[『月刊住職』 2014年10月号より転載]
阿闍世のすべて 悪人成仏の思想史 永原智行著 法藏館 3000円
父親殺しの王様と仏教の出会いを描いた阿闍世王の物語は、何を説いているのか。仏教文献を読み解き、苦悩と救済の過程を考察すると共に、親鸞聖人の悪人成仏思想との関連も解明する。
はじまりのブッダ 初期仏教入門 平野純著 河出書房新社 1900円
ブッダは輪廻や霊魂を信じたか、諸行無常とは何か。初期経典が伝えるブッダの姿を通じて教えに迫る入門書。
「異端思想家サンジャヤの悲劇」他。
修験道聖護院史辞典 首藤善樹著 岩田書院 5900円
白河上皇の熊野御幸の先達を勤めた功を縁に開かれた京都・本山修験宗聖護院門跡。戦火を経て今日まで伝えられる同寺と本山修験の歴史や縁の人々などについて全四百四十三項目で解説。
住心院文書 首藤善樹他編 思文閣出版 6000円
全国の修験道本山派山伏を統括する京都・聖護院門跡の院家先達、住心院は、明治の神仏分離まで東山の新熊野神社の別当も兼務していた。同院に伝わる貴重な修験道の史料群の活字化。
東国里山の石神・石仏系譜 田中英雄著 青娥書房 2500円
東北や関東の山々には古来より数多の神仏が祀られてきた。東国山岳の蔵王権現、女人結界の姥石や姥神、秩父の犬神、里山の天狗など各地の石仏・石神から日本人の山岳信仰を探る。
日本の霊山読み解き事典 西海賢二他編 柏書房 3800円
修験の山からアイヌの霊山、富士山、そして沖縄のウタキ(御嶽)まで日本各地の霊山・霊峰約百五十カ所と山岳信仰の歴史について綴った霊山事典。
根来寺を解く 中川委紀子著 朝日新聞出版 1600円
「密教文化伝承の実像」が副題。戦国時代は堂塔伽藍二千七百余、寺領七十二万石を誇り、数多の僧兵を抱えた和歌山・新義真言宗総本山根来寺。寺史が新たな視点で読み解かれる。
夢中問答入門 西村惠信著 KADOKAWA 880円
足利尊氏の弟・直義の問いに夢窓疎石が応えた『夢中問答集』。全九十三段の問答から核心に迫る教えを抽出し、平易な現代語訳で紹介する。文庫判。
歎異抄の近代 子安宣邦著 白澤社 3400円
近代知識人は『歎異抄』をどう理解し、何を得たか。清沢満之、暁烏敏、倉田百三、丹羽文雄、三木清、鈴木大拙、野間宏、吉本隆明、滝沢克己の著作を通じて『歎異抄』の思想体験に迫る。
地獄極楽 絵本 諸橋精光作・津田真一監修 小学館 1500円
あの世はどんなところか。絵本作家でもある新潟の真言宗豊山派住職が、小坊主・真観が地蔵に手を引かれて巡る地獄極楽の世界をユーモラスに描く。
盆おどる本盆踊りをはじめよう! 盆踊ろう会著 青幻舎 1600円
慰霊と供養の仏教行事、盆踊りを楽しむ若者がいま増えている!? 盆踊りの基礎知識から、全国に伝承される盆踊りと唄がイラストと共に紹介される。
実践的スピリチュアルケア 日本看護協会出版会 2300円
スピリチュアルケアワーカーとしても活躍する飛騨・高野山真言宗千光寺の大下大圓住職が医療従事者に向けて書いたスピリチュアルケアの実践書。
この人の生き方に学ぶ 澁谷隆阿著 展望社 815円
節談説教にも力を入れる住職が、僧侶や政治家など八人(良寛、鑑真、空海、鉄眼、摺石宥然、山本玄峰、池田勇人、大石順教)を、評伝交えて描く。
21世紀の宗教研究 井上順孝他編 平凡社 2400円
副題は「脳科学・進化生物学と宗教学の接点」。人はなぜ神仏を求め続けるか。最新脳科学など科学研究分野と連関して、宗教と人間の関係に迫る。
宗教と公共空間 島薗進・磯前順一編 東京大学出版会 4400円
時代の変化の中で、宗教はかつての私的・公的領域という二分法で語れなくなったという。欧米とアジアにおける宗教の新たな動向を考察した論文集。
比較宗教学 阿部美哉著 大法輪閣 2200円
宗教現象へのアプローチの方法に比較宗教学がある。古今東西の比較宗教学の理論を考察した初学者向けの入門書。「宗教の世界の危機と対応」他。
靖国神社と幕末維新の祭神たち 吉原康和著 吉川弘文館 2300円
副題は「明治国家の『英霊』創出」。対外戦争戦没者を祀る施設ではなかった靖国神社が、なぜ今のようになったのか。合祀過程を探り、実像を描く。
宗教法人の規則 二訂版 文化庁編 ぎょうせい 1100円
寺院の運営に欠かせない宗教法人法。その目的や規定内容について具体的な例文を交えた解説書の十七年ぶりの改訂版。巻末に宗教法人法の全文を収録。
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