3月号画像
A5判・202頁・全頁2色刷
(表紙/上村淳之画伯・文化功労者)
2014年3月号の主な内容 (Vol.476)

[今月号の特集]

寺院運営の基盤たる護持会はいま有効に機能しているか?
戦後のお寺の経済基盤を担ってきた組織に護持会がある。お布施とは別に会費制で寺院の必要経費を支える制度で、宗費や寺族の生活保障、布教教化に大きな役割を果たしてきた。だが高齢化と人口減の進む現代、お寺の興隆に護持会は役立つのか? 埼玉県・臨済宗南禅寺派国済寺、群馬県・曹洞宗鳳仙寺、神奈川県・曹洞宗宗英寺、東京都・浄土真宗本願寺派大恩寺にその実践と運営のコツを取材した。


お寺が災害時の避難所になるためにはどんな備えが必要か
地域や行政と災害協定を結ぶ寺院や仏教界が増えている。とくに被災者の避難所となることが望まれている。しかし本当にお寺は避難所になれるのだろうか。そのために何が必要なのか。東日本大震災で大活躍した宮城県石巻市の曹洞宗洞源院、日蓮宗法音寺、豪雨で遺体安置所にもなった鹿児島市の西本願寺鹿児島別院、『寺院備災マニュアル』を制作した僧侶に取材した。



後回しにされた寺院の放射能除染はどうなるのか
放射能被害に悩まされているのは原発退避指定区域だけではない。8県102市町村が除染指定対象なのだ。しかし、行政は寺院を「事業所」に分類して後回しにしている。これに対して真宗大谷派は5カ寺の除染賠償の和解申し立てを全面支援した。



永代供養冥加金の3割返礼も所有権移転の約束も守らぬ業者との納骨堂事業の恐怖
土地も建設費もすべて業者に出してもらい、名義だけをお寺とすることで開設された首都圏の浄土真宗東本願寺派寺院の大納骨堂で裁判が起きた。裁判を見るだけで、いかに名義貸しが恐ろしいことなのかが分かる。お寺も納骨堂使用者も業者の利益追求に利用されているのだ。



9宗派調査…お寺を支える住職夫人に宗門が義務化している研修内容とその受講率
お寺の後継者と結婚した女性に、宗旨や仏教を学ぶ機会はどれほどあるのか。おそらく、多くはその時間を取る間もないほど多忙に違いない。ここに宗派はどんな研修の機会を作り、その実際の受講率はどれくらいなのか。天台宗、高野山真言宗、真言宗智山派、真言宗豊山派、浄土宗、浄土真宗本願寺派、臨済宗妙心寺派、曹洞宗、日蓮宗の住職夫人のための研修会の現況を取材した。



オリジナル襖絵で寺檀活性化 全国唯一の襖絵を作った6カ寺に学ぶ
こんな自由な発想もあるのだと驚く。写真や現代作家の作など、個性溢れる襖絵で檀信徒を喜ばせている寺院があるのだ。埼玉県・真言宗智山派宝幢寺、栃木県・真言宗智山派泉福寺、新潟県・曹洞宗慈光寺、京都府・曹洞宗乾窓院、神奈川県・東寺真言宗弘済寺、佐賀県・浄土真宗本願寺派大衆寺の実践を取材した。



お墓は何のためにあったのか? あるのか? 〔第1回〕…佐藤弘夫(東北大学大学院教授)
時代がいかに変わろうと葬儀の仕方は変わらないというのは思い込みに過ぎなかったことが明らかになりつつある。それはなぜか。日本人の死生観の変化と宗教との関係を読み解く。



葬儀や供養の報道に寺院や僧侶の声が載らない深刻な実態…江田昭道(武蔵野大学客員研究員)
寺離れや葬儀をしない人が増えたなどと新聞やテレビがしばしば取り上げる。だがその報道をよく見ると、それらの当事者である寺院や僧侶の声がほとんど載っていない。なぜなのか。メディアの偏向・悪意なのか。



都内のお寺に増えている「草木塔」はどこからやってきたのか
東京都内の寺院に「草木塔」と呼ばれる供養碑が増えている。草木塔と何か? 誰が何のために建てたのか? 謎の多い草木塔のルーツを調べてみると、山形県に辿りついた。先人たちの込めた自然への思いとは別に、現代の草木塔には新たな願いが込められていた。



アジア各国の子供たちのために心血を注いでいる住職の利他行半世紀に学ぶ
困っている人が目前にいれば助けたいと誰もが思うだろうが、実践は難しい。その思いを海外に向け、アジアの国々に学校を24校も建てた住職がいる。東京都品川区の真言宗智山派来福寺、本多隆法住職が設立した「水月会」の実践。



好評連載 宗派そして宗派の最高議決機関で論議されていることは寺院や住職のためなのか、チェックしよう
【高野山真言宗】宗門と高野町が共同経営する幼稚園をめぐる賛否両論
【日蓮宗】宗派の「意思表明」をめぐる各宗担当者による公開講座の意義
【天台宗】青年僧が防災士の資格取得を推奨するわけとその活用方法



