[『月刊住職』 2015年2月号より転載]
はじまりのブッダ 初期仏教入門 平野純著 河出書房新社 1900円
ブッダとはいかなる人物であったのか。輪廻や霊魂に対する考え、同時代のライバルたちなど、人物と思想に焦点をあてることで、初期仏教の姿が初心者にも分かりやすく解き明かされる。
仏教美術の研究 齋藤理恵子著 里文出版 5000円
シルクロード、中国朝鮮半島を経て日本伝来まで多様な発展を遂げた仏教美術。法隆寺の釈迦三尊像や正倉院宝物の意匠の起源、中国の敦煌石窟まで歴史的展開と特徴が浮き彫りにされる。
修験道小事典 宮家準著 法藏館 1800円
修験道の歴史から儀礼、思想、組織まで約五百項目にわたって解説するハンディサイズの事典。修験道霊山と社寺の地図、年表、修験道に関係する主要教団や由緒寺社などの情報も付す。
正法眼蔵入門 頼住光子著 角川学芸出版 800円
固定化された自己を手放した時、私は悟り、世界が目覚める―。全87巻から成る道元の『正法眼蔵』の核心に迫り、無常や因果などの思想について哲学的視点から読み解く。文庫判。
迷いは悟りの第一歩 ネルケ無方著 新潮社 700円
「日本人のための宗教論」がサブタイトル。ドイツ人禅僧で兵庫県の曹洞宗安泰寺住職が、自らの歩みから仏教とキリスト教の違いを語る。新書判。
超訳 空海の言葉 一条真也監訳 ベストセラーズ 1500円
「己を信じる―人間の持っている無限の可能性に賭ける」「悩みと向き合う―悩み苦しんでいるのは、あなただけではない」など空海の名言を超訳。
歩いて知る高野山と空海 渋谷申博著 洋泉社 860円
今年、開創千二百年を迎えた高野山。標高約九百㍍の山岳霊場の歩き方ガイドから、空海の思想や名言、高野山の歴史までをQ&A式で紹介。新書判。
四国遍路 森正人著 中央公論新社 760円
千数百キロを八十八カ寺で結ぶ四国遍路は、いつの時代も人々を惹きつけてきた。僧侶や市井の人による道中記など近世以降の遍路にかかわる史料をもとにお遍路の歴史が描き出される。
親鸞の真宗か 蓮如の真宗か 信楽峻麿著 方丈堂出版 2000円
昨年九月、八十八歳で往生した元龍谷大学学長の遺作となった米寿記念法話集。長年の問題意識と研究を伝える。「念仏がなくなった本願寺教団」他。
ミトルヒト 長倉伯博著 本願寺出版社 1000円
「終末期の悲嘆に寄り添う一人の僧侶の軌跡」が副題。医師らと共に医療チームの一員として、終末期の患者や家族のケアにあたってきた鹿児島の浄土真宗本願寺派善福寺住職の体験記。
人生が変わる親鸞のことば 川村妙慶著 講談社 1300円
一日二百通以上の悩み相談メールに応じる真宗大谷派の女性僧侶が、親鸞の言葉を現代人向けに分かりやすく解説する。「考えすぎてしまう人へ」他。
オウムという現象 渡辺学著 晃洋書房 1500円
平成七年の地下鉄サリン事件から20年。オウム真理教とは何だったのか。宗教社会学の立場から全体像に迫る。「ヨーガ教室から宗教団体へ」他。
古代インドの思想 自然・文明・宗教 山下博司著 筑摩書房 800円
多様な民族、言語、宗教から成る人口12億超のインド。仏教やジャイナ教、ヒンドゥー教を生んだ思想の土壌はいかに形成されたかを考察。新書判。
旅と祈りを読む 道中日記の世界 西海賢二著 臨川書店 2000円
陸奥の巡礼、富士登拝、善光寺参り、四国遍路など古来より伝わる巡礼の旅。市井の人々が旅の道中に書いた日記を手がかりに様々な信仰の諸相を読む。
やさしい心を育てる禅絵本よいしょ 枡野俊明著 主婦の友社 1200円
禅語「結果自然成(けっかじねんになる)」の心を子供に伝える絵本。著者は世界的庭園デザイナーでもある横浜の曹洞宗建功寺住職。絵・坂川栄治。
まじないの文化誌 花部英雄著 三弥井書店 2800円
カメムシが多いとその冬は大雪になるなど、古来より伝わるまじないの精神世界が歴史、文化、生活を鍵に読み解かれる。「まじないの効力」など。
憲法的刑法学の展開 平川宗信著 有斐閣 6800円
法学者が仏教思想、とくに親鸞の国家観・人間観に基づき現行の憲法と刑事法を捉え直し、その上に刑事法の理論を構築する憲法的刑法学を提唱する。
宗教法人ハンドブック 実藤秀志著 税務経理協会 1600円
宗教法人の設立、事務、会計規定や決算書の作り方から、法人税や贈与税、相続税などの税務まで、宗教法人運営に必要なポイントを解説する。十訂版。
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