3月号画像
A5判・212頁・全頁2色刷
(表紙/上村淳之画伯・文化功労者)
2017年3月号の主な内容 (Vol.512)

[今月号の特集]

墓じまいと離檀料を煽り離檀交渉までする業者に寺院はどう対処すべきか
今やマスコミのネタになっている「墓じまい」。そこに、“法外な離檀料を請求される”との言い草でお寺との離檀交渉まで請け負う業者が現れた。ネットで葬儀を受けている企業の、まさに寺檀関係をぶち壊す新ビジネスなのか。問題の所在を取材した。


本堂も庫裡も建つ境内地なのに国有地と言い張る国と闘う寺院の訴訟
一人の住職が国を相手に必死の裁判を闘っている。新潟県加茂市の真言宗智山派寺院だ。檀家は50軒というから、その費用に事欠くこともあるとはいえ、本堂も庫裡も、客殿も参道もある境内地すべてが国名義になっている以上、引くに引けない。まさに国家権力の理不尽だ。


老住職が弟子の孫に寺から出て行けと命じた師弟対立と檀家の反発
たとえ肉親であっても、師弟関係は難しい。大阪府の浄土宗西山禅林寺派寺院の80代の老住職が、弟子である20代の孫と関係悪化。ついにお寺からの離籍を求めた。だが、これを聞いた檀家は激しく抗議。孫を後継者に就けるよう求めたばかりか、老住職に寺院運営の不信を突き付け今年1月、本山への集団直訴まで行っている。



慚愧に堪えぬ住職と副住職の児童買春破戒犯罪の衝撃
昨年末から今年初めにかけて、あろうことか僧侶が児童買春容疑で相次いで逮捕された。山形県の浄土宗寺院の副住職と埼玉県の臨済宗円覚寺派寺院の住職だ。マスコミも大きく報道し、お寺や檀信徒をはじめ関係者が受けた衝撃は計り知れない。犯罪に巻き込まれた2カ寺の今を現地取材した。



神式で葬儀をした墓地使用者の埋葬依頼を断った寺院が提訴された教訓
ひょっとしたら、どの寺院墓地にも起こり得る事件かもしれない。とりわけ寺院規則をきちんと設けていない墓地なら可能性は少なくない。事件は墓地使用者が檀家ではなく神道信者だったからだ。その埋葬をめぐる高野山真言宗寺院の損害賠償訴訟をリポート。



檀家192軒中わずか2軒の反対でも訴訟になった顛末
岩手県大槌町の曹洞宗寺院は東日本大震災で住職も伽藍も墓地も甚大な被害を被り、6年が経った今も復興の槌音が聞こえない。その主因が寺院墓地再建裁判だ。墓地の土地かさ上げに2軒の檀家が反対したのだ。その争いがようやくにして終わったのはなぜか。



お寺の古い「塀」を防災にも優れた美しい塀にリフォームする方法
地震などの災害が頻発する昨今、お寺の建築物で気になるのが境内地を囲む塀だ。気づかないうちに老朽化や傷みが進んでいたらとんでもないことになる。周辺の景観からも、塀はお寺の印象を左右する。今どんな塀がお寺に最適なのか。近年、塀をリフォームした8カ寺にその実例を学ぶ。



竹灯籠やロウソクを祈りの灯火として巧みに活かした行事の成功法
万灯会をはじめロウソクを使ったお寺の行事が参詣者を集めている。最近は竹の中に明かりを灯す竹灯籠も各地のイベントで人気だ。でも、準備や火の始末が大変そうだし、費用もけっこう掛かるのではないか。どうすれば行事を成功に導くことができるのか。その秘訣を4カ寺に取材した。



生まれ故郷ブラジルを離れて日本の仏教研究者となったブラジル人住職の志
わずか3歳のときに立ち会った曾祖母の葬儀に感銘を受け、僧侶になった日系ブラジル人3世がいる。和歌山県田辺市にある浄土宗寺院の住職になったのだ。日本語の学習から始め、いまでは学問の道も究め、博士号を取得し佛教大学で教鞭もふるう。



ビハーラ病棟の常勤僧による偽らざるリポート(2)
「死を目前とした患者が傍らに寄り添う仏教者に求めること」…森田敬史(長岡西病院ビハーラ病棟常勤僧)

死期の迫った患者や家族に常勤の僧侶が寄り添うようにいる病院はまだ少ない。しかしそうした取り組みが望まれている事実がここにはある。では、ビハーラ病棟では患者と僧侶とは日常的にどんな交流があるのだろうか。



これからの葬送を考えるための提言
「葬送を死に逝く人や遺族の全き自由に任せるだけでいいのか」…森謙二(茨城キリスト教大学教授)

