[『月刊住職』 2016年12月号より転載]

日本仏塔の研究 全二冊 石田茂作著 吉川弘文館 計四万円
インドで誕生した仏塔は、東アジア、中国・朝鮮を経て日本に伝来し独自の形に発展した。多層塔、五輪塔から塔婆まで全国各地の約一千超の遺品を形態、材料別に写真と共に解説している。



訓注 槐安国語 道前慈明訓注 禅文化研究所 一万円
江戸時代の白隠が大燈国師の語録を評唱した『槐安国語』には何が説かれているのか。臨済宗永源寺派管長が明治年間の流布本に校訂を加え、豊富な訓読と注記を付し、白隠の真意に迫る。



中世曹洞宗における地蔵信仰の受容 岩田書院 7400円
道元は只管打坐を唱え、修行による現世利益を否定していたが今日、曹洞宗寺院で地蔵を祀るところは多い。金沢大学の清水邦彦准教授が中世曹洞宗寺院が地蔵信仰を受容した様相を考察。



〈業〉とは何か 平岡聡著 筑摩書房 1600円
副題は「行為と道徳の仏教思想史」。自業自得、業が深い、など自己責任論や道徳的な意味で使われがちな「業」。仏教思想から歴史と論理を読み解く。



新編 十三仏の由来 廣安恭壽著 国書刊行会 4600円
初七日から三十三回忌まで追善供養にちなむ十三仏信仰。明治時代に真言宗の学僧が、各仏の由来と姿、お経と真言、誓願と功徳についてまとめた解説書を現代仮名づかいに改めて復刊。



回峰行と修験道 楠淳證編 法藏館 1300円
現代に受け継がれる回峰行と修験道の実態を、宮城泰年・聖護院門跡、光永覚道・北嶺大行満大阿闍梨、淺田正博・龍谷大学名誉教授が明らかにする。



戦国と宗教 神田千里著 岩波書店 820円
戦国の乱世、人々は心の安寧をどこに求めたのか。大名の戦勝祈願、一向一揆に見られる庶民の本願寺信仰、キリスト教との邂逅など、信仰の諸相が「天道」を鍵に読み解かれる。新書判。



浄土真宗のすくい 芦屋仏教会館編 自照社出版 800円
浄土真宗の布教使、念仏者三人(澤田秀丸、松田正典、天岸淨圓)が、他力の信心・本願の念仏・現生正定聚をキーワードに救いの道について語る。



随縁つらつら対談 釈徹宗著 本願寺出版社 1400円
比較宗教学者でもある本願寺派住職と、ジャーナリストや漫画家など多様な職種の13人(池上彰、井上雄彦、みうらじゅん、香山リカ他)の対談集。



つながる仏教 松原信樹他編 ポプラ社 800円
超宗派僧侶による悩み相談サイトの開設や、英語による仏教伝道、各種仏教イベントの開催など、様々に活躍する若手僧侶たちが座談会形式で仏教の魅力と課題について語る。新書判。



護良親王 新井孝重著 ミネルヴァ書房 3500円
護良親王は後醍醐天皇の息子にして天台座主。鎌倉倒幕に奔走しながらも、父帝からの冷遇、失脚の憂き目に遇った人生が新たな史料読解から描かれる。



悟らなくたって、いいじゃないか 幻冬舎 800円
日本人でタイ上座部仏教僧侶のプラユキ・ナラテボー師とテーラワーダ仏教研究者の魚川祐司氏による「普通の人のための仏教・瞑想入門」。新書判。



ブッディスト・エコロジー 竹村牧男著 ノンブル社 3000円
「共生・環境・いのちの思想」が副題。仏教思想から現代の環境問題や生命観を捉える。「自然との共生と日本の思想」「仏教に基づく生活指針」他。



宮澤賢治と法華経宇宙 渡邊寶陽著 大法輪閣 1700円
詩人で童話作家の宮澤賢治の思想と生涯を貫いた法華経の世界とはどのようなものだったか。立正大学元学長が作品から理想、願い、死生観を読む。



心のほぐし絵 おつかれさま 牧宥恵著 日貿出版社 2000円
和歌山の新義真言宗総本山根来寺の僧侶が、東京・浅草寺が発行する冊子に連載した仏画とエッセイを一冊にまとめたもの。外国人向けに英訳も付す。



雲の上は青空じゃ 荒了寛絵・文 里文出版 1800円
白隠禅師の『坐禅和讃』と法語から選んだ『戒語抄』を、福島県生まれの天台宗米国ハワイ開教総長が、ユーモラスな自作の仏画と共に説いた法話集。



心をつよくする禅語 山川宗玄著 リベラル社 1200円
子供向けの修行シリーズ本。岐阜の臨済宗妙心寺派正眼僧堂師家が人として生きていくための禅語を説く。「人と会ったときは? 一期一会」など。



香薬師像の右手失われたみほとけの行方 貴田正子著 講談社 1600円
奈良・新薬師寺の香薬師立像は白鳳の最高傑作といわれたが三度盗難に遭い行方不明になる。元新聞記者が仏像の右手を探し当てるノンフィクション。





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