[『月刊住職』 2014年6月号より転載]

仏教の事典 末木文美士他編 朝倉書店 8800円
仏教とは何か。初学者でも分かりやすいように歴史から教団の成り立ち、教えの展開、仏教思想に基づく社会的実践、寺院や聖地、文化芸術、仏教文学の世界まで広範囲を網羅した事典。



黄檗禅と浄土教 田中実マルコス著 佛教大学 7000円
習禅と念仏を共に修める黄檗禅の特色を色濃く受け継いだ江戸時代の中国僧侶で、京都・萬福寺第四祖獨湛の思想と行動が明らかにされる。「語録に見る浄土教」「獨湛の法然観」など。



日本古代中世の仏教と東アジア 関西大学出版部 4000円
古代、中世、そして現代に至るまで日本と東アジアにおける仏教伝播をめぐる展開と変容を様々な視点から捉えた論文集。「空海請来不空・般若新訳経の書写と公認」他。原田正俊編著。



華厳哲学小論攷 土田杏村著 書肆心水 2700円
「仏教の根本難問への哲学的アプローチ」が副題。土田杏村(1891―1934)は西田幾多郎の弟子で文明、文化、教育、芸術など広く論じた。華厳思想の哲学的可能性を求めた論考書。



仏教的伝統と教育 竹内明著 国書刊行会 3000円
日本人の精神形成に仏教は深く関わっている。『徒然草』の兼好老師や世阿弥との関連をふまえ一遍思想に着目し、無・型・身体性などをキーワードに日本独自の教育論の再構築を試みた書。



戦争・災害と近代東アジアの民衆宗教 有志舎 6600円
近代化と戦争の最中、東アジアにおいて民衆宗教は従来と異なる越境現象を見せた。展開と変容の背景が多様な事例から考察される。武内房司編。



「開発」を生きる仏教僧 岡部真由美著 風響社 5000円
資本主義の開発政策が進む一方で、仏法に基づく社会問題の解決を模索してきたタイの「開発僧」。僧侶の実像と開発僧が生まれた背景を民族誌的アプローチから浮き彫りにした調査研究。



仏典をよむ 死からはじまる仏教史 末木文美士著 新潮社 670円
原始仏教から大乗仏教を経て日本仏教へ。思想的展開が『法華経』『般若心経』『正法眼蔵』『立正安国論』などの読解から明らかにされる。文庫判。



密教とマンダラ 頼富本宏著 講談社 920円
下り坂の時代も密教とマンダラは人間の心身を支えると著者は説く。密教の歴史、教義を紹介すると共にマンダラの展開と役割を解説する。文庫判。



法然の思想親鸞の実践 佐々木正著 青土社 2400円
法然はいかにして親鸞を肉食妻帯に踏み切らせたのか。「専修念仏」「悪人正機」の思想が生まれた背景を両者の関係を捉え直すことから読み解く。



親鸞聖人は何を求められたのか 真城義麿著 法藏館 1900円
宗門校の大谷中・高校の校長を務め、分かりやすい講話で知られる真宗大谷派住職が、親鸞の生涯を辿りながら真に求める生き方とは何かを問いかける。



足の裏で歩む 板橋興宗著 北國新聞社 1200円
一日も坐禅を欠かさず、修行僧約三十人と山里に住む元曹洞宗管長で福井県の御誕生寺住職の米寿記念法話集。「このままいけば愚にほろぶ」他。



ポーランドに殉じた禅僧 梅田良忠 梅原季哉著 平凡社 1800円
曹洞宗僧侶だった梅田良忠(1900―1961)はポーランド研究の歴史家で、特派員、公使館員としても活躍した。その数奇な人生を描いた評伝。



白隠禅師の足跡 上村貞嘉著 淡交社 2000円
臨済宗中興の祖である江戸時代の禅僧、白隠は生涯を清貧のうちに暮らし、ユーモアあふれる禅画でも民衆に親しまれた。生涯と修行の足跡が辿られる。



対人援助をめぐる実践と考察 吉川悟編 ナカニシヤ出版 5900円
死別の悲嘆やいじめの問題などに向き合う手段として、仏教の教えや習俗を通じた支援が見直される。「真宗法座とエンカウンター・グループ」他。



不干斎ハビアンの思想 梶田叡一著 創元社 2700円
戦国時代、禅宗の僧侶からキリスト教に帰依し、宣教の最前線に立ちながらも、後に棄教して修道女と野に出た異色の宗教者の思想と生涯に迫る。



サバイバル宗教論 佐藤優著 文藝春秋 800円
世界の動きを正しくつかむには宗教知識が不可欠だ。元外務省主任分析官の著書が、京都の大本山相国寺で四回にわたって行った宗教講義録。新書判。



『作庭記』と日本の庭園 白幡洋三郎著 思文閣出版 5000円
お寺の庭はなぜ心を落ち着かせるか。日本最古の作庭理論書『作庭記』を紐解きながら、禅寺の庭や浄土庭園などに込められた思想が解き明かされる。





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