葬送に大変化が起きていることは住職ならご存じの通りだ。しかし、このままでいいと思われる向きは決して多くない。では、その変化の何が問題か。個人の自由と都合によって人の葬送が変えられている現実がある。



地元新聞記者の寺院現況リポート〔24〕
「宗勢基本調査で分かった過疎地の危機でも決してめげない寺々の営み」…桜井邦彦(中国新聞文化部記者)

山陰にある寺院の3割が「解散・合併を考えている」とし、また2割以上が寺院収入は50万円未満だという。浄土真宗本願寺派の宗勢基本調査の極めて深刻な結果だ。だが、そうした中でも寺院の役割は明確だ。その現状を取材した。



好評連載 激変する葬送にいかに対処すればよいか!?〔41〕
「葬儀社の厳しい現実から見えてくる寺院の危機」…内藤理恵子(宗教学者)

郊外の葬儀社を取材した。そこで分かったのは社員のプロ意識であり、当然に採算重視の毎日があった。そればかりか顧客に僧侶が選ばれる時代であり、しかも、檀家にはなりたくない人が増えているという。

 新刊告知 
 この連載を元にした単行本、内藤理恵子著『あなたの葬送は誰がしてくれるのか――激変する供養のカタチ』(本体価格2,900円)がたちまち大反響です。遺族・葬送・お墓参りと納骨・供養・終活など30項目にわたって葬儀や供養の激変を克明にリポートした本書は、読めば読むほど葬送を通じて寺院住職への期待が高まっていることがはっきりと分かります。



好評連載 日日是薩婆訶(にちにちこれそわか)(19)
「いったいなぜ彼らは同じ宝船に乗り、どこへ行くつもりなのか」……玄侑宗久(臨済宗妙心寺派福聚寺住職/作家)




障害者を快く迎えるお寺にしよう〔13〕
「重度の知的障害者自らの意思決定をどうしたら支援できるか」…野沢和弘(毎日新聞社論説委員)

家族の意向ではなく障害者自身の意思に基づいた福祉とは何かが論議されるようになった。障害者総合支援法にも「意思決定支援」という考えが見られる。ではその実際はどうか?



連載 寺院と僧侶と檀家の近世史実〔32〕
「江戸の農民や漁民や船乗りは寺院で何を祈りご利益はあったか」…圭室文雄(明治大学名誉教授)

江戸時代の庶民は仏教に何を求めていたのか。その事実の一端が『大山不動霊験記』に示されていることを前号で見た。さらにその祈願内容とご利益の詳細から何がわかるか。



連載 本当の創価学会問題 〔68〕
「公明党元委員長2人が相次いで身内から提訴されたのは池田大作先生逆鱗のせいか」…段勲(ジャーナリスト)




[寺院・住職に直言提言]
内館牧子 (脚本家) … 「人生、出たとこ勝負」
池内 紀 (ドイツ文学者/エッセイスト) … 「浦富の権現さん」




[ショートルポ]
●「お坊さん便」攻撃より仏教界自らの猛省をと伝える全日本仏教会「法務執行に関する協議会」中間報告全文●いかなる厳冬をものともせず寒行を続ける和歌山県浄土宗住職と秋田県法華宗本門流住職の凄い修行魂●登下校高校生らが感動する山形鉄道の電車内に張り出された住職の伝道文●檀家資産を奪って寺を捨てた失踪住職の逮捕●生活保護費受給者を狙う寺院に行政処分が下る




好評連載 宗派そして宗派の最高議決機関で論議されていることは寺院や住職のためなのか、チェックしよう
【高野山真言宗】宗門発足以来初の宗勢調査で分かった回答率と衝撃の結果
【臨済宗妙心寺派】総工費15億円の大本山妙心寺一山を守る文化庁初の防災システム





初めての人に仏教を説くために 最新版仏教文化基礎講座〔71〕
「大乗経典も初期経典も人々の救済手段を説くためにある」…鈴木隆泰(山口県立大学教授・寺院住職)


 既刊告知 
 日本印度学仏教学会賞受賞者・鈴木隆泰教授の本誌連載の単行本『ここにしかない原典最新研究による本当の仏教』第2巻(本体価格2,400円)が第1巻ともどもに大好評。第2巻は釈尊の説法で重要な女性の出家や死後世界、そしてアングリマーラの殺人、提婆達多の釈尊殺害計画の全貌が分かる内容。心の危機に釈尊は何を救いとしたのか、原典に学ぶ最良の教えを人生に活かしましょう。



住職のための今月のことば「耳とコーラン」 …稲垣真澄(産経新聞元編集委員・ジャーナリスト・僧侶)

