[『月刊住職』 2016年2月号より転載]

奈良朝仏教史攷 山本幸男著 法藏館 11000円
天平時代の東大寺華厳宗の教学と実践はどのようなものだったか、仏事行為に見られる政治と仏教の関係とは? 正倉院文書から当時の仏教信仰を解明。「奈良末期の大安寺をめぐる人々」他。



奈良時代建築の造営体制と維持管理 海野聡著 吉川弘文館 11000円
奈良時代の中央大寺や国分寺、宮都などはいかに造営、維持管理されていたか。造営組織や技術者、道具にも注目し、建物の維持管理に関する法的規定、修理体制、技術などを捉え直す。



院政期仏画と唐宋絵画 増記隆介著 中央公論美術出版 15000円
奈良・平安前期の絵画は唐代の美術の影響を受けいかに和様化したか。院政期の仏教絵画を対象に東アジアにおける仏教美術の位置づけも視野に考察している。「院政期仏画の技法」他。



中世往生伝と説話の視界 田嶋一夫著 笠間書院 12000円
中世の日本人はどのようなあの世観、世界観を持っていたのか。各種の往生伝と僧侶とのかかわり、神道集、中世の説話、歴史叙述、ちりめん本の日本昔噺シリーズなどを題材にした論考集。



構築された仏教思想 道元 石井清純著 佼成出版社 1400円
副題は「仏であるがゆえに坐す」。道元の生涯から著作、仏道、また永平寺の運営まで道元禅の教えを駒澤大学仏教学部教授が平易に解説している。



講義ライブだから仏教は面白い! 魚川祐司著 講談社 840円
著者はミャンマーで上座仏教の教理と実践を学んだ若手仏教学者。インターネットで対談形式により仏教を分かりやすく語った内容をまとめたもの。



親鸞聖人と箱根権現 今井雅晴著 自照社出版 800円
関東から帰洛する親鸞一行は権現の夢告を理由に箱根神社の神官に一泊のもてなしを受ける。『親鸞伝絵』に描かれた箱根権現の意味を考察している。



荘子と遊ぶ 禅的思考の源流へ 玄侑宗久著 筑摩書房 1600円
制度を整え、競争を煽り、管理や罰則を強めると上手くいくという現代の考えに「否」を突きつけるのが荘子だという。作家で福島県の臨済宗妙心寺派住職が、2300年前の思想に迫る。



丹法入門 白隠「内観法」の真実 岡部守成著 論創社 3000円
禅病にかかるも仙人に内観法を学び完治したといわれる江戸時代の臨済宗僧侶、白隠。その著書『夜船閑話』や釈尊の『法句経』などを通じて精神のセルフ・コントロールの要諦を明かす。



ブッダも笑う仏教のはなし 笑い飯哲夫著 サンマーク出版 1300円
仏教好きで奈良国立博物館の文化大使も務める奈良県出身のお笑い芸人が、ブッダの一生から居酒屋で使える仏教雑学までを披露するユニーク仏教入門。



仏教が教えてくれる「お別れ」のしかた 名取芳彦著 三笠書房 590円
人は死んだら終わりではなく生き様と死に様はつながっている、と東京の真言宗豊山派住職が心に残るお葬式や別れの場を通じて説く法話集。文庫判。



40歳からを悔いなく生きるブッダの智慧 海竜社 1500円
著者はスリランカ上座仏教のA・スマナサーラ長老。人生折り返し地点以降の生き方のコツ四十二を仏教の教えから説く。「怒りを静める智慧」他。



仏教者の戦争体験 仏教タイムス社 1600円
仏教者は戦争をどう受け止めたのか。捕虜生活、原爆体験、学徒動員、戦争未亡人、特攻の生き残りなど四十四人の戦争証言。「巣鴨プリズン慰問」他。



禅語にしたしむ 愛知学院大学禅研究所編 大法輪閣 1800円
副題は「悟りの世界からのメッセージ」。犬に仏性はあるか? 瓦を磨いて鏡になるか? など枠にとらわれない禅的世界を親しみやすい禅語から説く。



源信さん 浄土教の祖 天台宗典編纂所監修 石田大成社 1000円
平安中期の天台僧で『往生要集』を著した源信。日本仏教に大きな影響を与えたその生涯を子供向けに編纂した絵本。イラスト・はにいろデザイン。



知的唯仏論 宮崎哲弥・呉智英著 新潮社 520円
「マンガから知の最前線まで」がサブタイトル。宗教とマンガ、日本仏教の特質、神秘体験まで、評論家二人が多角的な視点から日本仏教を論じる。



ふつうのお寺の歩き方 広尾晃著 メディアイランド 1500円
観光寺院ではない身近な近所のお寺をもっと知ろう、とお寺の楽しみ方を歴史や宗旨宗派、境内伽藍の基本知識、拝観マナーと共に解説するガイド本。



「あの世」の名画 蔵持不三也監修 実業之日本社 980円
死んだらどこにいくのか。仏教、キリスト教、イスラム教、ギリシア神話、北欧神話、神道の死生観を宗教絵画から読み解く。カラー図版も多数収載。





Copyright (C) 2006-2016 kohzansha. All Rights Reserved.