9月号画像
A5判・206頁・全頁2色刷
(表紙/上村淳之画伯・文化功労者)
2015年9月号の主な内容 (Vol.494)

[今月号の特集]

葬儀の「お布施」が業者に搾取されている許しがたい事実
施主は自分の包んだ「お布施」が葬儀業者の儲けになっているなんて、想像すらしないに違いない。だが本当の話だ。「葬儀の紹介料」という名目で多い時には5割、6割もの手数料を住職はお布施から業者に搾取されているという。なかには業者が喪主から直接「お布施」を受け取って抜く場合もあるというから、とんでもない話だ。首都圏の住職たちが業界のよごれた実態を明かす。


スクープ! 開運商法の祈祷詐欺に加担した住職が告白する手口と実際
開運を謳うネックレスやブレスレットを釣り餌に、高額祈祷料を寺名義の口座に振り込ませる被害総額10数億円ともいわれる開運商法事件。これに真言宗の数カ寺が関与していたのだ。前号に続き、今号は寺院住職2人の衝撃の告白! なぜ人々を騙して大金を巻き上げるグループに手を貸したのか。お寺も被害者なのか。そもそも祈祷詐欺と一般寺院の加持祈祷は何が、どう違うのか。


首都圏で始めた大霊園の利権をめぐり兄弟2カ寺が檀家を巻き込んで争う核心
檀家100軒以下の岐阜県にある真宗大谷派寺院が埼玉県で大霊園を開設。造成費約10億円。この夢のような話が実現したのは石材店多数の出資、つまり名義貸しだったが、霊園は売れた。だが幸運は続かず弟が埼玉県に真宗系単立寺院を立ち上げると2カ寺が泥沼の紛争に陥った。裁判の現実と教訓は何か。


秘仏がなくても大丈夫!どのお寺でもできる「ご開帳」成功法
今年行われた信州・善光寺の御開帳の参拝者数は700万人以上!仏教ばなれなどと言われても、ご開帳の人気は昔も今も変わらない。自坊でご開帳行事を行えば、新たなご縁をつなぐきっかけにもなる。しかも秘仏を持っていないお寺でもできるというのだ。ご開帳を実践する福井県・曹洞宗水生寺、京都府・臨済宗相国寺派眞如寺、愛知県・曹洞宗龍岳院、東京都・聖観音宗大観音寺、茨城県・真言宗智山派勝福寺に成功のヒントを聞いた。



宗派によって伽藍被災への復興支援金が相当異なる訳
災害列島の日本にある以上、どのお寺でも伽藍が被災する可能性は小さくない。当然、損害保険等で各寺は被害に備えているだろうが、宗門もそれぞれ補償制度をもっている。それは本当に頼りになるものか、各宗派に取材した第2回は真宗大谷派、浄土真宗本願寺派、浄土宗、曹洞宗、真言宗豊山派の制度を見よう。



檀家に「ペットを安楽死させてもよいか」と聞かれたら住職は赦すか
少子高齢化が進む日本では、今や子供の数より犬猫の数が上回るが、深刻な問題も起きている。自分が死んだあとのペットの行く末を案じるあまり、「安楽死させてやりたい」という声が高齢の飼い主から出ているというのだ。こんな相談がお寺に持ち込まれたら、なんと答えればよいか。そもそもペットの「安楽死」など許されるのか。



拝観料を「今よりも払ってもいい」という世論調査結果と住職のホンネ
7月23日付『朝日新聞』に実に興味深い世論調査の結果が掲載された。お寺や神社にある文化財や文化財保護に対する意識を問う調査で、「文化財保護のためなら拝観料を今より払ってもいいか」という質問に、「払ってもいい」との回答者が6割をこえたのだ。文化財を有するお寺は調査結果をどう見るか。果たして拝観料でお寺を支えられるのか、実情と本音を鎌倉、京都、奈良、富山のお寺に聞く。



「レンタル墓」まで登場する時代にお寺のお墓はこれからどうなるのか
経済的事情や継承者問題などでお墓を持ちたくても持てない人がいる一方で、永代供養墓を契約してお参りにもいかない人がいる。お墓と供養の大切さが失われようとしている今、新しいお墓の形を提供するお寺がある。「レンタル墓」「永久墓地システム」や超安価な供養料など4カ寺を取材した。



