[月刊『寺門興隆』 2011年11月号より転載]

奈良仏教と密教 根本誠二著 高志書院 5000円
行基・道鏡・良弁・鑑真ら僧侶と、天皇や貴族の関係で密教はいかに機能したか。東大寺や西大寺、唐招提寺を舞台にした為政者と仏教のつながりから新たな日本仏教史論を展開する。



近世勧進の研究 村上紀夫著 法藏館 8000円
本願・木食聖・十穀聖・桂女・万歳など、近世の京の寺社周辺には様々な形態で勧進を行う民間宗教者がいた。その姿と信仰の受容に着眼し、近世社会像を浮き彫りにする新たな研究論考。



相模・武蔵の大山信仰 関東民具研究会編 岩田書院 2200円
今も元旦登拝が行われる神奈川県伊勢原市の大山は古来より雨乞い、病気平癒、死者の百カ日供養、さらに講組織の形成など地域ごとに様々な信仰を集めてきた。その構造を明らかにする。



仏教入門 インドから日本まで 瓜生中著 大法輪閣 1900円
仏教はどのようにアジア全域に広がったのか。釈尊誕生以前から日本の仏教伝来まで、その浸透過程を歴史・哲学・習俗との関係性から解説。「考古学が明らかにした釈迦の実在」他。



仏教入門 親鸞の「迷い」 梅原猛・釈徹宗著 新潮社 1600円
地獄は一定すみかぞかし、と説いた親鸞。法然との出会いから独自の他力思想を究めたその生涯と思想を、浄土真宗本願寺派住職と宗教学者が解説する。親鸞ゆかりのガイドマップ付き。



天皇と宗教 小倉慈司・山口輝臣著 講談社 2500円
天皇家と神仏はいかにかかわってきたのか。古代の神仏祭祀、明治時代の廃仏毀釈から現代に至るまでを視野に入れ天皇制にまつわる宗教文化を考察。



仏教文学を読む事典 武石彰夫編著 佼成出版社 4200円
説話や唱導、讃仏など古来より日本の文学は仏教思想の影響を色濃く受けてきた。様々な表現形式を四百二十の項目に分け、仏教文学の種別と系譜が把握できる事典。「経典の文学」他。



旅行く孫悟空 東アジアの西遊記 磯部彰著 塙書房 3600円
経典を求め、中国から天竺へと向かう仏教求法の旅を描いた『西遊記』は、実はアジア各地で受容の仕方が異なる。日本、朝鮮半島、ベトナム、チベットなど国ごとの違いと特徴を解説する。



みんなの寺のつくり方 天野和公著 雷鳥社 1300円
副題は「檀家ゼロからでもお寺ができた!」。住職三十四歳、坊守二十四歳の夫婦が仙台に新寺「みんなの寺」を開いた。宗教法人となって軌道に乗るまでの果敢な道のりを坊守が綴る。



西川玄房和尚のキッチンで作る精進料理 西川玄房著 淡交社 1900円
精進料理で知られる京都・臨済宗妙心寺派東林院住職が、家庭で気軽に挑戦できる春夏秋冬の精進料理レシピ百十一点をカラー写真とともに紹介する。写真・横山智隆。



責めず、比べず、思い出さず コスモトゥーワン 1300円
著者は本誌連載の高田明和・浜松医科大学名誉教授。「禅と大脳生理学に学ぶ知恵」として、坐禅や呼吸法が心身に及ぼす影響を科学的に解き明かす。



禅「心の大そうじ」 枡野俊明著 三笠書房 571円
「一瞬一瞬を大事にする『幸せな生き方』」が副題。世界的な庭園デザイナーで知られる曹洞宗寺院住職が、禅の教えから説く心の持ち方指南。文庫判。



執らわれない心 塩沼亮潤著 PHP研究所 1100円
三十代の時に史上二人目の大峯千日回峰行満行を果たした著者が、震災後の心のありかたを説いたメッセージ集。「マイナスをプラスに転じる」など。



いつでもひとりに戻れる生き方 藤原東演著 亜紀書房 1500円
副題は「変われる私を見つける禅のこころ」。静岡の臨済宗妙心寺派宝泰寺住職で悩み相談活動などに尽力する著者が孤独を楽しむ心の持ち方を説く。



東北三十六不動尊霊場ガイド 春野草結著 朱鷺書房 1500円
東北六県にまたがる寺院で構成する東北三十六不動尊霊場会が開創二十五周年を記念して製作したガイドブック。大震災からの復興が祈念されている。



明日への遺言 有馬賴底著 丸善出版 18571円
臨済宗相国寺派管長で京都仏教会会長と、茶道や能、日本画など各界の著名人(冷泉貴美子、観世清和、千宗室、狩野博幸他)の対談集。相国寺所蔵の美術品などを収録したDVD付き。



信仰はどのように継承されるか 猪瀬優理著 北海道大学出版会 3800円
「創価学会にみる次世代育成」が副題。巨大教団、創価学会の世代間信仰継承はどのように行われているのか。学会員の調査などをふまえ信仰継承のパターンと世代交代による効果を分析。





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