7月号画像
A5判・190頁・全頁2色刷
(表紙/上村淳之 画伯)
2012年7月号の主な内容 (No.164)

[今月号の特集]

原発の人の気配が消えた町で檀徒の帰りを待つ退避令解除の5カ寺ルポ
警戒区域が再編されて福島第一原発20キロ圏内の南相馬市小高区にやっと入れるようになった。同地には浄土真宗本願寺派光慶寺、浄土宗浄国寺、曹洞宗同慶寺、真言宗豊山派金性寺、天台宗見明院の5カ寺が建つ。「寺院の破産も間近」「モノより希望がほしい」「放射能まみれになっても居続ける」……。現地に取材して聞こえてくるのは住職方の悲痛な叫びだった。


千葉県の真言宗智山派寺院を揺るがす檀徒除名無効訴訟の教訓
住職が檀徒を除名することなどあってはならないこと。だが、そうせざるを得ないとしたならば、何があったのだろうか。しかも除名処分を受けた檀徒は争いを法廷に持ち込んだ。その裁判の事実をあえてお伝えするのは、ここに現代寺院が知るべき教訓があるからだ。



墓地区画整理を墓主に拒まれた事件の最高裁重要判決
たった一人の反対であやうく墓地の区画整理が完了しないところだった。墓所の面積が減るのはイヤだと改葬を拒んだ檀家に対して関東地方の浄土宗寺院は、墓埋法の改葬許可条件とされた判決を求めて提訴した。どの寺院にもかかわるこの争訟。最高裁までもつれた判決の結果は?



大特集 各宗海外布教の現状と問題…今日も世界中で日本の僧侶が教化に懸命です
日本伝統仏教界の海外寺院数は現在、416カ寺を超えることが分かった。これら遠く海外にある寺院で僧侶はいかなる条件下で布教に努めているのか。宗派からの助成金はあるのだろうか。海外布教における各宗の現況や取り組みを調査取材した。



お寺の活性化に何が必要か 日蓮宗のお寺活性化コンペ受賞寺院に学ぶ
お寺をもっと盛り立てたいと願う住職は多い。日蓮宗が募集した「地域社会とお寺の活性化アイデアコンペティション」の事例は参考となるだろう。「活動部門」大賞の静岡県日蓮宗妙泉寺の「森と寺子屋のようちえん」、優秀賞の和歌山県日蓮宗安楽寺と救世観音宗童楽寺の「お寺de縁結び」、石川県5宗派16カ寺の「山の寺学」、京都府日蓮宗立本寺の「お寺体験」を紹介しよう。



お寺に最適なトイレとはどんなものか
日本のトイレは機能、ホスピタリティ共に世界一といわれる。背景にあるのが清潔好きの国民性だ。お寺はどうか。参詣者に心地よい最新トイレを導入したお寺を訪ね、その実際を取材した。



約1000頁もの法話集を出版し伝道に命をかける住職がいる
法話集を自費出版する住職は少なくない。だが、1冊1000頁近くの本となると、それだけで驚きだ。しかも内容が白眉にして平易。たちまち版を重ね3500部。著者は岩手県花巻市の浄土宗松庵寺の小川隆英住職。その伝道の営みには学ぶべきものが満載だ。



新伝道! 家系図布教を行う住職に聞いた功徳力
家系図ブームなんか他人事だと思っていたら大間違い。住職自ら檀信徒の先祖を辿って家系図を制作配布したところ、疎遠になった檀家と絆が深まるなど思わぬ布教効果が出ている。現代にもっとも必要な新布教アイテム「家系図」の実際を実践寺院に見る。



北朝鮮の金日成生誕100周年行事に招かれて願う…池口惠觀(高野山真言宗最福寺住職)
この4月、日本の僧侶が一人、北朝鮮の国家行事に招かれ、おまけに最高勲章を与えられた。それは北朝鮮に眠る日本人戦没者を供養し遺骨を日本に帰したいという一心が実ったものだった。



寺子屋は子供たちに仏教を教える道場だったのか…梶井一暁(国立大学法人・鳴門教育大学准教授)
江戸期に寺子屋は全国に約5万5000カ所を数えた。そこでは何が教えられていたのか。手本にいろは歌やお経も使われたというから、仏教の何たるかを人々に教える場だったのか。



学校で生と死はいかに教えられているか…岩田文昭(大阪教育大学教授))
いま特に公立小中学校で問題になっている一つが「いのちの教育」とか「生と死の教育」といわれる授業だ。だが、この教育方法には限界があるという。問題は寺院住職にも決して無縁ではない。



僧侶100人超が大飯原発再稼働反対の訴え
この5月末、仏教もキリスト教もネパール僧もそれぞれの僧衣を身にまとい、一致団結して福井県庁に大飯原発再稼働反対を訴えた。全国から詰めかけた僧侶はなんと100人超。だがこれを報じたのは地方紙3紙のみだった。呼びかけた「原子力行政を問い直す宗教者の会」にそのわけを聞いた。



