11月号画像
A5判・210頁・全頁2色刷
(表紙/上村淳之画伯・文化功労者)
2016年11月号の主な内容 (Vol.508)

[今月号の特集]

首都圏にお寺が求められているのに行政が建立を認めないのはなぜなのか
千葉県の浄土真宗本願寺派寺院が、増加した檀信徒の利便性を考えて別院建立を計画した。ところが、自治体当局は市街化調整区域だからと不許可とした。そこで、他の自治体では許可されるケースだと寺院側は行政訴訟を起こしたのだ。寺院が足りない現状を行政はなぜ顧みないのか。行政の寺院無理解だ。


障害者差別で糾弾された先代を後継した子息が批判されるのは人権問題か
大分県内の格式があり檀家1200軒という宗内有数の寺院の住職に晋山すれば毀誉褒貶はつきもの。だが父親である先代が障害者差別発言で糾弾されるなか遷化した経緯があればなおさら後継子息は辛く、寺檀ともに穏やかではないだろう。終わらない寺檀紛争の現状をリポート。


住職が実の母を寺院資産の横領で訴えた理由と判決
寺院経理が住職や寺族によって行われていれば公私混同もありうるもの。寺族がずさんな金銭処理を続けた果てに、銀行預金が寺院のものか寺族のものなのか争われた裁判だ。その教訓とは。



住職にも生前退位は大問題! 決断した住職たちの本音
住職は終身という考え方がある。だが、長寿化が進む時代、生前に退位するお寺が増えているという。ではその時機をどう見極めたのか。譲ってよかったのか、後悔はしていないのか。後継に譲った前住職、近く譲ろうと考えている住職の本音を聞いた。



ハクビシンやアライグマなど外来動物被害から寺院を守るにはどうすべきか
外来動物が全国各地で大繁殖して問題化している。人間の生活圏に適応し、糞尿被害や異臭に加え、病原菌を媒介するなど人的被害をもたらすリスクがあるからだ。お寺も例外ではない。被害に遭ったらどうするべきか。



現代の勧進「クラウドファンディング」の成功する活用法
伽藍や仏像の修復、地域貢献のためのイベントなど、先立つものが必要になった時どうするか。手立てのひとつに近年お寺も利用しているのが「クラウドファンディング」。インターネットで呼び掛けて目的に共感する人から支援金を募る、いわば現代版の勧進だ。けれどもリスクはないのか、本当に支援が集まるのか。成功のポイントを取材した。



無縁改葬した墓の中から貴石や貴金属が出てきたらどうしたらよいか…横田睦(全日本墓園協会主任研究員)
長期間、音信不通になったお墓は所定の手続きで無縁改葬できることはご存じだろう。ところでその改葬の中でもし墓の中から貴金属などの副葬品が出てきたら、それは誰のものになるのか。また改葬後の墓石はどうすればよいのか。



外国人参詣者の急増でお寺に求められる対応とは何か
訪日外国人観光客は年間2000万人に迫る勢いだ。全国各地のお寺もその影響が著しい。各宗派本山は、多言語音声ガイドペンや民間通訳案内士と協働するなど特色ある対応で備えているがそれで十分か。外国人参詣者が実際お寺に何を求めているのかも聞き取り調査をした。



檀家ゼロのお寺を檀家700軒に増やせた理由と住職の獅子奮迅
本堂が焼けた。お寺の息子は心に傷を負い故郷を出た。だが数年後、故郷に戻り生家のお寺の住職に就任。以後、18年で本堂を再建し、ゼロだった檀家を700軒にまで増やした。なぜそれができたのか。愛知県愛西市の浄土宗住職のアイデアと奮闘の寺興しルポ。



塔婆や位牌などの字を上手に見せる方法はあるか?
お坊さんは字が上手なのが当たり前と思われているが、万人がそうとは限らない。字に悩む住職はけっこう多い。檀信徒が落胆しない程度に上手に見せる方法はあるか。書の達人僧侶たちが「初心者でも上手くなるコツ、上手に見せる方法」を伝授。



新連載(4)生老病死に向き合う僧侶に期待されるケア
「死の不安に悩める者に僧侶はどんなケアが望ましいか」…谷山洋三(東北大学大学院准教授)

