12月号画像
A5判・210頁・全頁2色刷
(表紙/上村淳之画伯・文化功労者)
2014年12月号の主な内容 (Vol.485)

[今月号の特集]

信徒に勧めたい菩提寺のためになる「遺言書」の作り方
来年から相続税が上がる。「国に税金として取られるより自分の財産は世のため仏教のために使ってほしい」と菩提寺へ遺贈したいと思う人は今後、ひょっとしたら増えるかもしれない。その際の遺言書の作り方、注意点を取材した。


寺院が訴えられた墓地裁判の判決――墓地代金返還請求訴訟と無縁墓改葬の巨額損害賠償請求訴訟
墓地を経営する住職は留意すべき判決をお伝えする。一つは十数年前に檀家が支払った墓地使用料を、墓地の未使用を理由に檀家の息子が返せと東京の真言宗智山派寺院を訴えた裁判だ。もう一つは東京の浄土真宗本願寺派寺院が無縁墓として墓地を改葬したことに対し遺族が巨額賠償を求めた裁判。いずれもきわめて教訓的な判決だった。



覚醒剤で刑に問われた住職に対する宗派と檀家の衝撃
7月、三重県松阪市の臨済宗妙心寺派住職(49歳)が逮捕された。なんと現場はお寺で、覚醒剤所持の現行犯逮捕だった。なぜ住職は覚醒剤なんかに手を出したのか。公判で明らかになった実情に、宗派も檀家も大きな衝撃を受けている。



生きている間に檀信徒みんなを仏弟子にして寺門活性化しよう!
檀家とは当然、仏教徒にちがいなく、亡くなれば住職は戒名、法号、法名を授ける。だがしかし、檀家は普段より自分は仏教徒だと自覚しているのだろうか。この大問題を乗り越えるべく檀家に「仏弟子の自覚を持ってもらう機会」を作った住職たちがいる。神奈川県の日蓮宗妙常寺、曹洞宗寺院、曹洞宗千葉県宗務所、埼玉県の天台宗慶福寺、高野山真言宗播磨青年教師会のユニークで真摯な実践をルポ。



今年の冬も予想される大雪にお寺はどんな準備が必要か
今年2月の大雪で、雪国でない多くの寺院がかつてないほどの被害を受けた。事前の備えがないことも事態を悪化させた要因だという。今年の冬も再び大雪の可能性があり、お寺も対策を講じたいが、ではどうしたらよいのか。除雪の仕方や道具について専門家に取材した。



必ず起こる大震災に備えて寺院もできる無線や無料電話や備蓄の実践に学ぶ
地震、津波、地すべり、豪雪……。近年に多発する命にかかわる大災害に住職はどう備えるべきか。無線機を導入した日蓮宗東京都西部宗務所、「災害時優先電話」や「特設公衆電話」を備える寺院、帰宅困難な檀家のために備蓄する寺院の実践を取材した。



お寺から出る不用物はいかに処分したらよいか。いや、捨てずに活かそう(1)
年末の大掃除が近づいてきた。お寺でも普段よりゴミが増えることだろう。だが宗教活動に使ったものは安易に捨てずに活かしたいものだ。広島県・浄土真宗本願寺派正善寺、三重県・日蓮宗妙長寺、京都府・浄土宗宝巌寺、石川県・浄土宗如来寺、山形県・曹洞宗持地院、和歌山県・救世観音宗童楽寺、奈良県・真言宗醍醐派十輪院の7カ寺のアイデアと実践を紹介しよう。



「声明」は世界に誇る宗教音楽と国内ばかりか世界にも興隆させた住職の奮闘
造形芸術と違い、音楽を研究対象とするのは至難。だが埼玉県所沢市、真言宗豊山派宝玉院の新井弘順住職は「当事者の僧侶にしかできないこと」と声明の研究や公演に心血を注いできた。宗派や分野を超えた人々と協力して国内外に声明のすばらしさを広めている。



都心でオープンした「お寺カフェ」が人気なのはなぜか
「気軽なお喋りの場」としてカフェを開くお寺が各地に現れ、けっこう好評を得ているという。東京都心にも先頃、お寺が直営するカフェが相次いでオープンしている。どうして今お寺がカフェを開くのか? その浄土真宗本願寺派信行寺「寺カフェ代官山」、真言宗豊山派金剛院「赤門テラスなゆた」を訪ねると意外な事実が分かった。



新連載 無縁墳墓の歴史と今日的問題(1)
無縁墳墓はなぜ改葬しなければならないのかその歴史と課題…森謙二(茨城キリスト教大学教授)

少子化や意識の変化によって墓地の継承者が減り無縁墳墓が増えているという。そのせいか無縁墳墓の改葬問題が注目されている。しかし無縁イコール改葬でいいのか。そもそも無縁改葬はいつから誰が必要としたのだろうか。



忘れられがちな被災者の人権に気づくために…季平博昭(浄土真宗本願寺派人権問題啓発委員会事務局長)
「がんばれ! 負けるな!」といった言葉が東日本大震災の被災地で多く聞かれた。善意の励ましだが、声をかける方とかけられる方ではその受け止め方は同じではない。浄土真宗本願寺派が発行したリーフレット「災害と人権」はこの問題を啓発している。



好評連載 宗派そして宗派の最高議決機関で論議されていることは寺院や住職のためなのか、チェックしよう
【曹洞宗】元修行僧が訴えた専門僧堂暴行事件で宗派は法廷でどう抗弁したのか
【浄土真宗本願寺派】宗門関係の医師たちが志す西本願寺医師の会とは何か
【浄土宗】かつて宗派離脱した寺院に復帰を勧める意図とその成果は



