[『月刊住職』 2016年3月号より転載]

東アジア古代金石文研究 門田誠一著 法藏館 13000円
仏具など金属や石に刻まれた碑文から5~8世紀の東アジア世界における宗教と信仰の姿を考古学と文献学の手法から浮き彫りにする。「百済王室祈願寺の舎利容器にみえる造寺思想」他。



最澄・空海将来『三教不斉論』の研究 藤井淳他編著 国書刊行会 10000円
中国の唐の時代に仏教・儒教・道教の三教の優劣について論じた『三教不斉論』は最澄と空海により日本にもたらされた。新たな校訂テキストをもとに、若手研究者らが分析した論考集。



古代インド美術と民間信仰 永田郁著 中央公論美術出版 14000円
 古代インドで仏像や菩薩像の生成、石窟寺院形成に、ヤクシャ(夜叉)など伝統的な民間信仰はいかなる影響を与えたか。現地調査と造形分析を通じて古代インド美術の深層を追究する書。



絵解きと伝承そして文学 林雅彦編 方丈堂出版 12000円
庶民に親しまれてきた視聴覚布教、絵解き説教について研究者23人が絵解き、伝説・伝承、文学関連の多角的な視点から考察した論文集。「道成寺説話の展開 男と女の愛憎物語」他。



教行信証入門講話集 暁烏敏著 書肆心水 7200円
清沢満之に師事し、のちに真宗大谷派の宗務総長となった暁烏敏(1877~1954)が親鸞聖人の著した難解な『教行信証』を日常にひきつけて説いた講話集。全百二講を収載する。



浄土真宗の〈聖教〉『安心決定鈔』を読む 大法輪閣 1700円
著者は浄土真宗本願寺派僧侶でもある相愛大学の佐々木隆晃准教授。蓮如上人が「黄金を掘り出すような聖教である」と讃えたという『安心決定鈔』。現代人向けに教えの核心を解説する。



世界の仏教徒は団結をして仏教興隆を! 尾谷卓一著 ニチレン出版 2500円
自ら出版社を設立し、四十年以上にわたって『現代仏教』をはじめとする日蓮宗の文書伝道活動に尽くしてきた山梨県の日蓮宗本源寺院首の回顧録。



仏師たちの南都復興 塩澤寛樹著 吉川弘文館 3800円
1181年、平氏の南都焼討で灰燼に帰した南都はいかに復興を遂げたのか。朝廷、摂関家、幕府、寺家の動きから復興造像と仏師の関連性を探る。



現代語訳 十牛図 PHPエディターズ・グループ 1300円
悟りへのプロセスを十枚の牛の絵で描いた『十牛図』。その意味を古典翻訳家の水野聡が平易に現代語訳化する。監修・解説は玄侑宗久・福聚寺住職。



超訳 白隠禅の言葉 境野勝悟著 海竜社 1500円
「生きる喜びが湧いてくる教え」が副題。臨済宗の中興の祖、江戸時代の白隠禅師は独自の言葉で庶民に禅を伝えた。『坐禅和讃』の教えを解説する。



禅が教える人生という山のくだり方 KADOKAWA 600円
よく登山にたとえられる人生。懸命に頂上に登ったあとは幸せな下り方もある。庭園デザイナーでもある横浜の曹洞宗建功寺、枡野俊明住職の法話集。



禅に学ぶくらしの整え方 吉村昇洋著 オレンジページ 1389円
臨床心理士で精進料理の普及や食育などの活動でも知られる曹洞宗の青年僧侶が、心のもやもやを晴らすには、身の回りからと整理整頓法を指南する。



今日からはじめる坐禅心得と効果 西嶋和夫監修 金園社 1300円
都内では出社前のサラリーマンやOLが参禅する姿もある。日常生活に坐禅を取り入れようと、歴史から作法、禅語、経典までを解説した坐禅入門書。



13歳からの仏教塾 平井正修著 海竜社 1500円
なんのために生き、なぜ死ななくてはいけないのか。「本当の自分」とは何か。思春期の子供に向け東京谷中の臨済宗国泰寺派全生庵住職が説く法話集。



仏像再興 仏像修復をめぐる日々 牧野隆夫著 山と溪谷社 1800円
日本人にとって仏像とは何か。三十数年にわたり全国の仏像修復を手がけてきた〝仏像の町医者〟が見たもの。「住職が求めた『もっと違う修理』」他。



仏の発見 五木寛之・梅原猛著 徳間書店 850円
混迷の時代に仏教は救いとなるのか。科学的合理主義を超えた仏教の存在とは。幅広い視野から作家と哲学者が縦横無尽に語り合った対談集の文庫本化。



世界遺産 西本願寺の魅力 山田雅夫著 本願寺出版社 1800円
副題は「絵解きでわかる」。京都・西本願寺の宗教建造物としての魅力とは何か。都市設計家が豊富な絵と共に解説。「まさに雲上の楼閣建築」など。



空海の秘密 今井仁著 セルバ出版 1800円
真言密教の奥義とは何か。「チケットぴあ」など観光情報産業に携わってきた著者による弘法大師のエピソードや逸話をベースにした歴史ミステリー。





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