寺院から飛び出て公共空間で“対人援助”をする僧侶が増えているが、どんなことに留意すべきなのか。とりわけ「死」に臨む人々に向き合うとき、僧侶にも大きな試練となろう。望ましいケアの実践を学ぼう。



地元新聞記者の寺院現況リポート〔20〕
「ヒロシマの仏教者たちによる核兵器廃絶の活動が広がりつつある」…桜井邦彦(中国新聞文化部記者)

広島に生きる住職にとって、いかに時が経とうと原爆の事実を忘れることはできないだろう。犠牲となった寺院や僧侶のみならず、多くの市民の声を掘り起こして被爆の事実を伝える僧侶らの取り組みが注目されている。宗教者の反核活動も顕著になってきた。



好評連載 激変する葬送にいかに対処すればよいか!?〔37〕
「葬送激変の中でお墓参りが廃れることはあるか」…内藤理恵子(宗教学者)

日本人が長く伝えてきた葬送のかたちが急激に変わりつつある。それでは日本人の代表的な宗教行動とされる「お墓参り」も激変の渦の中にあるのだろうか。その傾向や新たな動きを見よう。



好評連載 日日是薩婆訶(にちにちこれそわか)(15)
「いったいこの気分は何なのか、次第に正体が見えてきて」……玄侑宗久(臨済宗妙心寺派福聚寺住職/作家)




障害者を快く迎えるお寺にしよう〔9〕
「障害者自らが語るセックスについての赤裸々な告白を聞こう」…野沢和弘(毎日新聞社論説委員)

障害者の性について口にすること自体がタブーとされる時代が長く続いた。今日でも変わることのない偏見や差別があるが、そんな中でも障害者たち自らがその思いを語り始めている。



連載 寺院と僧侶と檀家の近世史実〔28〕
「江戸の庶民はとげぬき地蔵に何を祈願し、どんなご利益があったのか」…圭室文雄(明治大学名誉教授)

江戸庶民の信仰の実際を知るために、東京・巣鴨の「とげぬき地蔵」を今回も取り上げる。とりわけ、その信心の具体的な仕方や、それが全国に広がったご利益の実例をみよう。



連載 本当の創価学会問題 〔64〕
「名誉会長の崇拝を至上とする組織拡大戦略と信徒育成の巧妙な方法」…段勲(ジャーナリスト)




[寺院・住職に直言提言]
吉永みち子 (ノンフィクション作家) … 「お父さんはもうすぐ死ぬから」
小杉健治 (小説家) … 「喪中はがき」




[ショートルポ]
●荒廃し倒壊寸前だった埼玉県天台宗寺院の愛染堂が再建できたわけ●真言宗寺院を襲った開運商法詐欺で被害者が寺院のみならず宗派も提訴し問われる宗派の責任●日光東照宮が敗訴した杉並木倒壊裁判で、天然記念物を指定した行政の責任は問われたのか




好評連載 宗派そして宗派の最高議決機関で論議されていることは寺院や住職のためなのか、チェックしよう
【高野山真言宗】高野山大学の「臨床宗教教養講座」の頓挫と宗門が宗侶を告訴した前代未聞
【真言宗智山派】600km離れた2教区があえて交流協定を結んだ理由





初めての人に仏教を説くために 最新版仏教文化基礎講座〔67〕
「若き釈尊と波斯匿王との出会いから分かるヴェーダの宗教」…鈴木隆泰(山口県立大学教授・寺院住職)


 新刊告知 
 日本印度学仏教学会賞受賞者・鈴木隆泰教授の本誌連載の単行本化第2弾『ここにしかない原典最新研究による本当の仏教第2巻』(本体価格2,400円)が発売されました。第2巻は釈尊の説法で重要な女性の出家や死後世界、そしてアングリマーラの殺人、提婆達多の釈尊殺害計画の全貌が分かる内容。心の危機に釈尊は何を救いとしたのか、原典に学ぶ最良の教えを人生に活かしましょう。



住職のための今月のことば「人形の供養」 …稲垣真澄(産経新聞元編集委員・ジャーナリスト・僧侶)

 既刊告知 
 稲垣真澄が現代社会に斬り込む本誌連載が単行本『いつでも法話ができる現代布教キーワード必ず説きたい176話』(本体価格2,900円)が大好評です。「TPP」「ゼロ葬・直葬・墓じまい」「ドローン」など現代を読み解くキーワード176を宗教、葬送、社会など14のジャンルに分け、キーワードごとに見開き2頁で編集。毎日起きる出来事や変化を素早く法話に織り込むためのヒントや説き方の実例集としても最適。







