[『月刊住職』 2018年2月号より転載]

大乗起信論成立問題の研究 大竹晋著 国書刊行会 13000円
副題は「『大乗起信論』は漢文仏教文献からのパッチワーク」。仏典翻訳家が『大乗起信論』に含まれる北朝仏教固有の学説と、インド仏教教理の誤解などを指摘し、その成立過程に迫る。



日本古代の政治と仏教 佐藤文子著 吉川弘文館 11000円
中央集権国家が政治の手立てとして仏教を興隆し、得度を統制してきたといわれる古代日本。得度と為政者の関係、天皇権の発動契機を分析し、国家仏教論の成立過程と史実が探られる。



王朝貴族の葬送儀礼と仏事 上野勝之著 臨川書店 3000円
 「日記で読む日本史」シリーズ第十巻。中世において貴族の弔い、祈りの儀礼と意識は仏教と関わりながらいかに変遷したのか。葬送儀礼の次第書や、真言僧著作などから明らかにされる。



思想としての近代仏教 末木文美士著 中央公論新社 2400円
日本において「近代仏教」はどのように形成され、展開したか。清沢満之、倉田百三、田中智学、鈴木大拙などを中心に、近代と仏教の関係性が読み解かれる。「大乗という問題圏」など。



古代の文化圏とネットワーク 藏中しのぶ編 竹林舎 14000円
古代日本はどのような文化交流と関係性の上で成り立っていたか。近隣諸国との文化交流、飛鳥の仏教文化圏、官大寺僧と在地社会の仏教など、多様な視点から考察された研究論考集。



空海名言法話全集 空海散歩 第一巻 白象の会著 筑摩書房 2300円
弘法大師誕生1250年に向けて、空海の名言2180句を精選して解説と法話を付けた全十巻の法話集の第一巻が刊行された。近藤堯寛監修。



禅 沈黙と饒舌の仏教史 沖本克己著 講談社 1800円
「不立文字」を掲げる禅は語り得ぬものにどう向き合い何を伝えてきたか。ブッダの教えから日本の臨済禅の創成、鈴木大拙まで思想変遷が辿られる。



宗教文芸の言説と環境 小峯和明監修 笠間書院 9000円
日本文学の一ジャンルである宗教文芸に着目し、そこに描かれた信仰空間や聖地霊場の地場とその特色など宗教特有のダイナミズムを考察した論考集。



竹林精舎 玄侑宗久著 朝日新聞出版 1800円
芥川賞作家である臨済宗妙心寺派住職の最新作。東日本大震災と原発事故から生まれた本作は、放射能で汚染された福島の過疎地寺院に入る青年僧を主人公に恋と悩みと禅を描く成長小説。



退歩のススメ 藤田一照・光岡英稔著 晶文社 1600円
曹洞宗国際センター所長と武術家が、生活様式の変化で失われた身体感覚を取り戻すべく、坐禅や古来の修行、稽古法から自然体への道を探求する。



妙好人 千代尼 西山郷史著 法藏館 1200円
朝顔やつるべ取られて、の句で知られる江戸時代の女流俳人、加賀の千代尼は篤信の念仏者だった。句に込められた豊かな信仰世界が明らかにされる。



博士が遺した仏教ノート 川岸舜朗著 中日出版 2500円
生業は農学博士でもあった愛知県の浄土宗西山禅林寺派住職が、生前に綴った法話集。「お坊さんは職業か?」「食品による老化抑制を考える」など。



寺院法務の実務と書式 横浜関内法律事務所編 民事法研究会 4500円
墓地、税、労働問題、紛争解決など寺院運営・管理に必要な法律知識を最新の寺院事情や関係する判例と共に住職にも分かりやすく解説した手引書。



梵字入門 小峰彌彦監修・中野展子著 東京堂出版 1500円
一文字に神聖な力が備わる梵字。その意味・読み・書き方から生まれ年の干支や月の守護梵字、願いに応じた梵字の探し方まで梵字の基礎知識を解説。



生と死と祈りの美術 細田あや子著 三弥井書店 5800円
釈迦の臨終を描いた涅槃図と、イエスの死の哀悼図はどう違うか。人生の階段図、他界観の比較など東西の宗教美術に込められた違いが読み解かれる。



タンカ チベット仏教美術の精華 科学出版社東京 4800円
中国の西域で花開いた仏教美術タンカ。制作そのものが仏教の儀式であるタンカについて歴史から工程、継承、鑑賞法まで解説される。王海霞編著。



必ず役立つ仏教ドリル 瓜生中監修 NHK出版 1200円
知っていそうで知らない葬儀・法事・仏壇などの仏事の作法とお寺の年中行事の常識43問を、回答は三択のQ&Aで学ぶクイズ形式の仏教入門書。



御守りの本 ハヤシナオタケ構成・文 ワールドフォトプレス 1667円
約3400体もの御守りコレクションを持つグラフィックデザイナーが、厳選した御守り百体について、その写真と共に解説を加えた御守りガイド。





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