[寺院・住職に直言提言]
上野千鶴子 (社会学者/日本学術会議会員) … 「コミュニティカフェとしてのお寺」
北原照久 (ブリキのおもちゃ博物館館長) … 「言葉には力がある」




[ショートルポ]
●真言宗御室派総本山仁和寺の会館料理長が慰謝料と未払い賃金の支払いを求めて提訴したわけ●浄土宗寺院の住職に追徴税額1億2000万円で檀信徒が知った現実●僧俗問わず話に耳を傾けるだけで救いとなる浄土真宗本願寺派と浄土宗の傾聴ボランティア活動





 [好評連載]

 今にいたる中世の寺院・僧侶や在家その実像〔115〕
 「南北朝の和平に御願寺僧が活躍できたわけ」
  井原今朝男
(国立歴史民俗博物館教授・総合研究大学院大学教授)


 今からの宗教酔眼千里眼〔5〕
 「日本人と現代仏教の位相(5)」
  島薗進
(上智大学教授・宗教学者)


 パーソナルブッディズム〔17〕
 「捨てて捨てて『家』を薄め『寺』を濃く」
  小池龍之介
(正現寺住職)


 激変する葬送にいかに対処すればよいか!? 〔7〕
 「弔いを親類や近所にも知らせぬようになったわけ」
  内藤理恵子
(宗教学者)


 初めての人に仏教を説くために 最新版仏教文化基礎講座〔35〕
 「人の痛みに合わせて法を説いた釈尊から分かること」
  鈴木隆泰
(山口県立大学大学院教授・国際文化学研究科長)


 現代日本の宗教最前線の状況と問題〔18〕
 「仏教国タイで非常事態宣言にかかわらず首都機能麻痺のデモが続くのはなぜか」
  櫻井義秀
(北海道大学教授/宗教社会学者)


 今こそ宗教と法律の問題新講座〔11〕
 「宗教活動にとって刑法とは何か」
  櫻井圀郎
(宗教法および宗教経営研究所所長教授)


 つっぱり和尚骨山日記〔183〕
 
 「人徳も仏徳もないのによう住職やってるよと常々思うが残りは9年!?」
  髙橋芳照
(高野山真言宗住職)


 なんたって寺族の言い分ほんねの記〔137〕
 「月に一度のお経の会を始めて改めて分かったこと」
  鏡島眞理子
(曹洞宗住職夫人)


 いまさら師匠に聞けないこと〔27〕
 「ペットの骨を埋葬できますか?」
  仙田陽高
(真言宗豊山派住職)


 古今東西名著万巻のススメ〔29〕
 「J・エドキンズ著『釈教正謬』を読む」
  芹川博通
(比較思想学会前会長・日本宗教学会評議員)


 色即是空の科学事始め〔94〕
 「モラルをも蝕むお金の魔力――杉良太郎の寄付もイスラエルの託児所も……」
  池内了
(総合研究大学院大学教授・宇宙物理学者)


 仏教ことわざよもやま漫歩〔39〕
 「瑠璃も玻璃も照らせば光る」
  勝崎裕彦
(大正大学学長・浄土宗住職)


 住職のための今月のことば
 「アッラーと神」
  稲垣真澄
(ジャーナリスト)


 70億人の宗教トレンド〔47〕
 「クーデターのエジプト軍事政権がなぜ憲法で宗教政党を禁止したのか」
  荒木重雄
(アジア社会研究者・社会環境学会理事長)


 法律相談… 平松和也(弁護士)・ 長谷川正浩(弁護士)
  質問1 祖母や家内が訪問販売で布団や飲料水を多量に買わされたが返せるか
  質問2 資産運用の失敗で住職に賠償義務はあるか。お寺の資産運用規程のヒナ型


 税金相談… 実藤秀志(公認会計士・税理士)
  質問1 突然お寺に出勤しなくなった寺務員の給与はどう会計処理すべきですか
  質問2 お寺以外に布教師の収入や株の損があるが確定申告の仕方を教えてください





[法話特集] ●毎号12ページの「法話特集」別冊が付きます。



 お説教のタネ本「『心に火をつける言葉』缶コーヒーのテレビCM名言集より」


 在俗の説法者〔140〕 「友情の甲子園」
  篠原鋭一
(曹洞宗住職・自殺防止ネットワーク「風」代表)


 生きるとは何か〔44〕 「300万人の啜り泣き」
  亀井鑛
(NHKEテレ「こころの時代」元司会者)


 スピリチュアルケア講座〔55〕 「情報共有の大切さ」
  井上ウィマラ
(高野山大学教授)


 仏教儀礼入門〔143〕 「坐り方と起ち方」
  多田孝正
(天台学会元会長・大正大学名誉教授)


 そもそもお葬式セミナー〔131〕 「宗旨と生死観の矛盾」
  村越英裕
(臨済宗妙心寺派住職・イラストライター)


 法語伝道聖句三昧〔183〕 「さあ、新しい自分を始めよう」
  峯岸正典
(曹洞宗住職)


 いまどきマンガ説法〔20〕 「ゆるキャラ」
  佐々木正祥
(真宗佛光寺派住職)






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