[『月刊住職』 2017年3月号より転載]

寺社縁起の形成と展開 久下正史著 岩田書院 8000円
寺社縁起の形成・展開・伝播について有馬温泉寺縁起と西国三十三所巡礼開創縁起を題材として考察すると共に、語り手である聖や勧進僧などの活動に注目し、縁起の広がりを明らかにする。



現代語訳 蓮華面経 仁科龍著 雄山閣 1800円
『蓮華面経』は、釈尊最期の時、仏滅後の未来世界を描写した経典。アショーカ王の仏塔建立、破戒の比丘・比丘尼の登場など末法史観と未来仏思想が説かれた同経典を現代語に翻訳する。



永観『往生講式』の研究 五十嵐隆幸著 思文閣出版 2500円
法会・講会を行う儀式次第「講式」。永観『往生講式』の鎌倉後期から室町初期の写本である善福寺蔵本『往生講私記』の影印をカラーで掲載すると共に、現代語訳なども付して解説する。



聖典セミナー 選択本願念仏集 浅井成海著 本願寺出版社 2800円
念仏こそ往生の肝要であることを明らかにした法然の『選択本願念仏集』。従来の念仏理解を打ち破り、平等往生の道を開いた同書の真髄を、法然研究の第一人者だった著者が解き明かす。



智慧の潮 ケネス・タナカ編著 武蔵野大学出版会 3000円
親鸞思想の本質を智慧・主体性・社会性の3点に焦点をあて研究者13名が多様な見解を論述した論考集。「親鸞における『智慧』の構造の原点」他。



仏教の大意 鈴木大拙著 KADOKAWA 600円
知性や理性では到達し得ない世界こそが仏教の精髄とつながっている。キリスト教的概念や華厳仏教の視点を交えながら、実践学としての仏教と霊性論の本質論を説いた講義録。文庫判。



落語に花咲く仏教 釈徹宗著 朝日新聞出版 1400円
仏教から生まれた落語だからこそ、仏教を知るともっと楽しめる。比較宗教学者でもある浄土真宗本願寺派住職が宗派仏教と落語の演目を読み解く。



お寺さん崩壊 水月昭道著 新潮社 760円
僧侶派遣ビジネスが注目されるなど時代の変化で厳しい状況に置かれているお寺の実態を浄土真宗本願寺派住職である著者が明らかにする。新書判。



古都税の証言 京都仏教会編 丸善プラネット 1800円
京都の寺院に激震を走らせた古都税論争。拝観者への課税に京都仏教会は憲法の信教自由規定を根拠に反対運動を展開した。関係者の証言からの総括。



ニューロンで解く心の苦しみと安らぎ 東京電機大学出版局 2900円
著者は、東京電機大学工学部の松本隆男教授。副題は「脳科学と仏教の接点」。心の苦しみが生まれるメカニズムの妥当性を、心理学実験結果と仏教思想とを対比させながら検証している。



わたしの坐禅 白隠禅師坐禅和讃 細川晋輔著 青幻舎 600円
NHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』の禅宗指導も担う東京・臨済宗妙心寺派住職が、坐禅の実践と思想をイラスト付きで紹介。ポケットサイズ。



世界宗教の経済倫理 M・ウェーバー著 日経BP社 1800円
歴史を動かす起動力を、仏教、キリスト教など宗教の経済倫理と担い手の社会層から比較宗教の手法で考察、類型化した名著の邦訳。翻訳は中山元。



世界の裏側がわかる宗教集中講座 井沢元彦著 徳間書店 900円
ISのテロ、イギリスのEU離脱、アメリカの新大統領など激動の世界情勢を読み解くには宗教理解が欠かせない。各宗教を知る入門講座。文庫判。



平田篤胤 霊魂のゆくえ 吉田真樹著 講談社 1080円
人間は死んだらどうなるか。江戸時代、この問題を追究した思想家、平田篤胤。主要著作『霊の真柱』『新鬼神論』『出定笑語』からその哲学に迫る。



仏像とお寺の解剖図鑑 スタジオワーク著 エクスナレッジ 1600円
なぜ人はお寺に行くと心癒されるのか。伽藍や仏像に込められた意図や、その決まり事に焦点をあて、お寺の拝観をサポートする図解入りの入門書。



石塔調べのコツとツボ 藤澤典彦他著 高志書院 2500円
お寺にも年代不明の石塔は多い。石塔の時代が分かるポイント、見方、測り方、拓本の採り方、撮影方法、楽しみ方のコツを図と写真入りで紹介する。



空海に出会った精神科医 保坂隆著 大法輪閣 1800円
著者は東京・聖路加国際病院の精神科医。空海の生き方に現代のうつ・いじめ・自殺・SNS依存などを解決するヒントがあるとして関連性を説く。



世界遺産熊野古道と紀伊山地の霊場 ブックエンド 1800円
千年以上にわたって日本人の精神・文化に影響を与えた紀伊の三霊場。その全貌と自然を守る地域の活動などを写真と共に紹介。五十嵐敬喜他編著。





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