[月刊『寺門興隆』 2011年4月号より転載]

中世禅宗文献の研究 安藤嘉則著 国書刊行会 20200円
中世の曹洞宗は他の時代と比べて、どのような特徴を持つのか。史料を駆使して、公案禅との関わりなど当時の曹洞禅の全貌に迫った研究論考。「曹洞宗における『法問』について」他。



語録の思想史 中国禅の研究 小川隆著 岩波書店 12000円
「庭前の栢樹子」など唐・宋代の禅の語録を各文献の語義と語法をふまえて語学的に精読し、その思惟を考察すると共に、現代的視点からの再解釈を試みる。「『碧巌録』と宋代の禅」他。



後戸と神仏 小田雄三著 岩田書院 1900円
「中世寺院における空間と人間」が副題。寺院に見られる「後戸」はなぜ生まれたのか。中世では舞楽に対して非正統とされた猿楽が後戸で演じられたことなどに注目し、その実態を考察。



浄土教の事典 峰島旭雄監修 東京堂出版 3300円
比較宗教学の見地から編まれた初の浄土教事典。『浄土三部経』の解説からインド・中国・朝鮮・日本の浄土教の違い、寺院建築や庭園に反映された思想が二百五十二項目にまとめられた。



仏教と差別 下西忠他編著 明石書店 2000円
副題は「同和問題に取り組んだ真言僧佐々木兼俊の歩んだ道」。仏教界の差別問題に取り組んできた高野山真言宗僧侶・佐々木兼俊師が自らの歩みを振り返る他、研究者らの論考も収載。



現代の修験道 正木晃著 中央公論新社 1900円
現代、修験道とはいかに位置づけられるのか。密教学者が修験道の構造や、修行の内容、ブータン仏教、アニメ『千と千尋の神隠し』などから論じる。



ほっとする空海の言葉 安元剛著・谷内弘照書 二玄社 1200円
「谷響を惜しまず、明星来影す」など数多くの詩文や名句を残した空海。現代人の心に響く空海の言葉七十編を選りすぐり、高野山真言宗神護寺住職が揮毫し、密教学者が解説を付す。



禅画を読む 影山純夫著 淡交社 1400円
禅画には何が説かれ、どのような悟りが描かれているのか。「達磨図」や「寒山拾得図」「南泉斬猫図」など有名禅画をあげ、悟りの瞬間、祖師の逸話などテーマ別にその表現を読み解く。



心が温かくなる日蓮の言葉 大平宏龍著 PHP研究所 820円
「酒と女房があればいい」「親友のためなら地獄に落ちる」など庶民の心情に即して手紙を綴った日蓮の言葉を、いのち・感謝・誇り・友情・悲しみ・愛といったテーマごとに編纂。新書判。



史実中世仏教第一巻 井原今朝男著 興山舎 2800円
「今にいたる寺院と葬送の実像」が副題。本誌連載の「今にいたる中世寺院の実像」待望の単行本化。定説を覆す如く中世仏教の特徴を僧侶や寺院の活動から明らかにする。



葬式をしない寺 秋田光彦著 新潮社 700円
NPOによる運営を図り、劇場を兼ねる本堂を持つ大阪の浄土宗應典院住職がお寺づくりのコンセプトを一冊に。「寺は死んでいるのか」他。新書判。



いのち問答 対本宗訓・香山リカ著 角川書店 724円
現代医学は苦悩を診ているか? 宗教者は身体への科学的視点を持ち得ているか? 医者でもある禅僧と、精神科医が生と死について対談。新書判。



「一秒」禅 高田明和著 成美堂出版 476円
「心がスーッとなる〝気づき〟の練習帖」が副題。本誌連載中の浜松医科大学名誉教授が禅の思考から、心を穏やかにするスキルを指南する。文庫判。



お坊さんが教える親が子どもを伸ばす100話 三笠書房 571円
著者は東京・臨済宗大徳寺派香林院の金嶽宗信住職。禅の教えから、子育てのポイントを説く。「あきることなく辛抱強く声をかける」など。文庫判。



伊勢と仏とキリストと 坂井洲二著 法政大学出版局 3200円
「日本の宗教を世界の目で見れば」が副題。世界では宗教紛争が絶えないのに、なぜわが国では仏教もキリスト教も神道も受容できるのか。比較宗教の視点から日本人の宗教観を論じる。



アジア女神大全  吉田敦彦・松村一男編著 青土社 5800円
日本の弁財天とインドの女神ラクシュミーなど、アジアの女神は多様である一方、共通点も多い。アジア各国の女神を集め、その信仰と姿を解説する。



笑とる仏 岩谷薫著・写真 西日本出版 2300円
近畿地方独特の信仰に石棺仏がある。洪水などで地上に出た古墳時代の石棺石材を供養するため、中世の庶民が梵字や仏を彫ったもの。播磨地方に今も残る素朴な石棺仏を紹介する写真集。





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