[月刊『寺門興隆』 2012年11月号より転載]

現代語訳 大乗仏典 全七巻 東京書籍 全巻揃い 14000円
二十世紀を代表する仏教学者、中村元博士が、主要十七大乗仏典(般若経典、浄土経典、密教経典、 『法華経』など)を現代語訳化し解説を加えた生前の著作集全七巻のシリーズの大型本。



仏教伝来の研究 吉田一彦著 吉川弘文館 10000円
アジア仏教史とのかかわりから、日本の仏教伝来の正確な日付と受容の実態を明らかにしようと試みた研究書。『日本書紀』『上宮聖徳法王帝説』などを手がかりに史実を考察している。



宋代仏教史の研究 佐藤成順著 山喜房佛書林 15000円
中国・宋代は印刷により大蔵経が出版、禅宗が盛んとなる一方で天台宗の立場から書かれた仏教史『仏祖統紀』も成立するなどアジア仏教史でも重要な時期。宋代仏教の特徴が論述される。



皇后・女帝と神仏 田中久夫著 岩田書院 8900円
仏教民俗で知られる神戸女子大学教授の論文をまとめた全五巻本の第一巻が刊行された。古代の女性の社会的地位と宗教の関係に注目した「東寺と国防と早良親王と」「女性と仏教」など。



南光坊天海の研究 宇高良哲著 青史出版 10000円
家康に東照大権現の諡号を贈る勅許を得、日光輪王寺や上野寛永寺の建立に尽力し近世天台宗の基盤を築いた天海。その実像を明らかにしようとする。「南光坊天海の書籍蒐集について」他。



ブッダ最後の旅をたどる 奈良康明著 大法輪閣 2500円
本誌連載「仏教の実践的解釈論」の著者が、釈尊最晩年の旅と金言を綴った『ブッダ最後の旅(大パリニッバーナ経)』にこめられている深い教えを読み解く書。「僧院の在り方」など。



新訂 法然上人絵伝 中井真孝校注 思文閣出版 2800円
法然上人の生涯と事績を絵巻物にした国宝『法然上人行状絵図』(総本山知恩院所蔵)の詞書に佛教大学元学長が研究成果をふまえて校注を施した書。



アジアの民間信仰と文化交渉 二階堂善弘著 関西大学出版部 2000円
日本の多くのお寺に祀られている伽藍神「招宝七郎」や「華光大帝」像はエキゾチックな風貌だが、そのルーツは大陸にある。アジア各地で姿を変えた神像から民間信仰の交流が探られる。



地蔵と閻魔・奪衣婆 松崎憲三著 慶友社 2800円
辻に立って人々を救う地蔵、善悪を裁く閻魔、亡者の衣類を剥ぐ奪衣婆は民衆からの篤い信仰を集める。関東や東北の寺院に今も伝わる多様な参拝習俗を現地調査。「地蔵流し考」など。



落語で大往生 お説教のススメ 亀井鑛著 興山舎 1700円
落語には仏様の教えが盛りだくさん。笑いの中にハッと気づくものがあると名作落語41話を仏教の視点から読み解き、法話にも役立つ。本誌別冊好評連載を収録。



湖北のホトケたち 桑田潔著 サンライズ出版 1800円
過疎地でもお寺が存続できるのはなぜか。近江の無住寺院を支える人々の信仰に焦点をあてた『毎日新聞』滋賀版の地域密着連載がまとめられている。



恋愛成就寺 小池龍之介著 ディスカバー21 1300円
「浮気が許せない」「彼の本心が知りたい」など恋愛の悩みに、気鋭の若手僧侶は何と答えるのか? ネット上で行われた様々な相談が収録されている。



ビハーラ医療団 学びと実践/ビハーラ医療団編 自照社出版 1800円
終末医療に仏教はいかにかかわることができるか。医者であり、仏教者である8人の現場からのメッセージ集。「がん緩和医療の最前線にいて」他。



長崎・聖福禅寺の普茶料理 田谷昌弘著 長崎新聞社 2000円
隠元が伝えた中国風精進料理、普茶料理は味よく目にも美しい。京都・黄檗宗大本山萬福寺で料理担当だった長崎の聖福寺住職による料理レシピ本。



名僧の書 歴史をつくった50人 石川九楊著 淡交社 2500円
書から本当の人物像が分かる―現代の書家が古代から近代まで日本史に残る名僧、怪僧、傑僧50人の書70点を取り上げて一字ずつ分析している。



鴨長明 日本人のこころの言葉 三木紀人著 創元社 1200円
東日本大震災後、『方丈記』が再注目された。仏教説話集『発心集』にもふれ無常を生き抜くための心のありようを説いた鴨長明の言葉を読み解く書。



禅ゴルフ Dr・ジョセフ・ペアレント著 筑摩書房 760円
副題は「メンタル・ゲームをマスターする法」。スポーツにメンタル・トレーニングは不可欠。禅の精神とゴルフ上達の関連を説いた実践論。文庫判。





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