悩める高齢者や障害者にお寺を全開放した住職の介護仏教心
富山県魚津市の真宗大谷派専正寺の本堂には介護ベッド2床のみならず、何台もの車椅子がある。なんと本堂でデイサービスを行っているからだ。久津谷俊行住職が今から11年前、50代半ばで一念発起して始めた「専正寺デイサービスまごころ」は今や地域になくてはならない安心(あんじん)の場になっている。その実践をルポ。



新連載 陛下そして皇室の宗教を改めて知るために――かつて天皇は仏教に帰依していた・・・斎藤吉久(宗教ジャーナリスト)
戦後70年の今、日本の象徴たる天皇皇后両陛下そして皇室の方々の宗教信仰を改めて知りたいと思う寺院住職は少なくないかもしれない。畏れ多くも、戦後、わが国の伝統とは異なる例もしばしば見られるからである。



新連載 盆踊り全国漫遊記「仏教のお祭りを活性化させるために盆踊りのルーツを辿る」…柳田尚也(湘南盆踊り研究会代表)
庶民に親しまれ、古より伝えられてきた盆踊りには、お寺の教義や儀礼とはまた異なる「もう一つの」お盆や盆踊りの姿があるという。盆踊りの魅力にはまり、盆踊り研究会まで立ち上げた筆者による連載スタート。




新連載(3) 日日是薩婆訶(にちにちこれそわか)・・・玄侑宗久(臨済宗妙心寺派福聚寺住職/作家)
お盆に加えて本堂改修工事と今夏は一輪車で綱渡りのような緊張の日々。だが国会では安全保障法案が強行採決され、和尚も黙ってはいられない。始まってしまえばやめることのできないこの国なのだから。




地元新聞記者の寺院現況リポート〔6〕
寺院が檀家を巻き込み集客拠点となれれば過疎も乗り越えられる…桜井邦彦(中国新聞文化部記者)

地域の人口が減り続けているのをただ傍観しているのであれば、寺院もいずれ疲弊するだろう。この現実を僧侶のみならず檀家や地域の人々と共有するところから寺院が核となって人々の集える再生事業を始めている例が増えつつある。




第10回本誌「住職関心事アンケート」結果(3)
前号に続き第10回「住職関心事アンケート」の結果をご報告しよう。今回は「お寺が税務調査を受けたことがありますか? 追徴されましたか?」。寄せられた住職の体験談からは寺院に対する税務当局の問題も浮かび上がってくる。




[寺院・住職に直言提言]
マリ・クリスティーヌ (異文化コミュニケーター) … 「生き方のお手本」
熊谷達也 (作家) … 「災後の小説と宗教」




[ショートルポ]
●京都の印刷会社元役員の不正流用に臨済宗寺院の口座が使われ伽藍が建てられたのは本当か?●曹洞宗石川県宗務所の所属135カ寺のホームページすべてを紹介する新たな取り組み●「ペットとの参詣お断り」のお寺が増えている理由





 [好評連載]

 初めての人に仏教を説くために 最新版仏教文化基礎講座〔53〕
 「釈尊が提婆達多の要求を拒んだ理由から分かる真実」
  鈴木隆泰
(山口県立大学教授)


 現代日本の宗教最前線の状況と問題〔33〕
 「ホームレス急増の現実に宗教者の支援はいかに可能か」
  櫻井義秀
(北海道大学教授/宗教社会学者)


 秘められた祈りの形講座〔118〕
 「山門に祀るほど四天王が仏教護法神となれた訳と功徳」
  豊嶋泰國
(宗教民俗研究者)


 激変する葬送にいかに対処すればよいか!?〔24〕
 「仏壇用線香の売れ筋が激変しているのはなぜか」
  内藤理恵子
(宗教学者)


 今にいたる中世の寺院・僧侶や在家その実像〔133〕
「御守の風習はなぜ、いつから、誰が始めたのか――僧侶により御守が作られ授けられた史実」
  井原今朝男 (国立歴史民俗博物館名誉教授・総合研究大学院大学名誉教授)


