10月号画像
A5判・206頁・全頁2色刷
(表紙/上村淳之画伯・文化功労者)
2016年10月号の主な内容 (Vol.507)

[今月号の特集]

寺院収入のどれほどを宗派に納金すれば宗派は期待通りの活動ができるのか
賦課金の値上げというと、お寺からは反対の声がほとんど。だが宗派の活動費から見るとどうだろう。過疎寺院対策や後継者育成、都市開教など宗派の課題は増えるばかり。社会的要請も多い。それと比べて財政は大丈夫なのか。さらには、寺院の収入格差が広がる傾向もある。主要十大宗派を比較分析し、宗費の適正な負担率はどれくらいなのか調査した。


寺院本来の活動が税法上も適うように各寺院の法人規則の目的条項を見直そう
わが国の寺院の法人規則の目的条項にはほとんど、宗派寺院としての目的が強く記されている。だが、「釈尊の教え」とか「仏教を広め」「檀信徒を問わず」など大乗的な文言はない。実際の寺院活動と乖離したここに課税当局が目を付けた。宗教活動ではないと課税したのだ。


お寺の保育園の副園長である住職夫人が市より刑事告発された嫌疑と情実
民間の刑事告発ではない。なんと、大分県内の市から浄土真宗本願寺派寺院の住職夫人、つまり坊守が刑事告発される前代未聞の事件が起きた。坊守はお寺が始めた社会福祉法人保育園の副園長として辣腕をふるう一方で公金を流用したのだ。お寺への流用が懸念される。



婿養子住職が晋山わずか1年で宗派から罷免処分を受けたのは人権問題か
住職の座を巡る裁判が兵庫県の高野山真言宗寺院で起きている。発端は昨年、先代の孫娘と結婚した僧侶が住職に就いたものの早々に離婚したこと。それをきっかけに檀家が反目。「檀家の帰依を失った」と宗派から住職を罷免された。新たに住職に就いたのが離婚した元妻だ。元住職は処分を不服として宗派とお寺を訴えている。



お寺の土地建物から預金まで先代寺族に奪われた住職の返還訴訟の勝敗
宗教法人認証申請中だった関東の真言宗醍醐派寺院で、住職が急逝した。住職名義だった境内地と建物は妻と子が相続し、住職は妻が継いだ。やがて娘婿が住職を継ぐと、驚くことに寺院名義の預金は先代の妻に奪われた上に境内地も新住職には譲らないという。苦悶しつつ住職は提訴。裁判の焦点は「権利能力なき社団」だった。



インターネットで僧侶に相談できるサイトが大評判
お坊さんに自分の悩みを聞いてほしいと思ったら、どんな方法があるだろう。電話相談は各宗派や地域仏教会が行っているが、意外にその窓口は少ない。だが今、そのトレンドはインターネットだという。住職多数による相談サイトの実際を取材した。



墓参に最適な手桶棚はどう選べばよいか
お墓参りに桶やバケツは欠かせない。これを収納するのが手桶棚だが、つい乱雑になりがちだ。片付けの手間をかけずに丈夫で機能的な棚はあるか。住職自らデザインした整理整頓に優れた棚から、洋風霊園にも似合うオブジェ風の棚まで一挙紹介。



東日本大震災の避難生活者のためにあらゆる方法で身を挺する熱血住職
困窮する人や悩む人がそばにいれば黙って過ぎることはできないとは、まさに「言うは易く、行うは難し」だ。それでも、大震災によって故郷を離れて暮らさざるを得ない人々に、わが身を捧げて寄り添い続ける住職がいる。福島県伊達市の曹洞宗寺院住職の熱き実践を密着取材した。



お寺の娘が思いもよらず住職を継ぐまでの超過激な紆余曲折
父の後を継ぐはずの弟がお寺を出た。父母は養老院に入ると覚悟。これを知った娘がお寺に戻ってきた。それまでお寺に全く関心がなかったのになぜなのか。京都市の真宗佛光寺派寺院に生まれた娘がお寺を継ぐまでの紆余曲折をルポ。



新連載(3)生老病死に向き合う僧侶に期待されるケア
「縁ある多くの人にもっとお寺を使ってもらう方法」…谷山洋三(東北大学大学院准教授)

葬儀や法事は、いうまでもなく寺院にしかできない重要な営みだ。これを軽んずることはできない。とはいえ、お寺という空間や僧侶という人格をそれだけで終わらせてしまうのは、あまりにもったいない。もっと活かせる方法を、事例を交えて紹介する。



