4月号画像
A5判・176頁・全頁2色刷
(表紙/手塚雄二 画伯)
2010年4月号の主な内容 (No.137)

[今月号の特集]

直葬が増えているのなら一体だれのせいなのか

今世紀初頭の不況と超高齢化が招いたものの1つに「直葬」をあげる人がいるかもしれない。いやそんなもんじゃないと一蹴する向きもあろう。しかし現に、肉親が死んでも通夜葬儀せず火葬場に直行する者がいる。この現場を取材した。


葬式仏教の本当の危機とは何か……藤井正雄(大正大学名誉教授)

寺院と庶民の関係、仏教儀礼のあり方を長年研究してきた宗教学者の目に今日の「直葬」現象はどのように映っているのか。状況分析のみならず仏教葬儀の再生を問う。




住職が保険金目当てで自坊に放火したのはなぜか?

住職が自坊の本堂、庫裡に火を放ち全焼させた。警察は、住職が自らの負債に窮したための火災保険金目当てだと断定して、逮捕に踏み切った。目を覆いたくなるようなことが、今、埼玉県秩父村の曹洞宗寺院で起きている。


亡き住職の妻と子息が宗派特命派遣に納得せず寺を出ぬ理由

住職が亡くなれば、後任は副住職がなるのが一般的。それが息子だとすればなおさらだ。にもかかわらず、特命住職が宗門から送りこまれたのだ。それもさる高僧の菩提寺という。なぜ、副住職であった先代の息子は住職になれなかったのか。背景には庫裡建設をめぐる寺檀の紛争があったというが…


後任住職を決める手続きを司直はどう裁いたか?

住職に息子が複数いるお寺では、一番懸念されるのは後継者選びではないか。古都鎌倉きっての名刹でいま起きている紛争もその最悪のケースといえよう。頼りにすべきは司法の判断だが、解決したのか。


宗派超え108カ寺をまとめ霊場開創を果たした住職の願力

日本最大の面積を擁する琵琶湖を一周する霊場が開創された。なんと宗派を超えて108カ寺が参加し、「びわ湖百八霊場」となったわけだが、立ち上げるのに大活躍したのが、滋賀県湖南市の天台宗寺院の住職だ。自ら若き日には檀家一軒もない無住寺に入り、見事復興させた実践力がかわれたのだ。


食事のことばは檀信徒にどのように教えられているか

子供のしつけの基本は食事作法だというのはとうに昔の話なのか。学校給食でも「いただきます」論議があるほどだ。食の乱れは国の乱れというべきなのだから、僧侶がきちんと説かねばならない。各宗では、食についてどのような気構えで、どう指導しているか取材した。


『葬式は、要らない』の真偽は!?島田裕巳氏にその真意を聞いた

本誌連載でお馴染みの島田裕巳氏は今年1月、『葬式は、要らない』(幻冬舎)を上梓した。実に刺激的なタイトルだ。しかし、葬式は本当にいらないのか。そんなはずはあるまい。島田氏に緊急取材した。


[徹底調査]

不正選挙を防止する規定が宗派で全く違う訳

伝統仏教十大宗派の選挙規定、とりわけ金品などワイロを禁止する規定の有無や選挙違反への対応について5回にわたり見てきた。その締めくくりとして、それらの規定を総覧、比較して、宗派において投票する者、される者の権利がいかに保障されているのかを検討する。


僧侶に施されたお布施の4割も抜き取る派遣業者を座視できるか!?

インターネットや葬儀の本に堂々と「何派でも僧侶派遣します」と謳う株式会社が登場し、成長企業なのだから、なにをかいわんや。当然、派遣される僧侶もいるわけで、それらの業者や僧侶の実情を知りたいと取材した。


新しい照明といま評判のLEDはお寺に得なのか損なのか

本堂の天井の照明や、吊り燈籠の電球が切れたら大変だ。住職自らが高いハシゴをかけて取り替えるか、高所も平気な人に頼むしかない。手間もコストもかかる。でもLED照明にすれば、めったに取り替える必要もなく電気代も安くなる。環境にも優しいと聞く。本当なのだろうか。




[寺院・住職に直言提言]

嶌信彦 (ジャーナリスト) … 「薬師寺長老とウズベキスタン」

海原純子 (エッセイスト・医学博士) … 「今こそ無分別智を説いてほしい」



[ショートルポ]

江戸川区の墓地紛争で行政は何をしたか/三重県四日市市河原田町に伝わる「初午さん」ルポ/台湾最南端に日本人が建てた台湾沖戦没者20万人慰霊の寺が危機に



 [好評連載]

 お寺実践講座 「僧侶への期待」
  神仁
(全国青少年教化協議会主幹)


 仏凡不二を問う 「出生前診断の宗教的問題」
  釈徹宗
(兵庫大学教授・浄土真宗本願寺派住職)


 中世寺院の実像 「伊勢神宮支えた寺院が悉く廃絶」
  井原今朝男
(国立歴史民俗博物館教授・総合研究大学院大学教授)


 今にして創価学会とは何か 「創価学会名誉会長表彰のカラクリ」
  島田裕巳
(宗教学者)


 つっぱり和尚骨山日記 「そんなに一人で先走っちゃダメ」
  髙橋芳照
(高野山真言宗住職)


 なんたって寺族の言い分 「花を生けるのは住職の務めでも」
  鏡島眞理子
(曹洞宗寺院住職夫人)


 自然の説法お寺の庭づくり 「春に枝垂れの桜とギョリュウ」
  白井昇
(日本造園組合連合会理事長)


 秘められた祈りの形講座 「今やボケ封じ霊場の賑わい」
  豊嶋泰國
(宗教民俗研究者)


 我他彼此二仏中間 「葬式贅沢論の論破いかに」
  大村英昭
(関西学院大学教授・浄土真宗本願寺派僧侶)


 色即是空の科学事始め 「血液の歴史から分かること」
  池内了
(総合研究大学院大学教授・宇宙物理学者)


 医心仏心 「心の病は遺伝子で解けるか」
  高田明和
(浜松医科大学名誉教授)


 仏心エコロジー説法 「地域の宝を守るは何か」
  岡田真美子
(兵庫県立大学環境人間学部教授・日蓮宗寺院住職夫人)


 漢字仏教つれづれ行脚 「道楽」
  興膳宏
(京都大学名誉教授)


 住職のための今月のことば 「リコール問題」
  稲垣真澄
(ジャーナリスト)


 法律相談 … 橋口玲(弁護士)・ 平松和也(弁護士)

 税金相談 … 実藤秀志(公認会計士・税理士)



[法話特集] 別冊付録



 お説教のタネ本「日本人はこの35年間に無信心になったか」


 在俗の説法者 第93回 「涙のビデオレター」
  篠原鋭一
(曹洞宗住職)


 伝承説話の智慧 第97回 「貴賤も浄穢もなし」
  亀井鑛
(真宗大谷派「同朋新聞」前編集委員・NHK「こころの時代」司会者)


 スピリチュアルケア講座 第8回 「親が子へ伝える心」
  井上ウィマラ
(高野山大学准教授)


 仏教儀礼入門 第96回 「五色の衣の始まり」
  多田孝正
(天台宗住職・大正大学名誉教授)


 そもそもお葬式セミナー 第84回 「喪と忌や違う」
  村越英裕
(臨済宗妙心寺派住職・イラストライター)


 法語伝道聖句三昧 第137回
  岩坪眞弘 (高野山真言宗住職)



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