 既刊告知 
 この連載を元にした稲垣真澄著『いつでも法話ができる現代布教キーワード必ず説きたい176話』(本体価格2,900円)が大好評。「TPP」「ゼロ葬・直葬・墓じまい」「ドローン」など現代を読み解くキーワード176を宗教、葬送、社会など14のジャンルに分け、キーワードごとに見開き2頁で編集。毎日起きる出来事や変化を素早く法話に織り込むためのヒントや説き方の実例集としても最適。







 [好評連載]

 今にいたる中世の寺院・僧侶や在家その実像〔151〕
「東国の日中仏教交流最盛期を支えた僧俗。とりわけ武士・千葉氏が果たした仏典輸入の役割とは何か」
  井原今朝男 (国立歴史民俗博物館名誉教授・総合研究大学院大学名誉教授)


 秘められた祈りの形講座〔131〕
 「中世以来仏教も福徳神として祀る宇賀弁才天の利益と謎」
  豊嶋泰國
(宗教民俗研究者)


 色即是空の科学事始め〔130〕
 
 「不寛容社会でいいわけない――除夜の鐘も子どもたちもうるさいという大人たち」
  池内了
(総合研究大学院大学名誉教授・宇宙物理学者)


 なんたって寺族の言い分ほんねの記〔172〕
 「これからはお経より脳トレ問題集が必須になる!?」
  鏡島眞理子
(曹洞宗住職夫人)


 誌上講座・未来の住職塾から寺院僧侶活性化対論〔33〕
 「死者供養に依存しないお寺」
  松本紹圭
(『未来の住職塾』塾長)・ 井出悦郎 (『未来の住職塾』講師)


 今からの宗教酔眼千里眼〔41〕
 
「日本人と現代仏教の位相(41)――近代仏教社会事業の始まり(2)」
  島薗進
(上智大学教授・日本臨床宗教師会会長)


 いまさら師匠に聞けないこと〔61〕
 「骨葬を続けようとする檀家への対応」
  仙田陽高
(真言宗豊山派住職)


 70億人の宗教トレンド〔82〕
 「穏健派元大統領の死とトランプ米大統領の登場で揺れるイラン」
  荒木重雄
(アジア社会研究者・社会環境学会理事長)


 古今東西名著万巻のススメ〔58〕
 「寺田寅彦著『天災と日本人』を読む」
  芹川博通
(比較思想学会前会長・日本宗教学会評議員)


 仏教ことわざよもやま漫歩〔75〕
 「伊蘭の林に交われども赤栴檀の香は失せず」
  勝崎裕彦
(大正大学前学長・浄土宗住職)


 コラム 盆踊り全国漫遊記〔19〕
 「次代に繋ぎたい念仏芸能の力」
  柳田尚也
(湘南盆踊り研究会代表)


 法律相談… 平松和也(弁護士)・ 橋口玲(弁護士)
質問1 「お説教カフェ」を催したら僧侶の顔や発言がネットで拡散された責任
質問2 宗派離脱には全責任役員と宗派代表の承認が必要と定める寺院規則の効力


 税金相談… 河村照円(税理士・行政書士・寺院住職)
質問1 市から寺院に「特別徴収実施困難理由届出書」が送付されたが何なのですか
質問2 今年の確定申告はマイナンバー開始などで従来とは何が異なるのですか





[別冊付録](12ページ) ●毎号「法話特集」の別冊が付きます。



 お説教のタネ本「世界的科学者と中国古典大家が選ぶ名言」


 在俗の説法者〔176〕 「あの日から6年」
  篠原鋭一
(曹洞宗住職・自殺防止ネットワーク「風」代表)


 生きるとは何か〔80〕 「欲心満足を超える」
  亀井鑛
(NHKEテレ「こころの時代」元司会者)


 スピリチュアルケア講座〔91〕 「葬儀に求められること」
  井上ウィマラ
(高野山大学教授)


 露の団姫のお笑い仏教寄席〔22〕
 「新人賞を頂戴したその日のネタは『松山鏡』で…」
  露の団姫
(つゆのまるこ、落語家)


 そもそもお葬式セミナー〔167〕 「檀家制度崩壊への対応」
  村越英裕
(臨済宗妙心寺派住職・イラストライター)


 法語伝道聖句三昧〔219〕 「辛抱がないからちょっと苦しいとほかの道へいきたがる。これという道を選んだら、それにくいついて惚れなきゃ」(古今亭志ん生)
  渡邉照敬
(真言宗智山派住職)


 いまどきマンガ説法〔56〕 「舎利」
  佐々木正祥
(真宗佛光寺派住職)






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