[『月刊住職』 2016年9月号より転載]

日本中世の権力と寺院 高橋慎一朗著 吉川弘文館 9000円
中世に台頭した武家と寺社は朝廷・公家ら既存権力との協力関係をテコに地域社会への影響力を強めた。六波羅の実態に見る権力の行使や、西山派教団を中心にその動向が描き出される。



高野山信仰史の研究 日野西眞定著 岩田書院 9900円
高野山の納骨信仰の発生から、明治期の神仏分離まで高野山信仰史を歴史・宗教・文芸・美術などから考察した論考集。「高野山の燈明信仰と僧侶の唱導活動」「高野山の神仏分離」など。



ミリンダ王 森祖道・浪花宣明著 清水書院 1200円
『ミリンダ王の問い』で知られる対論は紀元前二世紀中頃にミリンダ王と仏教教団長老の間で行われた仏教思想とギリシャ思想の対決だった。現地踏査旅行記を付し対論の教理思想を解説



仏典に耳を澄ませ、菩薩を学び、共に生きる 国書刊行会 3000円
菅沼晃・東洋大学元学長が生前、行った講演録とエッセイ。井上円了の書簡紹介。「経典に学ぶ」「在家菩薩を学ぶ」「不殺生・共生の思想」などを収録。



仏教と心理学の接点 浄土心理学の提唱 藤能成編著 法藏館 2800円
死生観や往生観など日本人の心性に大きな影響を与えてきた浄土教に現代のカウンセリングや行動科学からアプローチ。「真宗と心理学の接点」他。



柏木義円と親鸞 市川浩史著 ぺりかん社 2600円
明治時代から昭和の初めにかけて群馬県の教会の牧師だった柏木義円は浄土真宗寺院の生まれ。足尾鉱毒事件や教育勅語への批判、非戦論を主張し続けた生涯と親鸞思想の関係に着目する。



浄土系思想論 鈴木大拙著 岩波書店 970円
既成の宗学の教義から離れ、独自の立場から『無量寿経』『浄土論註』『教行信証』などを読み解き、浄土思想の特質、大乗仏教の本質に迫る。文庫判。



仏教と気づき ケネス田中著 武蔵野大学出版会 1700円
副題は「〈悟り〉がわかるオムニバス仏教講座」。仏教は「信じる宗教」でなく心身を通して真実に気づく「気づきの宗教」。仏教を知るための入門書。



超カンタン英語で仏教がよくわかる 大來尚順著 扶桑社 800円
諸行無常は Everything is changing、業は Action などハーバード大学神学部卒業の本願寺派僧侶が『般若心経』や『正信念仏偈』などの英訳と共に、仏教を分かりやすく解説する。新書判。



悩みがスッと消えるお坊さんの言葉 村越英裕著 宝島社 1200円
「読むだけで救われる、癒される…心が生き返る100の話」が副題。なぜ生まれてきたのか、将来が不安、働く意味とは、など現代の悩みに本誌別冊連載の臨済宗妙心寺派住職が応える。



拝啓 良寛さま 市堀玉宗著 北國新聞社 1800円
北海道の在家に生まれた石川県輪島市の曹洞宗興禅寺住職が、師の板橋興宗禅師や修行の思い出、能登半島地震で全壊した自坊復興の思いなどを綴る。



『スッタニパータ』と大乗への道 石飛道子著 サンガ 2000円
最古層の仏説を伝承する『スッタニパータ』。その第四章「八偈品」の語り方に着目しながら新訳で読み、大乗仏教へとつながる道筋が考察される。



入門 近代仏教思想 碧海寿広著 筑摩書房 880円
近代日本の思想は西洋哲学と仏教の出会いの中から生まれた。井上円了、清沢満之、近角常観、暁烏敏、倉田百三の思想を辿り社会への影響を探る。



そうだったのか! お寺と仏教 河出書房新社 620円
著者は駒澤女子大学教授でもある曹洞宗宝林寺の千葉公慈住職。お寺を通じて仏教を易しく説く。「お坊さんの格好と持ち物の謎」など。文庫判。



ホップステップ浄土真宗 森田真円・釈徹宗著 本願寺出版社 1200円
真宗の教えをもう一歩深めるための既刊『浄土真宗 はじめの一歩』の続編。浄土真宗としての「終活」の考え方や、落語家との対談が収載される。



70歳! 人と社会の老いの作法 文藝春秋 780円
作家の五木寛之と比較宗教学者でもある浄土真宗本願寺派の釈徹宗住職が高齢社会における老いと日本人の宗教観、社会との関係に向き合った対談集。



自分に気づく仏教の学校 小池龍之介著 KADOKAWA 600円
なぜ社会の中で生きることがこれほど辛いのか。承認欲求、孤独感、渇愛など心の問題を仏教の教えから解き明かし、悩みを克服する生き方を説く。



人間・釈迦とその弟子たち 髙橋左駄著 東銀座出版社 1204円
著者は大正8年生まれ、激戦地トラック島からの生還後、劇作家や評論家として活躍した。本書は今年97歳で亡くなる直前に仕上げた釈尊の物語。





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