[月刊『寺門興隆』 2010年9月号より転載]

『般若心経』成立史論 原田和宗著 大蔵出版 8925円
「大乗仏教と密教の交差路」が副題。ポピュラーなお経でありながら、その成立背景については謎の多い『般若心経』。一字一句を経典や論書などと照合し、制作者の意図を浮き彫りにする。



後醍醐天皇と密教 内田啓一著 法藏館 2100円
天皇親政をはかり、倒幕に力を費やした後醍醐天皇。その政治に密教はどのように利用されたのか。天皇の生涯を中心に辿られる。「東寺の興隆」他。



日本の護符文化 千々和到編 弘文堂 5040円
遊女との契りを交わす起請文に用いられた牛玉宝印、家に貼る火除札など日本人の生活とお札は密接にかかわってきた。護符の意味から江戸期の護符を取り巻く事情までが明らかにされる。



現代人の死生観と葬儀 藤井正雄著 岩田書院 2310円
科学の進歩と生活環境の変化は日本人の死生観をどう変えたのか。葬送の歴史から昨今のエンバーミングの普及、『千の風になって』『おくりびと』のヒットまで様々な事象から変化を読む。



ひと・ほとけ・いのち 田代俊孝著 自照社出版 1260円
「『非科学』のいのち論」が副題。人と人のつながりが軽視される現代社会において、仏法はいのちをどう説くことができるか。長年、ビハーラ活動に携わってきた真宗大谷派住職が綴る。



国家神道と日本人 島薗進著 岩波書店 840円
日本人の精神的支柱として創り上げられた国家神道は、いつ構想され、いかに国民に刷り込まれたのか。本誌連載の宗教学者が幕末から現代までを視野に入れ、その精神史を辿る。新書判。



続・語録のことば 小川隆著 禅文化研究所 2100円
宋代の雲門宗四世・雪竇重顕(せっちょうじゅうけん)と臨済宗十一世・圜悟克勤(えんごこくごん)の手で作られた公案集『碧巌録』は看話禅の発展のもととなり、近世日本の禅に大きな影響を与えた。語録から宋代禅の特質を考察。



私の禅的生き方 松原哲明著 大和書房 1680円
副題は「坐禅で見えない自分が見えてくる」。今年、遷化された臨済宗妙心寺派住職の遺作。『般若心経』に込められた釈尊の教えが読み解かれる。「仏像を拝んで救われるのか」など。



お坊さんはなぜ夜お寺を抜け出すのか? 現代書館 1890円
著者はインターネット上で超宗派寺院「彼岸寺」を運営する青年僧侶たち。次々と新たなイベントに挑戦し、若者を惹き付ける彼らが現代仏教を論じる。「伝統仏教界に押し寄せる危機」他。



和綴じで綴じる写経入門 彼岸寺・蔦谷香理監修 主婦の友社 1575円
自ら書写したお経で和綴じの経本を作ってみようとすすめる本。写経の作法から、和紙と糸で作る基本的な和綴じの作り方までがカラー写真と共に紹介される。和紙キット付き。



花ひらく 天地いっぱい 総がかり 教育出版センター 1890円
著者は淡路島の高野山真言宗八浄寺・岩坪眞弘住職。高野山大学で僧侶を目指す若者に対して説かれた本邦まれな「住職学」の講義録が、一冊の本に。



直感力を養う坐禅断食 野口法蔵著 七つ森書館 1575円
二十年にわたって坐禅断食指導を行ってきた長野県の臨済宗妙心寺派僧侶が、断食が心身に及ぼす効果と、その経験で得た「直感力」の養い方を説く。



禅マインド ビギナーズ・マインド 鈴木俊隆著 サンガ 1890円
著者は米国カリフォルニアにアジア以外では初の禅院を開くなど、海外布教に力を入れた曹洞宗僧侶。英語で書かれた禅入門書を翻訳。松永太郎訳。



宗教以前 高取正男・橋本峰雄著 筑摩書房 1155円
死に対峙した時、穢れや物忌みといった宗教的感覚が呼び覚まされるのはなぜか。日本人の精神の古層を民俗学者と宗教学者が明らかにする。文庫判。



お墓はなくてもいい ひろさちや著 幻冬舎 600円
お墓や葬儀はなぜ必要か。安心を得るためにはどうすればいいか。葬送を通じて語られる生き方論。「家族制度が崩れると国家は亡びる」など。文庫判。



東條英機の中の仏教と神道 東條由布子・福冨健一著 講談社 880円
副題は「人はいかにして死を受け入れるのか」。A級戦犯として死刑に処せられた東條英機。その生涯に神道と仏教はどう影響を与えたのか。「仏僧の教誨師が選ばれるまで」など。新書判。



戦後日本の〈法文化の探求〉 角田猛之著 関西大学出版部 3150円
戦後の日本の法文化について、宗教と法律に着目し特徴が明らかにされている。第一部は従来の法文化の学説を批判的に検証、第二部では宗教をめぐる法文化を欧米と比較しながら論じる。





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