[月刊『寺門興隆』 2011年6月号より転載]

古代東北仏教史研究 窪田大介著 法藏館 8000円
都から遠く離れた東北地方で仏教はいかに受容され、同地の民衆にどのような役割を果たしたのか。七世紀から九世紀における同地寺院の展開を最新の発掘調査成果をふまえ明らかにする。



基本梵英和辞典 縮刷版 中島巌他著 東方出版 8000円
仏教研究に欠かせない基礎の初歩的なサンスクリット語の単語約八千語を網羅した辞典。名詞・代名詞・形容詞の格変化と動詞の活用表と、仏教や仏教哲学の簡単な語彙集も付されている。



阿頼耶識の発見 よくわかる唯識入門 横山紘一著 幻冬舎 760円
人が生きている上で知覚するもの、過去に経験したものはすべて心の深奥に蓄積され、表情や行動を無意識に決めるという阿頼耶識思想。唯識思想研究者がその思想を平易に解説。新書判。



「律」に学ぶ生き方の智慧 佐々木閑著 新潮社 1000円
日本仏教から失われた「律」にこそ現代社会を生きるヒントが込められていると著者は説く。オウム真理教事件から出家思想までを仏教学者が解説。



浄土教の世界 小澤憲珠監修他 大正大学出版会 1900円
ただ一向に念仏すべし、と説く浄土教はいつ生まれ、発展したのか。浄土教研究の第一線の学者が、最新の成果をイラストや写真と共に解き明かす。



京を支配する山法師たち 下坂守著 吉川弘文館 2700円
「中世延暦寺の富と力」が副題。比叡山延暦寺が中世社会で力と富の世俗権力を手にしたのはなぜか。白河上皇にも煙たがられた比叡山の山法師の姿を浮き彫りにする。「門跡の武力」他。



ブッダにならう苦しまない練習 小池龍之介著 小学館 1300円
副題は「シンプルだから実践できる。今日からもう、悩まない」。日々の悩みや不安を解決できる仏道の実践法を、二十五の言葉にまとめ、漫画と共に解説した仏教入門書。画・鈴木ともこ。



日蓮宗の戒壇、その現代的意義 齊藤日軌著 国書刊行会 2400円
日蓮が説いた「本門の戒壇」とは、現代社会にどのような意味を持つのか。日蓮宗本山妙顯寺貫首が日蓮仏教における成仏の構造や、死生観から説く。



鹿児島藩の廃仏毀釈 名越護著 南方新社 2000円
廃仏毀釈で鹿児島では、千六十六カ寺が消え、僧侶二千九百六十四人が還俗させられる凄まじいまでの仏教弾圧が起きた。破壊の全容を浮き彫りに。



僧力結集 大和真奈著 京阪奈情報教育出版 1300円
無宗教を標榜する現代人に向けて、仏教がなぜ必要なのかを奈良の名刹二十カ寺(興福寺、西大寺、大安寺、唐招提寺、東大寺、法隆寺、薬師寺、法華寺など)の僧侶が熱く語る法話集。



島地黙雷伝 村上護著 ミネルヴァ書房 3000円
明治時代、廃仏毀釈と国家神道のもとで危機的状況にあった日本仏教。渡欧経験から、教団の近代化を進めた浄土真宗本願寺派僧侶、島地黙雷の評伝。



一休・正三・白隠 高僧私記 水上勉  筑摩書房 950円
風狂の破戒僧、一休。独自の民衆布教を提唱した鈴木正三。臨済禅中興の祖・白隠。異色の傑僧三人を、作家が独自の眼差しで捉えた評伝。文庫判。



仏と自然 立松和平著 新泉社 1800円
自然と調和し、共に生きていく道とはどのように求めればよいのか。昨年亡くなった作家が、釈尊と道元の教えから探った遺作。「是れ道場なり」他。



インタビュー 私と親鸞聖人 本願寺出版社 700円
僧侶や作家など八人(青木新門、上田紀行、津本陽、釈徹宗、高史明、松田正典、香山リカ、梯實圓)に、親鸞を語ってもらうインタビューが一冊に。



香清話 香に聞く、香を聞く 畑正高著 淡交社 1800円
仏教と共に伝来した香。その香りの文化を京都・松栄堂の社長が、中国の古典から、平安王朝文学、桃山・江戸時代の茶書などをたずねて紹介する。



天平の阿修羅再び 関橋眞理編著 日刊工業新聞社 1400円
京都の仏像修復所・財団法人美術院において、四十年にわたり阿修羅像から磨崖仏まであらゆる仏像の修復を手がけてきた技術者、松永忠興の仕事を紹介。知られざる仏像の姿が見える。



復元幻の大寺院 新薬師寺の謎に挑む NHK出版 1800円
かつて奈良には東大寺大仏殿と並ぶ巨大寺院があった。四年前に発掘された天平時代の遺構から大寺院の姿を色鮮やかなCGで再現したNHKの「復元幻の大寺院」プロジェクトが一冊に。



宗教を生みだす本能 N・ウェイド著 NTT出版 2800円
「進化論からみたヒトと信仰」がサブタイトル。科学の視点から、人間になぜ宗教が必要だったのかを生物学、社会科学、宗教史を架橋して論じる。





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