 寺院と僧侶と檀家の近世史実〔15〕
 「今につづく寺院の多くはいつごろ、どのように成立したか」
  圭室文雄
(明治大学名誉教授)


 本当の創価学会問題〔50〕
「10兆円ともいわれる創価学会の資産はいかに形成されているか」
  段勲 (ジャーナリスト)


 なんたって寺族の言い分ほんねの記〔155〕
 「住職になんと朝のお勤めをやめさせてしまった訳」
  鏡島眞理子
(曹洞宗住職夫人)


 誌上講座・未来の住職塾から寺院僧侶活性化対論〔15〕
 「あなたの知らない寺報の世界」
  松本紹圭
(『未来の住職塾』塾長)・ 井出悦郎 (『未来の住職塾』講師)


 今からの宗教酔眼千里眼〔23〕
 「日本人と現代仏教の位相(23)――東西の映画に描かれる弔いのあり方」
  島薗進
(上智大学教授・宗教学者)


 今こそ宗教と法律の問題新講座〔25〕
 「知っているようで知らない『墓埋法(墓地、埋葬等に関する法律)』」
  櫻井圀郎
(宗教法および宗教経営研究所所長教授)


 70億人の宗教トレンド〔64〕
 「震災復興にもネパール観光にも不可欠なヒンドゥー寺院の実際」
  荒木重雄
(アジア社会研究者・社会環境学会理事長)


 いまさら師匠に聞けないこと〔45〕
 「不殺生戒について考えてしまった訳」
  仙田陽高
(真言宗豊山派住職)


 色即是空の科学事始め〔112〕
 「新国立競技場問題に言いたい――このまま行けば日本は破綻国家になる」
  池内了
(総合研究大学院大学名誉教授・宇宙物理学者)


 古今東西名著万巻のススメ〔43〕
 「森三樹三郎著『老荘と仏教』を読む」
  芹川博通
(比較思想学会前会長・日本宗教学会評議員)


 仏教ことわざよもやま漫歩〔57〕
 「瓶の水を移す」
  勝崎裕彦
(大正大学学長・浄土宗住職)


 住職のための今月のことば
 「霊魂の行方」
  稲垣真澄
(ジャーナリスト)


 法律相談… 長谷川正浩(弁護士)・ 平松和也(弁護士)
質問1 墓地内に永代供養墓を建てたいが納骨堂として行政の許可は必要か
質問2 寺の家作が空き家になったり檀家の家が無人になったらどうすればいいか


 税金相談… 実藤秀志(公認会計士・税理士)
質問1 年収350万円の住職と年収100万円の妻の国民健康保険税の試算
質問2 借り手なく空き家状態にある寺院の貸家の固定資産税が気になる





[別冊付録](12ページ) ●毎号「法話特集」の別冊が付きます。



 お説教のタネ本「覚悟の思いで国に殉じた人々の遺言を聞こう」


 在俗の説法者〔158〕 「子供の貧困SOS」
  篠原鋭一
(曹洞宗住職・自殺防止ネットワーク「風」代表)


 生きるとは何か〔62〕 「幸福論是れ仏道」
  亀井鑛
(NHKEテレ「こころの時代」元司会者)


 スピリチュアルケア講座〔73〕 「自転車で転倒して」
  井上ウィマラ
(高野山大学教授)


 露の団姫のお笑い仏教寄席〔4〕
 「街中で偽托鉢を見かけたら皆さんどうされます?」
  露の団姫
(つゆのまるこ、落語家)


 そもそもお葬式セミナー〔149〕 「永代供養塔の規約」
  村越英裕
(臨済宗妙心寺派住職・イラストライター)


 法語伝道聖句三昧〔201〕 「してあげたことは長く覚えているが、してもらったことはすぐ忘れてしまう」
  渡邉照敬
(真言宗智山派延命寺住職)


 いまどきマンガ説法〔38〕 「ガチャポン」
  佐々木正祥
(真宗佛光寺派住職)






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