[月刊『寺門興隆』 2013年8月号より転載]
中世の寺社縁起と参詣 徳田和夫編 竹林舎 13000円
全十巻予定のシリーズ「中世文学と隣接諸学」の第八巻は、中世の人々がいかに寺社に導かれたのかを寺社縁起を中心に考察した論考集。「霊場巡礼の成立と縁起生成」「参詣と和歌」他。
南北朝隋唐期佛教史研究 大内文雄著 法藏館 11000円
南北朝時代から隋唐代において仏教の正当性や重要性はどのように記述されたのか。『歴代三寶紀』や碑文、塔銘など数多の史料をもとに、当時の仏教観を明らかにしようとした研究論考。
明治初期の教化と神道 戸浪裕之著 弘文堂 4800円
明治政府が行った国民教化政策・大教宣布運動のもと、仏教や神道はどのように当局に管理されたか。島地黙雷の大教院分離運動や神道論形成、神道事務局の内容などから明らかにされる。
日蓮宗と戦国京都 河内将芳著 淡交社 1800円
戦国時代の京都において、なぜ日蓮宗は隆盛したのか。南北朝の時代から本能寺の変まで中世都市と日蓮宗のかかわりが文献史学の立場から明らかにされる。「門跡をめざした本国寺」他。
ブッダの冠 仏・菩薩の持ち物〈考〉 西村実則著 大法輪閣 1800円
ブッダは香も数珠も持っていなかったのに、諸仏はなぜ多くの物を持つか。仏具や香炉、仏像の装身具のルーツをインド仏教の基本から考察している。
他力の思想 仏陀から植木等まで 山本伸裕著 青灯社 2200円
著者はインド大乗仏教専門の若手研究者。自身が生きるための思想となったという他力思想を、龍樹、親鸞から清沢満之、そして植木等までを視野に入れて幅広く捉えなおす仏教思想論。
富士山文化 その信仰遺跡を歩く 竹谷靭負著 祥伝社 840円
今年六月、世界文化遺産に登録された富士山。登録の構成要素となった独自の信仰文化の全貌を富士山学の第一人者が解説した参拝ガイド。新書判。
動作で「わかる」 河野文光著 禅文化研究所 1800円
著者は三十年、お寺の傍ら養護学校に勤務してきた臨済宗妙心寺派住職。カウンセリングなど心理臨床の援助過程をまとめたもの。成瀬悟策監修。
白隠禅との出会い 松下宗柏著 教育評論社 1500円
発心は千差万別。在家生まれで東京外大卒業後、ジェトロに就職した青年を禅の道にとらえて離さなかったものは? 静岡県臨済宗妙心寺派住職が半生を振り返り、禅の教えを説く法話集。
死者の追悼と文明の岐路 島薗進・大稔哲也編著 三元社 1800円
副題は「2011年のエジプトと日本」。大震災と、革命の犠牲者の鎮魂と記憶、再生についてエジプトと日本の研究者が論じた学術交流シンポの記録。
新訳正法眼蔵 道元著・ひろさちや編訳 PHP研究所 950円
「迷いのなかに悟りがあり、悟りのなかに迷いがある」が副題。難解なことでも知られる道元の『正法眼蔵』をとくに現代人に向けて訳された新書判。
道元を逆輸入する ネルケ無方著 サンガ 2400円
難しい仏教書も英語に翻訳されたものなら意外に理解しやすい? ドイツ人の曹洞宗住職が道元の「現成公案」を英訳しつつ読み解いたユニークな書。
空海に学ぶ人生でもっとも大切にしたい42のこと こう書房 1400円
著者は鹿児島県の高野山真言宗最福寺の池口惠觀住職。「無理して頑張っている人に贈りたい」と空海の教えをもとに今を生き抜く智慧を説いている。
捨ててこそ人生は開ける 他阿真円著 東洋経済新報社 1600円
九十四歳で矍鑠と全国を飛び回る時宗の法主が、戦争体験や二度にわたる死の宣告など波乱の人生を振り返りながら綴る法話集。「念仏健康法」など。
はじめての精進料理 高梨尚之著 東京書籍 1500円
精進料理で知られる曹洞宗住職が野菜の切り方から下処理、味付け、応用まで料理の基本とこだわりレシピを写真と共に指南する。「精進マリネ」他。
日本呪法全書 藤巻一保著 学研パブリッシング 3800円
著者は神秘思想研究家。仏教・神道・陰陽道などで用いられた様々な修法や呪法を取り上げ、その内容を紹介しながら日本の神秘思想に迫る異色の事典。
現代宗教2013 国際宗教研究所編 秋山書店 2200円
特集は「3・11後を拓く」。原発、被災者支援など東日本大震災後の宗教者の様相がテーマごとに紹介されている。「原発問題への宗教界の応答」他。
地獄絵を旅する残酷・餓鬼・病・死体 加須屋誠監修 平凡社 1200円
古より伝わる恐ろしくも深い地獄の世界が「地獄草紙」「餓鬼草紙」「病草紙」「北野天神絵巻」などを例に紹介される。文章は細野晴臣、辛酸なめ子他。
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