[寺院・住職に直言提言]
広瀬隆 (ノンフィクション作家/反原発活動家) … 「一職人からのささやかな書簡」
辻原登 (作家) … 「青春、父の終焉 家出の消滅」




[ショートルポ]
●和歌山・高野山真言宗の宗門高校の授業中に女生徒同士の傷害事件はなぜ起きたか●茨城・曹洞宗寶安寺を襲った観測史上最強の竜巻被害●駒澤大学が外資系証券3社を訴えた154億円の根拠●境内でスキ焼きはダメと命じた京都・真言宗御室派総本山仁和寺の裁判判決


寺院諸施設建築最新ファイル〔39〕
大阪府・浄土宗極楽寺 里山を借景に観想できる老僧手作りの和風庭園の真骨頂




 [好評連載]

 今なお寺院をとりまく法律的暗雲〔5〕
 「寺院境内地や墓地を奪った地租改正」…池谷四郎



 今に生きる人々に伝えたい仏教の実践的解釈論〔16〕
 「仏教になぜ民俗が入りこんだのかを検証すべきこと」
  奈良康明
(仏教学術振興会理事長・駒澤大学名誉教授)


 初めての人に仏教を説くために 最新版仏教文化基礎講座〔16〕
 「滅諦を無明の消滅と説かれてきたのは誤りだった」
  鈴木隆泰
(山口県立大学大学院教授・国際文化学研究科長)


 今にいたる中世の寺院・僧侶や在家その実像〔95〕
 「地震や異常気象に対し朝廷は何をしたか」
  井原今朝男
(国立歴史民俗博物館教授・総合研究大学院大学教授)


 本当の創価学会問題〔16〕
 
 「助成10億円超の創価大学は創価学会による創価学会のための大学か」
  段勲
(ジャーナリスト)


 仏教ことわざよもやま漫歩〔19〕
 「一能く無量と為り、無量能く一と為る」
  勝崎裕彦
(大正大学仏教学部長・浄土宗住職)


 つっぱり和尚骨山日記〔163〕
 
 「寺にサクラを観に来てくれていたなら、こんなことになっていなかったのに…」
  髙橋芳照
(高野山真言宗住職)


 なんたって寺族の言い分ほんねの記〔117〕
 「檀家さんがまさか、お寺の苔泥棒だったなんて」
  鏡島眞理子
(曹洞宗住職夫人)


 いまさら師匠に聞けないこと〔7〕
 「名を読み上げる際の敬称は?」
  仙田陽高
(真言宗豊山派住職)


 古今東西名著万巻のススメ〔10〕
 「盆行事は仏教に非ず日本の『固有信仰』にありや」
  芹川博通
(比較思想学会前会長・日本宗教学会評議員)


 色即是空の科学事始め〔74〕
 「何のための原発ストレステストか」
  池内了
(総合研究大学院大学教授・宇宙物理学者)


 我他彼此二仏中間
 「マスメディアの東京スカイツリー騒ぎに冷水を注す」
  大村英昭
(大阪大学名誉教授・浄土真宗本願寺派僧侶)


 住職のための今月のことば
 「自動車事故」
  稲垣真澄
(ジャーナリスト)


 70億人の宗教トレンド〔27〕
 「国民か移民かと迫るサルコジを破ったオランド新大統領の良心」
  荒木重雄
(アジア社会研究者・社会環境学会理事長)


 法律相談… 橋口玲(弁護士)・ 平松和也(弁護士)
  質問1 副住職が離婚してしまうが寺を出る妻に個人として寺としてすべき義務は?
  質問2 某新宗教の地区役員になった檀徒を責任役員会で除名したが有効か?


 税金相談… 実藤秀志(公認会計士・税理士)
  質問1 住職個人所有の建物を賃貸する際どうしたら節税できるでしょうか
  質問2 父の農地を相続したが売却や地目変更やお寺に寄付でも節税ですか





[法話特集] ●毎号12ページの「法話特集」別冊が付きます。



 お説教のタネ本「人生に欠かせぬ大切なものほど目に見えない」


 在俗の説法者〔120〕 「1000点満点のお弁当」
  篠原鋭一
(曹洞宗住職・自殺防止ネットワーク風代表)


 生きるとは何か〔24〕 「経と緯のはたらきで」
  亀井鑛
(NHK「こころの時代」司会者)


 スピリチュアルケア講座〔35〕 「言うべきでないこと」
  井上ウィマラ
(高野山大学准教授)


 仏教儀礼入門〔123〕 「施餓鬼五如来の訳―中国仏教から日本仏教へ―」
  多田孝正
(天台学会会長・大正大学名誉教授)


 そもそもお葬式セミナー〔111〕 「二代将軍源頼家の葬儀」
  村越英裕
(臨済宗妙心寺派住職・イラストライター)


 法語伝道聖句三昧〔164〕
 
「どんな不運に見舞われても不幸になっちゃいけないよ(作家・津島佑子)」
  峯岸正典
(曹洞宗住職)



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