好評連載 激変する葬送にいかに対処すればよいか!?〔36〕
「人のエンディングが“商業産業”になってしまった証なのか」…内藤理恵子(宗教学者)

8月に東京ビッグサイトで開催された「エンディング産業展」。そのタイトルからして象徴的だ。何しろ人の最期や葬送までもが現代ではもはや産業なのだ。そんな思いを抱いて展示会場へ行くと、なんと美坊主コンテストまであったのには驚いた。



地元新聞記者の寺院現況リポート〔19〕
「教えを説くだけでなく、お寺や僧侶は被災者や障害者に何ができるのか」…桜井邦彦(中国新聞文化部記者)

多くの犠牲者を出した広島土砂災害から丸2年が過ぎた。被災者にとっては地域の寺院がかけがえのない場となっているという。発達障害者やその家族を支える市民グループにも、僧侶の参加が大きな力になっている。その実情を見よう。



好評連載 日日是薩婆訶(にちにちこれそわか)(14)
「雑用というものはなく、何の道でもそういうものではないか」……玄侑宗久(臨済宗妙心寺派福聚寺住職/作家)




障害者を快く迎えるお寺にしよう〔8〕
「映画やドラマに描かれる障害者になぜ多くの人が感動するのか」…野沢和弘(毎日新聞社論説委員)

知的障害で障害者手帳を所持している人は94万人。身体や精神の障害者も計400万人以上。彼らにはそれぞれ家族や福祉関係者などの応援団がいる。とすれば、障害者と無縁な人は少数派ということか。障害者を主人公にした映画やドラマが支持されるのも、実はその表れではないのか。



連載 寺院と僧侶と檀家の近世史実〔27〕
「江戸庶民の仏教信仰の典型とされる『とげぬき地蔵』の縁起」…圭室文雄(明治大学名誉教授)

今日「とげぬき地蔵」といえば、東京は巣鴨にある曹洞宗高岩寺の門前「地蔵通り商店街」を思い浮かべる人は多い。この「とげぬき地蔵」が、仏教史的にも江戸時代の庶民信仰の典型だという。



連載 本当の創価学会問題 〔63〕
「創価学会はどのようにして国内のみならず海外でも信者を獲得してきたのか」…段勲(ジャーナリスト)




[寺院・住職に直言提言]
松尾貴史 (タレント/俳優/コラムニスト) … 「『信じる』ことと『疑う』こと」
小松成美 (ノンフィクション作家) … 「死線を越える修行」




[ショートルポ]
●宗祖『最澄』や祖山『比叡』の名称が商品名に使われた天台宗の対応と多量商標出願問題から考える商標に馴染まない仏教名目●所依の経典『観無量寿経』に記された差別語「栴陀羅(せんだら)」に東西本願寺はどう対応するのか●墓地を計画するお寺が悪で自然保護は正義なのか? 埼玉県真宗大谷派寺院の門徒墓地建設計画とトトロ財団の対立




好評連載 宗派そして宗派の最高議決機関で論議されていることは寺院や住職のためなのか、チェックしよう
【臨済宗妙心寺派】熟年層の出家を推進する新制度「宗門特別学徒」の効用とは
【浄土真宗本願寺派】宗務所全職員が対象となる人事評価制度導入の影響力





初めての人に仏教を説くために 最新版仏教文化基礎講座〔66〕
「一族の出家に憤激し粗暴な言葉で罵るバラモンに対する釈尊の教誡」…鈴木隆泰(山口県立大学教授・寺院住職)


 新刊告知 
 日本印度仏教学会賞受賞者・鈴木隆泰教授の本誌連載の単行本化第2弾『ここにしかない原典最新研究による本当の仏教第2巻』(本体価格2,400円)が発売されました。第2巻は釈尊の説法で重要な女性の出家や死後世界、そしてアングリマーラの殺人、提婆達多の釈尊殺害計画の全貌が分かる内容。心の危機に釈尊は何を救いとしたのか、原典に学ぶ最良の教えを人生に活かしましょう。



住職のための今月のことば「都市と大都市」 …稲垣真澄(産経新聞元編集委員・ジャーナリスト・僧侶)

 既刊告知 
 稲垣真澄が現代社会に斬り込む本誌連載が単行本『いつでも法話ができる現代布教キーワード必ず説きたい176話』(本体価格2,900円)が大好評です。「TPP」「ゼロ葬・直葬・墓じまい」「ドローン」など現代を読み解くキーワード176を宗教、葬送、社会など14のジャンルに分け、キーワードごとに見開き2頁で編集。毎日起きる出来事や変化を素早く法話に織り込むためのヒントや説き方の実例集としても最適。







