[月刊『寺門興隆』 2011年3月号より転載]

中世禅僧の墨蹟と日中交流 西尾賢隆著 吉川弘文館 11000円
中世の日本と中国の禅僧はいかに交流していたのか。国宝「山門疏」など両国に残る墨蹟・書簡・法語・鐘銘・印可状・戦国武将の肖像画讃などに現代語訳を付して、その実態を読み解く。



興福寺創建期の研究 小林裕子著 中央公論美術出版 12000円
阿修羅像で知られる奈良の興福寺はどのように造営されたのか。豊富な史料から、前身寺院や中枢伽藍・回廊外堂塔・五重塔などの伽藍配置を考察すると共に、官寺化への道のりを探る。



高野山信仰と権門貴紳 俵谷和子著 岩田書院 8400円
高野山には弘法大師が入定して弥勒下生を待つという入定伝説がある。なぜこのような伝説が生まれたのか。その成立過程を平清盛や中世の参詣、神社との関連性から解き明かす研究書。



インド密教の儀礼世界 森雅秀著 世界思想社 6800円
日本仏教にも影響を与えたインド密教。その歴史と変遷、儀礼空間に焦点をあて全体像を浮き彫りにする。「日本に伝わるヴァーストゥナーガ」など。



構築された仏教思想 ゴータマ・ブッダ 佼成出版社 1400円
副題は「縁起という『苦の生滅システム』の源泉」。現代理解されている仏陀の姿や縁起思想は正しいのか。並川孝儀・佛教大学教授が『スッタニパータ』から本来の思想を明らかにする。



涅槃図物語 竹林史博著 大法輪閣 2000円
釈尊寂滅の姿を描いた涅槃図は時代ごとに様々な変化を遂げている。描かれた登場人物や動物、文物の向きなどに着目し、制作年代を推量する分類法や涅槃図にまつわる逸話を紹介する。



東アジアにおける宗教文化の再構築 鈴木正崇編 風響社 6000円
急速なグローバル化が進む中、アジア各地の宗教や葬送儀礼が変容を余儀なくされている。日本・台湾・韓国・中国・東南アジア各国における宗教文化の再構築に焦点をあてた研究論文集。



親子のための仏教入門 森政弘著 幻冬舎 800円
副題は「我慢が楽しくなる技術」。著者はロボット工学者。中学生が物作りに没頭する姿から、物作りと仏教が伝える「無我」の境地を論じる。新書判。



明日をひらく仏教の名言 松濤弘道著 日本文芸社 724円
様々な悩みに振り回されるあなたに最適な仏教の名言は何か。昨年末に遷化された浄土宗寺院住職が、古今の名僧の言葉を、悩みに応じて指南する。



新解釈 十牛図 松原哲明著 主婦の友社 695円
 「〝本当の自分〟を見つめるための10のヒント」が副題。昨年六月に亡くなった東京都の臨済宗妙心寺派龍源寺住職による禅の公案「十牛図」入門書。



弘法大師空海 菩提心論 安心の世界に至る道 KKロングセラーズ 905円
著者は炎の行者として全国に知られる鹿児島の高野山真言宗最福寺の池口惠觀住職。「闇の中でも光に向かえる心の眼を持て」と説く法話集。新書判。



武井哲應の禅風 武井哲應研究会編 沖積舎 2500円
人気書家・相田みつをや、歌人の松葉直助など多くの弟子を輩出した足利の文人禅僧武井哲應。道元の教えに帰依し、参究したその人生と禅風に迫る。



親鸞 阿満利麿著 筑摩書房 760円
死に向かって生きる人間には「物語=宗教」が必要と著者は説く。末法の世に新しい論理で民衆を安心に導いた親鸞の信心の全貌を蘇らせる。新書判。



ルポ 仏教、貧困・自殺に挑む 磯村健太郎著 岩波書店 1900円
年間三万人を超える自殺者を生む日本社会。お寺に「お話、聞きます」の張り紙を出したり、NPOと連携するなど苦に向き合う僧侶らの活動ルポ。



埼玉の仏像巡礼 青木忠雄著 幹書房 1800円
なぜ同じ地域で仏像の作年代や様式が変わるのか。埼玉県の仏教文化の変遷を、指定文化財を中心に県内各地に伝わる六十七体の仏像から考察する。



老いよドンと来い! 土屋昭之著 法藏館 1000円
副題は「心ゆたかな人生のための仏教入門」。思いどおりにならない人生を受け止めるには、いかなる発想が必要なのか。保護司として活躍する真宗大谷派僧侶の実践に基づく仏教入門書。



「三悪趣」からの解放 念仏者九条の会編 自照社出版 1200円
戦争放棄と信教の自由を謳う日本国憲法第九条と第二十条と法然、親鸞が求めた三悪趣なき世界の共通点を憲法九条改憲に反対する僧侶らが論じる。



図解 宗教法人の法務・会計・税務 中央経済社 2000円
編者は日本テンプルヴァン他。宗教法人の会計年度や会計区分、法人の概要、課税対象事業など現代の宗教法人運営に関わる法律や税金の基礎知識を、Q&A式で分かりやすく解説する。





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