 [好評連載]

 今にいたる中世の寺院・僧侶や在家その実像〔147〕
「鎌倉期東国の生き仏や生き神信仰とは何か、東国仏教信仰圏の特質(2)」
  井原今朝男 (国立歴史民俗博物館名誉教授・総合研究大学院大学名誉教授)


 秘められた祈りの形講座〔129〕
 「なぜ仏教や仏像に人を殺める刀剣が必要なのか」
  豊嶋泰國
(宗教民俗研究者)


 今こそ宗教と法律の問題新講座〔34〕
 「納骨契約を交わす際の法的理解」
  櫻井圀郎
(宗教法および宗教経営研究所長教授)


 色即是空の科学事始め〔126〕
 
 「日本の軍事化が学問の世界にも及んでいる今、軍学共同の強化に反対します」
  池内了
(総合研究大学院大学名誉教授・宇宙物理学者)


 なんたって寺族の言い分ほんねの記〔168〕
 「若手僧侶による劇団寺子屋に感銘を受けました!」
  鏡島眞理子
(曹洞宗住職夫人)


 誌上講座・未来の住職塾から寺院僧侶活性化対論〔29〕
 「お寺が選ばれる時代になる」
  松本紹圭
(『未来の住職塾』塾長)・ 井出悦郎 (『未来の住職塾』講師)


 今からの宗教酔眼千里眼〔37〕
 
「日本人と現代仏教の位相(37)――信頼できる寄り添い方 パストラルケア)」
  島薗進
(上智大学教授・日本臨床宗教師会会長)


 いまさら師匠に聞けないこと〔57〕
 「寄進と奉納にどんな違いがあるんだろう」
  仙田陽高
(真言宗豊山派住職)


 70億人の宗教トレンド〔78〕
 「劣勢が伝えられるイスラム国が再び優勢となる国家宗派の思惑」
  荒木重雄
(アジア社会研究者・社会環境学会理事長)


 古今東西名著万巻のススメ〔55〕
 「W・ラーフラ著『ブッダが説いたこと』を読む」
  芹川博通
(比較思想学会前会長・日本宗教学会評議員)


 仏教ことわざよもやま漫歩〔71〕
 「火中の蓮」
  勝崎裕彦
(大正大学前学長・浄土宗住職)


 コラム 盆踊り全国漫遊記〔15〕
 「若者の聖地巡礼文化に注目を」
  柳田尚也
(湘南盆踊り研究会代表)


 法律相談… 本間久雄(弁護士)・ 平松和也(弁護士)
質問1 葬儀をしなかったために檀家墓地への埋葬を断られたら権利侵害にあたるか
質問2 お寺の携帯電話やパソコンに頻繁に来る迷惑なメールにどう対処すべきか


 税金相談… 河村照円(税理士・行政書士・寺院住職)
質問1 住職というより親として後継の息子に税負担少なく財産を贈与したい
質問2 会計帳簿や領収書をパソコンで保存できるようになったとは本当ですか





[別冊付録](12ページ) ●毎号「法話特集」の別冊が付きます。



 お説教のタネ本「学びは自身も人も世の中も益する三字の教え」


 在俗の説法者〔172〕 「少年院からの手紙」
  篠原鋭一
(曹洞宗住職・自殺防止ネットワーク「風」代表)


 生きるとは何か〔76〕 「タックスヘイブンの話」
  亀井鑛
(NHKEテレ「こころの時代」元司会者)


 スピリチュアルケア講座〔87〕 「俯瞰的視点と視野」
  井上ウィマラ
(高野山大学教授)


 露の団姫のお笑い仏教寄席〔18〕
 「『地獄八景亡者戯』この大ネタに挑戦しました」
  露の団姫
(つゆのまるこ、落語家)


 そもそもお葬式セミナー〔163〕 「七回忌にする法話」
  村越英裕
(臨済宗妙心寺派住職・イラストライター)


 法語伝道聖句三昧〔215〕 「言ったことを実行するのが誠」
  峯岸正典
(曹洞宗長楽寺住職・宗教間対話研究所所長)


 いまどきマンガ説法〔52〕 「文殊の智慧」
  佐々木正祥
(真宗佛光寺派住職)






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