[寺院・住職に直言提言]
岸井成格 (毎日新聞社特別編集委員) … 「歴史の転換期の今こそ」
橋本治 (作家) … 「宗教が形だけでもいいじゃないか」




[ショートルポ]
●愛知県・臨済宗妙心寺派白雲寺住職の有罪と剥職の理由●群馬県・時宗青蓮寺に新設された「虹の電話」とは何か●「気仙三十三観音霊場」と「三陸遍路みち」60カ寺の大震災を乗り越えて被災地を巡る霊場作り





 [好評連載]

 激変する葬送にいかに対処すればよいか!? 〔15〕
 「法事をしない者が増えているとしたらその訳は」
  内藤理恵子
(宗教学者)


 寺院と僧侶と檀家の近世史実〔6〕
 「宗門改で無実を訴えつつも数十年投獄され牢死した事実」
  圭室文雄
(明治大学名誉教授)


 誌上講座・未来の住職塾から寺院僧侶活性化対論〔6〕
 「これからはお寺での葬儀を(2)」
  松本紹圭
(『未来の住職塾』塾長)・ 井出悦郎 (『未来の住職塾』講師)


 今からの宗教酔眼千里眼〔14〕
 「日本人と現代仏教の位相(14)――臨床宗教師研修に学ぶ」
  島薗進
(上智大学教授・宗教学者)


 パーソナルブッディズム〔26〕
 「やはりこの道をおいて他に道なし」
  小池龍之介
(正現寺住職)


 初めての人に仏教を説くために 最新版仏教文化基礎講座〔44〕
 「霊魂はあるかと問われた釈尊の答えで何が分かるか」
  鈴木隆泰
(山口県立大学教授)


 本当の創価学会問題〔42〕
 「日蓮宗の抗議にもかかわらず特許庁が創価学会の出願を認めた商標がいま問題の訳」

  段勲
(ジャーナリスト)


 現代日本の宗教最前線の状況と問題〔26〕
 「求められるままに僧侶はただ傾聴するだけでよいのか」
  櫻井義秀
(北海道大学教授/宗教社会学者)


 今こそ宗教と法律の問題新講座〔18〕
 「自主納税と納税せぬ者への制裁」
  櫻井圀郎
(宗教法および宗教経営研究所所長教授)


 今にいたる中世の寺院・僧侶や在家その実像〔124〕
 「寺院への寄進は取り戻せないとした証文」
  井原今朝男
(国立歴史民俗博物館名誉教授・総合研究大学院大学名誉教授)


 つっぱり和尚骨山日記〔192〕
 
 「我が檀家の葬儀を他寺に取られたのは住職31年にして4件目になりますが……」
  髙橋芳照
(高野山真言宗住職)


 なんたって寺族の言い分ほんねの記〔146〕
 「仏教婦人会の来期の県大会実行委員長にさせられて」
  鏡島眞理子
(曹洞宗住職夫人)


 70億人の宗教トレンド〔55〕
 「分断されていた大民族クルド人が対イスラム国で脚光を浴びる訳」
  荒木重雄
(アジア社会研究者・社会環境学会理事長)


 いまさら師匠に聞けないこと〔36〕
 「誰も経済と無関係では暮らせません」
  仙田陽高
(真言宗豊山派住職)


 色即是空の科学事始め〔103〕
 「加速している軍学共同体制」
  池内了
(総合研究大学院大学名誉教授・宇宙物理学者)


 仏教ことわざよもやま漫歩〔48〕
 「宝を棄て草を担う」
  勝崎裕彦
(大正大学学長・浄土宗住職)


 住職のための今月のことば
 「想像する能力」
  稲垣真澄
(ジャーナリスト)


 古今東西名著万巻のススメ〔36〕
 「岸本英夫著『死を見つめる心』を読む」
  芹川博通
(比較思想学会前会長・日本宗教学会評議員)


 法律相談… 本間久雄(弁護士)・ 平松和也(弁護士)
  質問1 適格を欠くので長男を住職にしないと告げたら「詐欺だ」といわれました
  質問2 車で参詣とは知らずに檀徒に酒を勧めて事故を起こしたら住職も処罰されますか


 税金相談… 実藤秀志(公認会計士・税理士)
  質問1 住職名義の庫裡の省エネ化とバリアフリー工事をしたいが税金は控除されますか
  質問2 東日本大震災で被災した寺院への指定寄付金制度はまだ利用できますか





[別冊付録](12ページ) ●毎号「法話特集」の別冊が付きます。



 お説教のタネ本「寄付をしてもらう側も学ぶべき戦略とは」


 在俗の説法者〔149〕 「0点でも入学できた」
  篠原鋭一
(曹洞宗住職・自殺防止ネットワーク「風」代表)


 生きるとは何か〔53〕 「世帯仏法腹念仏」
  亀井鑛
(NHKEテレ「こころの時代」元司会者)


 スピリチュアルケア講座〔64〕 「神性への目覚め」
  井上ウィマラ
(高野山大学教授)


 仏教儀礼入門〔152〕 「僧侶の持ち物と所作」
  多田孝正
(天台学会元会長・大正大学名誉教授)


 そもそもお葬式セミナー〔140〕 「各宗派の故人を送る文――浄土真宗の表白文」
  村越英裕
(臨済宗妙心寺派住職・イラストライター)


 法語伝道聖句三昧〔192〕 「大丈夫」
  田中治郎
(みち書房元代表)


 いまどきマンガ説法〔29〕 「千趣観音」
  佐々木正祥
(真宗佛光寺派住職)






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