[『月刊住職』 2015年8月号より転載]

スリランカの大乗仏教 森祖道著 大蔵出版 12000円
東南アジアに伝えられたスリランカの上座部仏教。だが同国には、かつて大乗仏教が栄えていた。サンスクリット語などの諸文献はじめ、碑文や美術彫刻からその全貌が浮き彫りにされる。



最澄の思想と天台密教 大久保良峻著 法藏館 8000円
最澄の思想はいかに継承されてきたか。最澄の撰著からその思想を読み込むことで後継の学問の底流と展開が探られる。「『法華経』提婆達多品の龍女成仏」「大直道思想について」など。



法華経写経とその荘厳 須藤弘敏著 中央公論美術出版 12000円
大陸とは異なり、日本で独自の写経文化が発達したのはなぜか。平安時代に描かれた法華経写経の見返絵を軸に、東アジアの写経文化から見た日本の写経文化の特徴と意義が明らかにされる。



釈迦の故郷を掘る 坂詰秀一編著 北隆館 30000円
カピラ城跡ティラウラコットの発掘調査(1967-77)とルンビニー遺跡のマヤ堂修復事業(1993-2003)について、両調査に携わった立正大学名誉教授がその成果を報告。



唯識とはなにか 多川俊映著 角川学芸出版 880円
唯識思想を三十詩頌でまとめた『唯識三十頌』を奈良の法相宗大本山興福寺貫首が、玄奘の漢文をもとに書き下し身近な例と共に易しく説く。文庫判。



現代アジアの宗教 藤本透子編 春風社 4200円
近代化の中で社会主義を経験した地域の宗教はどうなったか。カザフスタン、モンゴル、カンボジアなどアジア諸国の実地調査集。「浄域を通してみるカンボジア仏教再生の動態」など。



盆行事と葬送墓制 関沢まゆみ他編 吉川弘文館 2500円
お盆に墓地で飲食する地域もあれば、死穢の場所として忌避する地域もある。盆行事の地域性とその変化を捉えた論考。「祖霊とみたまの歴史と民俗」他。



話道 仏教法話の実践 阿部圭佑著 国書刊行会 3800円
曹洞宗大本山總持寺布教師会常任理事が、法話を説く心構えから、準備の整え方、内容の組み立て方、表現技術の秘訣までを具体的実例と共に伝授。



からわかる空海と高野山のすべて 渋谷申博著 三笠書房 590円
お大師様はどんな生涯を歩んだのか、真言密教の特徴とは何か、高野山はどんなところなのか。真言宗と高野山についてまとめられた入門書。文庫判。



ふしぎの河 二河白道の譬喩 西川正澄著 方丈堂出版 2000円
両側からは炎と水が迫り、背後からは群賊悪獣が追う絶体絶命の境地に信心決定を問う善導の二河白道の喩えの真意について、真宗大谷派住職が説く。



三条教則と教育勅語 三宅守常著 弘文堂 5000円
副題は「宗教者の世俗倫理へのアプローチ」。明治政府による国民教化のガイドライン「三条教則」と「教育勅語」を宗教者はいかに捉えたのか。僧侶とキリスト者を中心に実態に迫る。



石見と安芸の妙好人に出遇う 神英雄著 自照社出版 1500円
江戸時代に編纂された浄土真宗の篤信者の伝記集『妙好人伝』を手がかりに、石見の浄泉寺や報恩講の様子などを訪ね、その信仰を浮き彫りにする。



あせらず あわてず あるがまま 本願寺出版社 1000円
弁護士の大平光代と、医師で浄土真宗本願寺派布教使でもある友久久雄が、仏教の視点から子育てや障がい受容、教育、いじめ問題について語り合う。



安泰寺禅僧対談 佼成出版社 1600円
ドイツ人で兵庫県にある曹洞宗安泰寺のネルケ無方住職と、アメリカで禅指導を行うサンフランシスコの曹洞宗国際センターの藤田一照所長の禅対談。



中世芸能講義 松岡心平著 講談社 880円
経済活動としての「勧進」、祓穢思想と芸能から見た「天皇制」、「連歌」、バサラ的思想を孕む「禅」と四つの切り口から中世文化の全容に迫る。文庫判。



ほとけさまの図鑑 藪内佐斗司著 小学館 1100円
奈良の「せんとくん」の作者で知られる彫刻家が、仏壇の本尊から路傍の石仏、文化財指定の仏像まで四十四体をキャラクター化して解説。ムック本。



宗教学大図鑑 ドーリング・キンダースリー社編 三省堂 4200円
仏教、ヒンドゥー教、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教など世界の主な宗教の歴史と教義、特徴を図解を交えて解説する。日本語版監修・島薗進他。



葬送儀礼と装いの比較文化史 増田美子編著 東京堂出版 3800円
喪服の色は黒か白か。仏教、儒教、道教、ヒンドゥー教、キリスト教、イスラム教などの各文化圏における葬送儀礼と装いに着目し、比較した論考集。





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