[月刊『寺門興隆』 2012年9月号より転載]
古代学論究 川﨑晃著 慶應義塾大学出版会 8500円
「古代日本の漢字文化と仏教」が副題。東アジアとの交流が盛んだった古代日本の成り立ちを漢字文化と仏教という二つの視点から浮き彫りにした研究。「古代日本の王言について」他。
中世南関東の武士と時宗 湯山学著 岩田書院 11000円
鎌倉時代末期に興った時宗は、当時の関東武士たちといかに交流関係があったのか。法語などの古文書や祭祀、建築の記録から史実を明らかにする。
日本思想史講座2 中世 苅部直他編 ぺりかん社 3800円
全五巻から成る『日本思想史講座』の第二巻「中世」が刊行。日本人の倫理観・法体系の成立から死者や神仏、宗教文化の領域まで、最新の研究成果と知見をふまえて考察された論文集。
民衆史の遺産 第二巻 鬼 大和書房 6000円
日本の民衆史に光をあてた全十五巻から成る「民衆史の遺産」シリーズ第二巻「鬼」が刊行された。仏教系や山岳宗教系など多様な視点から鬼を論じる研究論集。谷川健一・大和岩雄編。
一遍聖絵を歩く 五味文彦他編 高志書院 2500円
副題は「中世の景観を読む」。一遍上人の遊行の軌跡を描いた国宝『一遍聖絵』の絵巻を題材に、歴史・考古・建築史の視点から中世の景観を復元。
新装版 比較思想から見た仏教 中村元著 東方出版 1800円
仏教の特徴を西洋哲学やキリスト教との比較を通じて解き明かした、米国ハーバード大学での公開講演の邦訳。「仏教の道とキリスト教の道」など。
日曜日の正法眼蔵 中野東禅著 東京堂出版 1600円
《人間世界のあらゆる物事は「自己」に収斂され、自己はあらゆる「現実」に展開する》と著者は説く。悟りの眼を意味する『正法眼蔵』を読み解く。
現代坐禅講義 只管打坐への道 藤田一照著 佼成出版社 2500円
本の帯には「坐禅のつもりで、坐禅になってない坐禅がある」。著者はアメリカで瞑想や坐禅指導を行ってきた曹洞宗国際センター所長。只坐るとは、どういうことかを徹底的に探求する。
大阪の神さん仏さん 釈徹宗・髙島幸次著 140B 1500円
商人のイメージが強い大阪だが町やメンタリティの土台は神仏との付き合いにあり? 日本近世史研究者と比較宗教学者で浄土真宗本願寺派住職による自在闊達な宗教対談が一冊の本に。
祈りの作法 玄侑宗久著 新潮社 1300円
大震災、福島第一原発事故から一年半。福島に根を下ろす臨済宗妙心寺派住職で作家は何を見て、何を思うようになったか。震災直後の日記も収載。
現代宗教2012 国際宗教研究所編 秋山書店 2200円
特集は「大災害と文明の転換」。東日本大震災を境に日本はどう変わり、宗教はいかにかかわっているか。情報、宗教観、死生観、被災地支援など
異端力 規格外の人物が時代をひらく 町田宗鳳著 祥伝社 760円
歴史は常に異端によって頁がめくられたと著者はいう。混迷の時代を自ら切り拓くためのヒントを日本仏教や中世キリスト教の歴史から学ぶ。新書判。
空海 日本密教を改革した遍歴行者 曾根正人著 山川出版社 800円
日本仏教に大きな影響を与えた空海。通説の問題点を超え、その生涯と時代を見直す。「インド仏教から日本仏教へ」「奈良密教と真言密教」など。
日本の仏教を築いた名僧たち 角川学芸出版 1700円
著者は宗教学者の山折哲雄と仏教書編集者の大角修。飛鳥・奈良時代から近代まで、名僧五十八人の生涯とその思想をコンパクトにまとめた仏教入門。
新編 霊魂観の系譜 桜井徳太郎著 筑摩書房 1200円
お盆や彼岸、年忌など日本人の生活文化には供養の心が息づいている。霊魂観の歴史を読み解いた名著に新たな儀礼の論考が加えられている。文庫判。
仏教徒 坂本龍馬 長松清潤著 講談社 1800円
幕末に海援隊から出た『閑愁録』は仏教界に檄を飛ばしたものという。これに応えた本門佛立宗の開祖と、海援隊や坂本龍馬らとの思想交流を描く。
チベットの歴史と宗教 チベット中央政権文部省著 明石書店 3800円
同書はインドにあるチベット難民村の子供たちのために作られた中学校の歴史宗教教科書の邦訳。王統史、仏教史、論理学、仏教学の四本柱から成る。
タイの黄金仏 金子民雄監修・渡邉久美写真 USS出版 3000円
敬虔な仏教国、タイには過去千数百年の間に夥しい仏像が造仏された。六世紀から十六世紀の貴重な黄金仏三十三仏をカラー写真と共に解説する。
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