[月刊『寺門興隆』 2010年1月号より転載]
スッタニパータ 仏教最古の世界 並川孝儀著 岩波書店 2205円
歴史上のブッダは何を語り、どのように人々を導いたのか。佛教大学教授が豊富な資料から、ジャイナ教との共通性や現代の宗教儀礼における役割、経典に説かれた世界観を解き明かす。
いきなりはじめるダンマパダ 釈徹宗著 サンガ 1680円
「お寺で学ぶ『法句経』講座」の副題どおり、大阪市の浄土宗應典院で半年間七回にわたって開かれた市民向けの『法句経』講座が収録されたもの。著者は大阪の浄土真宗本願寺派住職。
近代皇室と仏教 国家と宗教と歴史 石川泰志著 原書房 15750円
廃仏毀釈政策は、皇室で伝承されてきた仏教的慣習にも変革を及ぼした。明治から大正にかけ皇族出身の尼僧の活動など知られざる歴史が明かされる。
禅のいろは 玄侑宗久著 PHP研究所 1155円
かるたで知られるいろは歌は『夜叉説半偈』という死についてのお経が翻訳されたもの。芥川賞作家で福島県の臨済宗妙心寺派福聚寺住職が、いろはかるたに込められた仏教の教えを説く。
死生学 全五巻 島薗進他編 東京大学出版会 揃い14700円
住職にも関係の深い、現代の生死の現場を問う論文集『死生学』シリーズ全五巻が完結した。最終巻は高齢者医療や精神障害の問題について論じられる。「進化生物学から見た殺人」他。
一日一生 酒井雄哉著 朝日新聞出版 735円
二度の千日回峰行成満で知られる大阿闍梨が、軍隊生活を経て四十歳で得度出家、荒行に挑戦するまで、自らの歩んだ道を振り返る回想集。新書判。
われ、ただ足るを知る 板橋興宗・有田秀穂著 佼成出版社 1470円
副題は「禅僧と脳生理学者が読み解く現代」。心と体の関係や坐禅がもたらす効果について福井県の曹洞宗御誕生寺住職とセロトニン研究で知られる脳生理学者の対談。「悟りの感覚」他。
いづれの行もおよびがたき 大谷光道著 探究社 1575円
著者は東本願寺前門首の四男でお東紛争の際に宗派離脱し昨年、嵯峨野に新たな本願寺を建立した。講演や法話が収められる他、嵯峨野に本願寺を門山した経緯についても触れられている。
秀吉の大仏造立 河内将芳著 法藏館 2100円
かつて京都・東山には巨大な大仏があった? 太閤秀吉による大仏造立の背景と当時の宗教政策が解明される。「秀吉の先祖供養」「新儀の八宗」他。
中世瀬戸内海の仏教史 堤勝義著 溪水社 1890円
「村上水軍の本拠地芸予諸島を主として」が副題。中世の海上交通を脅かした村上水軍。その拠点地には数多のお寺がある。海賊から見た異色仏教史。
平成宗教20年史 島田裕巳著 幻冬舎 798円
オウム真理教事件、幸福の科学の台頭、公明党の政権与党着任、スピリチュアルブームなど平成二十年間の新宗教史を宗教学者がひも解く。新書判。
お寺と神社の作法ブック 田中治郎著 学研 1365円
「冠婚葬祭とお参りのマナー」が副題。お寺のお参りの仕方から仏事の作法、神社の年中行事まで日本人の生活に欠かせない宗教儀礼ガイドブック。
お浄土があってよかったね 宮崎幸枝著 樹心社 2100円
「医者は坊主でもあれ」がサブタイトル。聞法生活を送る茨城県の病院長が看護師に宗教的介護の重要性を伝えるために綴ってきた院内誌が一冊に。
弘法さん かわら版 大塚耕平著 大法輪閣 1260円
副題は「弘法大師の生涯と覚王山」。著者は民主党所属の参議院議員だが、毎月21日、地元の愛知県・単立日泰寺参道で弘法大師の歩みを辿る瓦版を配布。それが一冊にまとめられた。
貧魂社会ニッポンへ 釜ヶ崎からの発信 アットワークス 1890円
約二万人の日雇い労働者が暮らす大阪・釜ヶ崎では生存ぎりぎりの生活を強いられる人で溢れている。同地で支援活動を行う宗教者がレポートする。本誌連載の島薗進教授の対談も収録。
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