[『月刊住職』 2016年8月号より転載]

天台円頓戒思想の成立と展開 寺井良宣著 法藏館 12000円
鎌倉時代以降、比叡山の黒谷を拠点に戒律復興を志した学僧たちの事績と、そこに成立した円頓戒思想の特色を解明する学術書。念仏思想を伴った持戒念仏が興った思想的展開が辿られる。



釈迦信仰の世界 田中純男編 ノンブル社 2100円
釈迦はいかに信仰されてきたか。真言宗豊山派現代教化研究所の研究員が中心となり、涅槃会のだんごまきや花まつりなどの信仰習俗から仏足石信仰、遺跡、経典など多角的視点から論じる。



大乗仏教概論 鈴木大拙著 岩波書店 1260円
大乗仏教の本質を「思索的」と「実践的」の二側面から論じ、西洋に初めて本格的な大乗仏教を知らしめた鈴木大拙の著作の邦訳。翻訳は佐々木閑。



日本仏教史 ひろさちや著 河出書房新社 1600円
国家仏教はいかに民衆宗教となったのか。仏教伝来から江戸時代に至る歴史において、日本仏教の転換点に立つ役目を果たした12人に着目して解説。



大安寺の歴史を探る 森下惠介著 東方出版 1400円
平城京の筆頭官寺とされる大安寺とは、どんな寺観だったのか。ほぼ完全な形で地下に残る遺構の発掘に40年近く携わってきた著者による研究成果。



慶滋保胤 小原仁著 吉川弘文館 2100円
40人以上の往生者を記録した日本最古の往生伝『日本往生極楽記』の執筆でも知られる平安時代の僧侶、慶滋保胤とは、いかなる人物か。後世の浄土思想への影響からも捉え直す評伝。



『修証義』解説 丸山劫外著 仏教企画 1400円
副題は「道元禅師に学ぶ人間の道」。明治時代に僧侶や檀信徒のために『正法眼蔵』から抜粋、編纂され、教団近代化への役を担った宗典が説かれる。



最澄と空海 日本仏教思想の誕生 立川武蔵著 KADOKAWA 880円
共に遣唐使として中国に学びながらも、インドや中国にはない日本独自の思想を築いた最澄と空海。二人の宗祖の思想形成の軌跡が辿られる。文庫判。



鈴木大拙の原風景 西村惠信著 大法輪閣 3000円
アメリカ各地の大学で禅を英語で説くなど、仏教・禅思想を広く海外にも伝えた仏教学者、鈴木大拙。名著『日本的霊性』にもつながる思想形成の道程を花園大学元学長が浮き彫りにする。



三十三間堂護法神像の謎 山田泰弘著 創英社・三省堂書店 1100円
「若き快慶・運慶らの造立か」が副題。京都の三十三間堂に祀られる護法神や国宝の風神・雷神像は今なお誰の手によるものか不明。仏像美術研究者が造形や作風、時代背景から謎に迫る。



大切な人を亡くしたあなたへお坊さんの話49 メタモル出版 1380円
連日、サラリーマンやOLで盛況の東京・四谷荒木町の坊主バーには様々な悩みが持ち込まれる。カウンターでお酒を作りながら悩みを聴く超宗派の僧侶たちによる49編の法話集。



心理学を学んだお坊さんの幸せに満たされる練習 永岡書店 1200円
著者は超宗派僧侶で支える悩み相談サイト「hasunoha」を手掛ける浄土宗寺院の井上広法副住職。ストレス軽減にマインドフルネス瞑想法の実践を説く。



お坊さんのひみつ 村越英裕著 PHP研究所 1400円
坊主丸儲けなどのイメージを覆すため本誌別冊に連載の臨済宗妙心寺派住職が、日常生活、檀家づきあいや税金もユーモア込めて紹介する仏教入門書。



仏教の仮面を剥ぐ ベルナール・フォール著 トランスビュー 2200円
覚りや寛容、無我という側面で捉えられる仏教へのイメージを覆し、本来はもっと多様性をもつ豊かな宗教だと論じた仏教入門書。末木文美士他訳。



高僧たちの奇蹟の物語 森雅秀著 朱鷺書房 2000円
なぜ人々は高僧を慕ったのか。絵伝や物語に描かれた奇蹟から、その信仰背景を読み解く。「仏弟子たちが飛来する物語」「来迎にあずかる人々」など。



僧侶31人のぽけっと法話集 東本願寺出版 750円
昭和26年に立ち上げられ、昨年九月に惜しくも終了した真宗大谷派のラジオ番組『東本願寺の時間』。番組で放送された31人の法話の書籍化。



仏教の冷たさ キリスト教の危うさ ベストセラーズ 800円
著者は兵庫県の曹洞宗安泰寺のネルケ無方住職。牧師を祖父に持つ家庭で育ったドイツ人の禅僧が、仏教とキリスト教の違いと共通点を説く。新書判。



サヨナラ私の池田大作Ⅱ 人間の科学新社 1400円
公明党議員や幹部経験者など元創価学会員13人による「創価学会・公明党を糺すOB有志の会」の体験談、座談会集、コラムなどをまとめた第二弾。





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