10月号画像
A5判・196頁・全頁2色刷
(表紙/上村淳之 画伯)
2013年10月号の主な内容 (No.179)

[今月号の特集]

納めた供養料を返せと老檀家の後見人が寺院を訴えてきた波紋
「私が死んだ後もずっと供養をしてください」。高齢檀家からそう後を託された菩提寺は永代供養料を受け取った。ところが後日、後見人が現れ「ボケた檀家に寄付させた。お金を返せ」と裁判まで仕掛けてきたのだ。この高齢化社会の中でどの寺院も新たな教訓とすべき供養料返金裁判の事実に学ぶ。


寺院を荒廃させた罪で教師失格10年の処分を下され住職不在が続く大問題
そのお寺を訪ねて驚いた。本堂は閉ざされ、檀家は何年もお参りができず、しかも堂内はゴミ屋敷になっている!? 浄土宗が告示した一人の教師の失格処分の背景にあったのは、深刻なお寺の危機だった。




お寺の撮影や写真掲載を認めて受ける志納金に課税庁が介入する真意
京都の臨済宗相国寺派金閣寺・銀閣寺の撮影や新聞・雑誌などへの写真掲載に際しては“志納金”が納められている。だが、大阪国税局はこれを「収益事業にあたる」として課税の見解を示していたことが分かった。課税庁の宗教法人への“課税傾向”は正しいことなのか。他の有名寺院にも聞く。



ネットで匿名の発信者によって誹謗中傷を受けたと教団や信者がプロバイダを訴えた判決
インターネット接続業者を相手取り、新宗教教団や信者が提訴した。お寺には関係のないことだと思ったら、さにあらず。ネットの普及による新訴訟で、お寺だって被害者にも加害者にもなる可能性があるのだ。匿名がはびこるネットの中で、住職も知っておくべきプロバイダ責任制限法とは何か。



初の全宗調査③ 感動呼ぶ葬儀をするための故人を讃える各宗法語の実際
住職は檀信徒の葬儀で表白や諷誦文、歎徳文、引導文などの文章を読み上げる。文例集から引用することが多いが、通夜の法話と並び、口語で教えを伝えられる貴重な場だ。各宗派の文章を総覧し、力を入れる住職の実例を紹介する。



独自取材! 増え続ける引き取り手のない遺骨はどう扱われているか
誰にも看取られず読経供養もされずに公営合祀墓に葬られる遺骨はどれほどあるのか。本誌が独自に取材をしたところ、10大都市だけでも年に4000柱もあることが分かった。行政は政教分離で宗教者の介在を許さないが、それを乗り越えて読経を続ける宗教者もいた。「直葬」に対する仏教界からのアンチテーゼとなるか。



宗教者に活用してほしい「未来共生災害救援マップ」の意味…稲場圭信(大阪大学大学院准教授)
地震、噴火、風水害、火災、大爆発……それがいつになるか分からないにせよ、災害は誰にもやってくる。その時、何が頼りになるか。宗教者への期待も大きくなっている。それに備えて手元におくべき災救マップがある。「宗教者災害救援ネットワーク」を運営する著者が語るマップの重要性と災害への備え。



“祈り”は科学的にもその効果が実証できるのか
今秋、遺伝子研究者の世界的権威、筑波大学の村上和雄名誉教授が前代未聞の実験を行う。なんと祈りの効果を科学的に調査“実証”するという。協力するのは横浜市の高野山真言宗弘明寺(美松寛昭住職)。祈り方や祈る側の違いも影響するのか。いったいどのように測るのか。祈り研究の最前線を取材した。



お寺に必要な「畳」が危機にあるって本当か?
多湿の日本の気候に、広々とした木造の本堂に、自然素材の畳は最適だ。だがこの畳が近ごろ、消滅の危機にあるという。畳業界に取材すると意外にもお寺とかかわることが分かったのだ。



津軽三味線で仏道を説いて大ヒットするまでの住職の懸命な紆余曲折
迫力ある津軽三味線と笑顔あふれるお説教、名付けて「三味線法話」が人気の住職がいる。静岡県富士市の曹洞宗慶昌院・磯田浩一住職だ。若き日は仕事を転々として、悩んだ末に編み出した独自の布教法で全国を回る。



新たな僧侶像を予感させるスピリチュアルケア青年僧の実践
生老病死の苦悩に医者は対応できない。ここに近年、注目されているのがスピリチュアルケアだ。「傾聴」によって相手の心に寄り添い、生きる力を取り戻す手助けを行う。自らこの現場に飛び込み、最前線で活躍する大阪市・浄土宗願生寺の大河内大博副住職のルポ。



好評連載 宗派そして宗派の最高議決機関で論議されていることは寺院や住職のためなのかチェックしよう
【日蓮宗】大金を投入しても価値があるはずのアーカイブズ事業とは何か
【臨済宗妙心寺派】全寺院約35万人の名簿を宗派でデジタル化するわけ
【真宗大谷派】議員選挙の投票時間延長や郵便投票できる制度を変更したわけ
【浄土真宗本願寺派】本堂の荘厳の左右は本尊から見てか、外陣から見てか?