 [好評連載]

 今にいたる中世の寺院・僧侶や在家その実像〔146〕
「関東に残された板碑群に彫られた仏像が物語る、中世の東国に生まれた新たな信仰」
  井原今朝男 (国立歴史民俗博物館名誉教授・総合研究大学院大学名誉教授)


 秘められた祈りの形講座〔128〕
 「十夜法要が極楽往生を願う儀式として流行した謎」
  豊嶋泰國
(宗教民俗研究者)


 今こそ宗教と法律の問題新講座〔33〕
 「納骨と納骨堂の正しい法的解釈」
  櫻井圀郎
(宗教法および宗教経営研究所長教授)


 色即是空の科学事始め〔125〕
 
 「全体主義的な雰囲気が2020年へ向かって強まる今、もう一度、東京オリンピックに反対します」
  池内了
(総合研究大学院大学名誉教授・宇宙物理学者)


 現代日本の宗教最前線の状況と問題〔44〕
 
「寿命は延びたが人々の幸福感は増したのか」
  櫻井義秀
(北海道大学教授・宗教社会学者)


 なんたって寺族の言い分ほんねの記〔167〕
 「曹洞宗大本山永平寺で行われた保育研修会に参加して学んだこと」
  鏡島眞理子
(曹洞宗住職夫人)


 誌上講座・未来の住職塾から寺院僧侶活性化対論〔28〕
 「『私のお寺』を選ぶ時代の情報発信」
  松本紹圭
(『未来の住職塾』塾長)・ 井出悦郎 (『未来の住職塾』講師)


 今からの宗教酔眼千里眼〔36〕
 
「日本人と現代仏教の位相(36)――傾聴と寄り添いのあり方(2)」
  島薗進
(上智大学教授・日本臨床宗教師会会長)


 いまさら師匠に聞けないこと〔56〕
 「人が国が競い合うスポーツって何なのか」
  仙田陽高
(真言宗豊山派住職)


 70億人の宗教トレンド〔77〕
 「中東民主化のモデルといわれたトルコが爆発テロに晒された訳」
  荒木重雄
(アジア社会研究者・社会環境学会理事長)


 古今東西名著万巻のススメ〔54〕
 「石田梅岩著『都鄙問答』を読む」
  芹川博通
(比較思想学会前会長・日本宗教学会評議員)


 仏教ことわざよもやま漫歩〔70〕
 「智度は菩薩の母、方便は父」
  勝崎裕彦
(大正大学前学長・浄土宗住職)


 コラム 盆踊り全国漫遊記〔14〕
 「盆の芸能を普及させた本願寺」
  柳田尚也
(湘南盆踊り研究会代表)


 法律相談… 長谷川正浩(弁護士)・ 平松和也(弁護士)
質問1 宗派に除名され寺の役僧も解雇されたが裁判所に訴えたら助けてくれるのか
質問2 「不治かつ末期になったら無意味な延命措置をしない」と宣言した父に妻や子は従うべきなのか


 税金相談… 河村照円(税理士・行政書士・寺院住職)
質問1 隠居した父がそのまま庫裡に住み、新住職のためには庫裡を新築したら課税されますか
質問2 帳簿上は毎月お寺に預けてきた住職の給与のすべてをお寺に寄付する会計処理方法





[別冊付録](12ページ) ●毎号「法話特集」の別冊が付きます。



 お説教のタネ本「親からわが子に仏さまの教えを伝えるために」


 在俗の説法者〔171〕 「仏種を宿す少年たち」
  篠原鋭一
(曹洞宗住職・自殺防止ネットワーク「風」代表)


 生きるとは何か〔75〕 「福助人形に教わる」
  亀井鑛
(NHKEテレ「こころの時代」元司会者)


 スピリチュアルケア講座〔86〕 「お施餓鬼の当番」
  井上ウィマラ
(高野山大学教授)


 露の団姫のお笑い仏教寄席〔17〕
 「仏教界だって、ゆるキャラ作戦大成功なり!」
  露の団姫
(つゆのまるこ、落語家)


 そもそもお葬式セミナー〔162〕 「三回忌にする法話」
  村越英裕
(臨済宗妙心寺派住職・イラストライター)


 法語伝道聖句三昧〔214〕 「立って! ゴールに向かおう」
  田中治郎
(文筆家/仏教塾「柏樹庵」主宰)


 いまどきマンガ説法〔51〕 「AI人工知能」
  佐々木正祥
(真宗佛光寺派住職)






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