[月刊『寺門興隆』 2009年2月号より転載]
日本仏教史における東大寺戒壇院 GBS実行委員会編 法藏館 2100円
日本の社会や文化に戒律はいかに受容されてきたのか。東大寺戒壇院の最新の発掘成果を反映した歴史研究の他、現代の受戒作法までが網羅された論文集。「鑑真の招来した受戒会」など。
仏教瞑想論 蓑輪顕量著 春秋社 2310円
仏教において瞑想とは、どのように捉えられてきたのか。仏教伝播の過程、日本仏教での変容、そして現代アジアの瞑想修行まで幅広く視野に入れ考察された論考集。「南都の伝統」など。
仏教最前線の課題 田中教照編著 武蔵野大学出版会 2625円
現代社会の抱える諸問題に仏教は何ができるかをテーマに、仏教学者九人(田中教照、山崎龍明、陳継東、佐藤裕之、高橋審也、石上和敬、田中ケネス、西本照真、村石惠照)が論じる。
仏教ではこう考える 釈徹宗著 学研 798円
正坐の意味から霊感の疑問まで、新聞の仏教相談コーナーに寄せられた難問奇問に大阪の浄土真宗本願寺派如来寺住職が軽妙に答える問答集。新書判。
せん仏の来た道 白鳳期仏教受容の様相 後藤宗俊著 思文閣出版 5985円
せん仏とは白鳳時代に日本に伝来した粘土製の小仏像だが、わが国では早々に姿を消したため造像の理由が明らかではない。その信仰伝播のルーツをインドシナ半島から日本に辿る研究書。
『教行信証』入門 矢田了章著 大法輪閣 3150円
浄土真宗の根本聖典『教行信証』はその格調高い言い回しと、大量の古典の引用から難書と見なされてきた。龍谷大学教授が公開講座などをもとに現代語訳と解説を付し、一般向けに編纂。
親鸞・封印された三つの真実 佐々木正著 洋泉社 1680円
副題は「黙殺されてきた『親鸞聖人正明伝』を読み解く」。親鸞が教えを開く三度の分岐点となったという比叡山下山・法然への師事・恵信尼との結婚に着目し新たな親鸞像が明かされる。
近世の死と政治文化 中川学著 吉川弘文館 10500円
将軍・天皇など為政者の葬送には、時の死生観や政治思想が色濃く反映されている。近世の権力者の死にまつわる鳴物停止令、触穢令などの法令が考察された新たな国家史・社会史研究。
奔僧記 高橋卓志著 信濃毎日新聞社 1680円
「知らぬが仏じゃいられない!」が副題。著者はケアタウン浅間温泉など、お寺を中心に福祉活動に懸命な長野県の臨済宗妙心寺派神宮寺住職。地元タウン誌に連載のエッセイの単行本化。
みんなの寺 絵日記 天野和公著 サンガ 1550円
「みんなの寺」は平成十四年に若き住職夫妻によって仙台市内に開かれた単立寺院。HP上に綴られた坊守の奮闘絵日記が一冊になった。
こだわらない 松長有慶著 PHP研究所 1470円
混迷の現代を生き抜くには、どのような心構えがよいか。密教学の権威であり、高野山真言宗管長が説く法話集。「現代社会で得られた神通力とは」他。
よくわかる絵解き涅槃図 竹林史博著 青山社 3570円
涅槃会で絵解き説教に用いられる涅槃図は、人間だけでなく様々な動物が描かれている。各地に残る涅槃図をもとに図柄の意味や伝説が解説される。
英訳付 仏像鑑賞ガイド 副島弘道監修他 池田書店 1575円
外国人参拝客から突然、仏像について説明を求められた時に役立つ英訳付きの仏像入門書。日本の仏像史から、作り方まで、写真入りで易しく解説。
近世宗教美術の世界 矢島新著 国書刊行会 2940円
副題は「内なる仏と浮世の神」。円空や木喰といった遊行聖の作品や路傍の石仏、寺社の絵馬に描かれた仏などに焦点をあて、庶民の祈りのかたちが論考される。「浮世絵師たちの神仏」他。
宗教法と民事法の交錯 鈴木龍也編著 晃洋書房 5040円
宗教や葬送のあり方は常に民事法で規定されてきた。明治期の社寺の財産管理における「公益性」の形成過程から、現代の墓地使用権、宗教法人の訴訟までがトピックごとに考察される。
なぜダライ・ラマは重要なのか ロバート・S著 講談社 1995円
著者はチベット支援活動で知られる米国コロンビア大学のチベット仏教学教授。対中国政治の鍵としてのダライ・ラマの役割を詳説する。鷲尾翠訳。
天理教 神憑りから新宗教へ 島田裕巳著 八幡書店 2520円
全国に信徒を持つ天理教は新宗教の中でも異色の発展を遂げてきた。本誌連載の宗教学者が開祖・中山みきの啓示や教団形成の過程などを検証する。
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