[寺院・住職に直言提言]
中山千夏 (芸能人) … 「芸能人と僧侶とタダの人」
和合亮一 (詩人) … 「お盆に想う」




[ショートルポ]
●愛媛県・時宗宝厳寺の国指定重文・一遍上人像が火災で跡形もなく、なくなった●静岡県・日蓮宗大泉寺の廃仏毀釈にめげぬ唯一の富士山仏教遺跡●毎朝の寺参り50年を目指す熊本県・浄土真宗本願寺派明泉寺の門徒と住職の不屈●奈良・華厳宗大本山東大寺の施設名称使用差し止め裁判の決着





 [好評連載]

 初めての人に仏教を説くために 最新版仏教文化基礎講座〔30〕
 「祇園精舎の寄進から分かる仏教における布施の本質」
  鈴木隆泰
(山口県立大学大学院教授・国際文化学研究科長)


 今にいたる中世の寺院・僧侶や在家その実像〔110〕
 「公家から武家の過渡期に見る御願寺の異変」
  井原今朝男
(国立歴史民俗博物館教授・総合研究大学院大学教授)


 新連載 激変する葬送にいかに対処すればよいか!? 〔3〕
 「デザイン納骨堂がはやる理由は他界観の変化か」
  内藤理恵子
(宗教学者)


 本当の創価学会問題〔30〕
 「今も書き続けられて、改訂されている名誉会長の本が所依聖典というのは本当か」

  段勲
(ジャーナリスト)


 秘められた祈りの形講座〔101〕
 「明治政府により廃絶された虚無僧の謎とその復興の今」
  豊嶋泰國
(宗教民俗研究者)


 現代日本の宗教最前線の状況と問題〔13〕
 「いまどきの若者がグローバルな人材となるための模索―なぜ日本人は内向き志向になったのか」
  櫻井義秀
(北海道大学教授/宗教社会学者)


 今こそ宗教と法律の問題新講座〔7〕
 「宗教者の守秘義務と証言拒絶権」
  櫻井圀郎
(宗教法および宗教経営研究所所長教授)


 つっぱり和尚骨山日記〔178〕
 
 「『嗚呼、一所懸命に稼いだ夏の収入が一瞬にして消えて行く』と和尚が呻くわけ」
  髙橋芳照
(高野山真言宗住職)


 なんたって寺族の言い分ほんねの記〔132〕
 「認知症ぎみの檀家が増えて、ただあわててる場合じゃない」
  鏡島眞理子
(曹洞宗住職夫人)


 いまさら師匠に聞けないこと〔22〕
 「般若心経の真言はなぜ漢訳されない!?」
  仙田陽高
(真言宗豊山派住職)


 古今東西名著万巻のススメ〔24〕
 「坂村真民著『自選 坂村真民詩集』を読む」
  芹川博通
(比較思想学会前会長・日本宗教学会評議員)


 色即是空の科学事始め〔89〕
 「タイムホライズン・ゼロ社会――『より良く』より『より速く』でいいのか」
  池内了
(総合研究大学院大学教授・宇宙物理学者)


 仏教ことわざよもやま漫歩〔34〕
 「和顔愛語・先意承問」
  勝崎裕彦
(大正大学学長・浄土宗住職)


 住職のための今月のことば
 「終活の時代」
  稲垣真澄
(ジャーナリスト)


 70億人の宗教トレンド〔42〕
 「本土を離れた華人たちの心を支える儒教・道教・仏教の真の姿とは」
  荒木重雄
(アジア社会研究者・社会環境学会理事長)


 法律相談… 橋口玲(弁護士)・ 平松和也(弁護士)
  質問1 所轄庁は書類を提出しない宗教法人に過料のほか強制執行もできるか
  質問2 お寺の借地契約が30年で満了したので使ってないお寺の土地だけでも返してもらいたい


 税金相談… 実藤秀志(公認会計士・税理士)
  質問1 市役所が保育園建設のために寺院の土地を貸してくれというが税務は?
  質問2 寺院護持会で葬儀祭壇を購入して檀家に貸したいが課税されますか?





[法話特集] ●毎号12ページの「法話特集」別冊が付きます。



 お説教のタネ本「もし明日、世界が滅びるとしたらどうしますか」


 在俗の説法者〔135〕 「お母さんに会いたい」
  篠原鋭一
(曹洞宗住職・自殺防止ネットワーク「風」代表)


 生きるとは何か〔39〕 「使う者は使われる」
  亀井鑛
(NHKEテレ「こころの時代」司会者)


 スピリチュアルケア講座〔50〕 「動かないこと」
  井上ウィマラ
(高野山大学准教授)


 仏教儀礼入門〔138〕 「梵唄・梵音とは何か―四箇法要として―」
  多田孝正
(天台学会会長・大正大学名誉教授)


 そもそもお葬式セミナー〔126〕 「なぜ葬儀をするのか」
  村越英裕
(臨済宗妙心寺派住職・イラストライター)


 法語伝道聖句三昧〔178〕 「I Have a Dream―私には夢があります―キング牧師」
  田中治郎
(みち書房代表)


 いまどきマンガ説法〔15〕 「刀葉樹」
  佐々木正祥
(真宗佛光寺派住職)






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