著者が宗教者、臨床仏教師創設の動きなど、インタビューを通じて仏教ボランティアの姿が探られる。



人を想うこころ 中村太釈著 日本文学館 600円
空海が説く恩とは何か。なぜ先祖供養をするのか。十三仏とは何かなど薬剤師経験をもつ高野山本山布教師心得で四国のお寺の副住職による法話集。



日本思想の古層 梅原猛・川勝平太著 藤原書店 1800円
日本文化の古層から汲んだ「美・平等・平和」の思想を現代に、いかに発信するか。鎌倉仏教、草木国土悉皆成仏の思想などから縦横に論じている。



「宗教都市」奈良を考える 山川出版社 4000円
中世都市の展開過程を考える上での「基準」としての奈良を十二世紀から十七世紀にかけての景観から浮き彫りにする報告論集。中世都市研究会編。



三木清遺稿「親鸞」 子安宣邦編著 白澤社 1600円
特高に検挙され、終戦直後に獄死した哲学者・三木清。疎開先から見つかった親鸞に関する遺稿の復刻と共に、その思想を日本思想史家が捉え直す。



ダライ・ラマとチベット 大島信三著 芙蓉書房出版 2500円
ダライ・ラマとはチベット仏教においていかなる存在か。歴代ダライ・ラマの人物像、明治・大正期における日本との関わりなどが明らかにしている。



事例式 寺院・墓地トラブル解決の手引 新日本法規出版 8231円
お寺や墓地の運営に際して起きる様々なトラブル事例を想定し、その対応法を法律の専門家が平易に解説する加除式の手引書。宗教法制研究会編。





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