[『月刊住職』 2016年5月号より転載]
行基論 角田洋子著 専修大学出版局 3200円
「大乗仏教自覚史の歩み」がサブタイトル。民衆布教が禁じられた時代に、畿内を歩いて仏法を伝え、東大寺建立に尽力した行基。その働きを行基と弟子の思想に焦点をあてて明らかにする。
日中古代仏教工芸史研究 加島勝著 雄山閣 14000円
中国・シルクロードを経て日本に伝えられた仏舎利や香供養具などの仏教工芸品を対象に、様式論に基づく比較研究によって、製作年代や製作場所を明らかにし、歴史的背景に迫る研究書。
近世禅宗寺院の空間構成・意匠の研究 中央公論美術出版 12000円
著者は愛知工業大学の杉野丞教授。禅宗固有の建築空間と意匠は、中世から近世の禅宗寺院にいかに継承されたか。各地の臨済宗・曹洞宗の本堂建築遺構を調査し、禅宗建築の発展を探る。
ガンダーラ彫刻と仏教 内記理著 京都大学学術出版会 3800円
ギリシア、シリア、ペルシャ、インドなど東西文明の影響から語られてきたガンダーラ彫刻を、当時の西北インドにおける仏教との関係性など歴史的視野から捉えなおした仏教美術論考。
民間社会の天と神仏 深谷克己著 敬文舎 2400円
江戸時代の人は天や神仏とどのように向き合い、生きる規範としていたのか。『農業全書』に見られる超越観念から、野翁の民政献言や一揆、世直し、創唱教団まで多角的な視野から捉える。
佐渡の五重塔 児玉信雄著 刀水書房 2200円
国の重文指定を受けた五重塔22基のうち最後に指定を受けたのが、佐渡にある日蓮宗妙宣寺の五重塔だった。日蓮をめぐる信仰の歴史が描かれる。
日本の名僧100人 この一字 北國新聞社 2000円
東大寺や延暦寺、薬師寺、興福寺、清水寺、中尊寺など現代に生きる名刹の管長や門跡、法主など112人による墨蹟集。一口法話や寺院案内も付す。
浅草寺diary 名作散歩で親しむ仏教 壬生真康著 公硯舎 1500円
東京・浅草寺寿命院住職による法話集。日常生活や折々の出来事を通じ生死や善悪、人間と自然、災害・紛争などと仏教を説いた24編を収める。
禅の教室 坐禅でつかむ仏教の真髄 中央公論新社 860円
アメリカで禅の指導と普及に励んできた曹洞宗国際センター所長の藤田一照師と、詩人の伊藤比呂美氏が禅について縦横無尽に語った対談集。新書判。
怒らない禅の作法 枡野俊明著 河出書房新社 520円
イライラしたり、他人を許せないなどの怒りを手放すと、生き方が変わる。横浜の曹洞宗建功寺住職で世界的な庭園デザイナーによる法話集の文庫判。
人口減少社会と寺院 櫻井義秀他編 法藏館 3000円
副題は「ソーシャル・キャピタルの視座から」。来たるべき人口減少社会におけるお寺の役割とこれからの可能性を、伝統仏教教団の協力を得て実地の聞き取り調査とともに示した論考集。
はじめての親鸞 五木寛之著 新潮社 700円
独自の思想を打ち立てた親鸞。大河小説『親鸞』を手掛けた作家が、長年の探究と想像力をもとに、時代、思想、人間像を浮き彫りにする。新書判。
「いのち」の重み 細谷亮太・大下大圓著 佼成出版社 1400円
いのちの現場では何が起きているのか。難病の子供たちと向き合ってきた小児科医と、臨床宗教師でもある岐阜県の高野山真言宗千光寺住職の対談集。
村上春樹と仏教 平野純著 楽工社 2400円
僧侶である父親から強い影響を受けたというベストセラー作家、村上春樹。これまでの主要作品に込められた仏教思想を、作家で仏教研究家が読み解く。
格差と文明 黒田壽郎著 書肆心水 3300円
格差問題の核心は政治論を超えた文明論にあるとして、非欧米文明のイスラームと仏教の世界観に着目し、脱グローバル支配の可能性を提示する。
宗教と現代がわかる本2016 渡邊直樹編 平凡社 1600円
「聖地・沖縄・戦争」を特集に掲げ、戦後七十年の宗教動向、日本人のイスラーム受容、安全保障法制に反対する創価学会員の座談会などを掲載。
亀谷健樹詩禅集 亀谷健樹著 コールサック社 5000円
二十代から詩作に励んできた北秋田市の曹洞宗太平寺前住職が米寿を記念し刊行。禅僧ならではの179編の詩と207編のエッセイを収めている。
心を整える仏像ぬり絵 香取良夫画 角川書店 1200円
教科書や事典の挿絵として仏像を描き続けてきた挿絵師の作品から28点の白描画を精選した仏像ぬり絵本。曹洞宗僧侶の藤田一照師の解説も収載。
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