[『月刊住職』 2019年7月号より転載]

ナーガールジュナの讃歌 津田明雅著 起心書房 11800円
空を理論化して大乗仏教の祖となったインドのナーガールジュナ(龍樹)が、広く教えを伝えるために仏の智慧と慈悲を讃嘆した讃歌を原典と和訳とを対照させ解説を加えた本格的研究書。



古代寺院の芸術世界 肥田路美編 竹林舎 14000円
古代寺院の仏像や伽藍に見る芸術性について「感応」のメカニズムを視野に読み解いた論文20編を収録する。「古代寺院の和歌活動の動機」「薬師寺金堂薬師三尊像の機能と霊験」他。



唐招提寺の伝統と戒律 律宗戒学院編 法藏館 10000円
唐招提寺中興の祖、覚盛上人の770年御忌を記念して唐招提寺の教義や歴史を浮き彫りにする論文集。「建築から見る唐招提寺の鎌倉復興」「古代寺院の僧房と僧侶の持戒生活」他。



物部氏と石上神宮の古代史 平林章仁著 和泉書院 2700円
古代氏族の雄である物部氏と、律令制以前のヤマト王権の特徴を、古代の天皇観や、物部氏の神話と呪術、仏教崇廃抗争の真相などから解明する論書。



賢者の王国 愚者の浄土 工藤美和子著 思文閣出版 6500円
平等院鳳凰堂など貴族や天皇家が知識や財力で理想的世界を顕現させようとした「賢者の王国」と、法然などの愚者の自覚を前提として追求した理想的世界とをそれぞれの言葉から論ずる。



仏教の聖者 史実と願望の記録 船山徹著 臨川書店 3000円
仏教の歴史に果たして「聖者」はいたのか。名だたる祖師や学僧たちの修行の実態と宗教的階位について、原典資料をもとに考察。「聖者の数」他。



親鸞に聞く 大無量寿経の意① 藤場俊基著 サンガ伝道叢書 741円
平成26年から29年まで真宗大谷派大垣教区の連続講座として開催された『大無量寿経』講義を収録。全8巻予定のうちの1巻が刊行された。



ここがわからん浄土真宗  大法輪閣編集部編 大法輪閣 1700円
副題は「あらゆる疑問に答え、誤解をとく」。浄土真宗の基礎知識から、葬儀、法事、信仰生活などの疑問、さらには往生をめぐる論点までを解説。



大阿闍梨 酒井雄哉の遺言 玄秀盛著 佼成出版社 1500円
新宿歌舞伎町に拠点を構え、五万人以上の社会的弱者を救済してきた日本駆け込み寺の代表が、亡き天台宗大阿闍梨に背中を押された言葉をまとめる。「自然に止まるまで止めるな」など。



住職という生き方 蝉丸P著 星海社 1000円
「葬式は不要だから直葬に」「住職も経営者目線を持つべきだ」は本当に主流なのか。動画サイトなどを通じて発信してきた四国の真言宗住職が、お寺と疎遠な世代に届けるメッセージ。



いちいち不機嫌にならない生き方 名取芳彦著 青春出版社 1000円
ささいなことで不機嫌を顔に出す人は多い。「人の一生は〝機嫌の格差?で決まる」と東京の真言宗豊山派住職が自他共に円満に生きるコツを指南。



生死の覚悟 高村薫・南直哉著 新潮社 740円
坐禅の先にあるものは何か、オウムに決定的に欠けていたものとは―。時代を代表する作家と、恐山菩提寺院代でもある曹洞宗住職による対談集。



幻想の√5 中谷友香著 ベストセラーズ 1800円
副題は「なぜ私はオウム受刑者の身元引受人になったのか」。15年にわたりオウム死刑囚たちとの交流を図ってきた著者が、元幹部の素顔などを綴る。



人類の起源、宗教の誕生 山極寿一・小原克博著 平凡社 840円
副題は「ホモ・サピエンスの『信じる心』が生まれたとき」。文明誕生以前にも宗教的な思考は存在したか。京大総長の霊長類学者と宗教学者の対談。



死の所有 一ノ瀬正樹著 東京大学出版会 7000円
死刑、安楽死、脳死、殺人、戦争に対する死をめぐる近代の思考はいかなる社会制度や宗教文化が投影されているのか。現代の死生観の深層に迫る。



笑う 神さま図鑑 川副秀樹著 言視舎 1200円
思わず笑みがこぼれるユニークな神様を紹介する。「三途の川であなたを待っている奪衣婆さま」「高齢化社会に満を持して登場の人頭さま」など。



多摩札所めぐり 御朱印を求めて歩く メイツ出版 1630円
東京の西部、神奈川の北西部にまたがる武相48観音霊場、多摩13仏霊場の巡り方を札所寺院の歴史や由来の解説と共に案内。多摩巡礼倶楽部著。



極楽寺ひねもす日記① 宮本福助著 KADOKAWA 650円
住職が突然、夢を追いかけると宣言して失踪し、夫人も後を追った。お寺に一人残されたのはマイペースな跡取り息子。青年僧の成長を描くコミック。





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