[『月刊住職』 2017年7月号より転載]
アジア仏教美術論集 東アジアⅠ 中央公論美術出版 5800円
アジアの仏教美術研究の最新成果と将来の展望を示す全12巻本の東アジア編。インドに興った仏教が中国でどのように受容されたのか。多彩な「仏のかたち」を浮き彫りにする論考集。
三教指帰と空海 偽撰の文章論 河内昭圓著 法藏館 2300円
空海が24歳の時に著した『聾瞽指帰』を自ら改稿したものと伝えられる『三教指帰』だが、同書は別人による偽撰だった? 中国文学研究者が、『三教指帰』を新たな視点で読み解く。
日本的時空観の形成 吉川真司・倉本一宏編 思文閣出版 12500円
古代から中世にかけて形作られた日本における古典的・伝統的な時空観。自然環境、中国、朝鮮半島から伝わった文化、政治、仏教の影響など多角的な視点から形成のプロセスを分析する。
徳一と勝常寺 白岩孝一著 歴史春秋社 2700円
奈良、京都、鎌倉、平泉と並び五大仏都の一つといわれた会津。その礎を築いた平安時代の徳一上人の謎に包まれた実像に、『日本後紀』などの史書や当時の仏教、開基の勝常寺研究から迫る。
近現代仏教の歴史 吉田久一著 筑摩書房 1300円
近世幕藩体制下の仏教、明治維新、戦中戦後、そして20世紀末のオウム真理教まで社会史・政治史と絡めながら日本仏教を追った労作の文庫本化。
人口減少時代の宗教文化論 櫻井義秀著 北海道大学出版会 2600円
過疎化や個人化で地域や家族が変わりゆく中、人の記憶をつなぐ寺社、教会は社会や現代人とどう向き合うべきか。著者の本誌連載中の「現代日本の宗教最前線」に書き下ろしを加えて単行本化。
お坊さんのいる病院 あそかビハーラ病院編 自照社出版 1200円
「あそかビハーラ病院の緩和ケア」が副題。平成20年設立の仏教精神を理念とした国内初の独立型緩和ケア型病棟、あそかビハーラ病院の実践録。
宮本常一 日本の葬儀と墓 宮本常一著 八坂書房 2600円
地縁の希薄化などで全国一律化する葬送事情だが、かつては各地で多様な送り方があった。死者の取り扱いから埋葬地、墓地と墓石の起源、地蔵盆など人生の最期の行事が紹介されている。
良寛詩歌集「どん底目線」で生きる 中野東禅著 NHK出版 1000円
名主の家に生まれながら、すべてを捨てて僧侶になった良寛。その生涯と作品を紹介すると共に、敬愛していた道元との思想史的関係についても考察。
人として生きる 酒井圓弘著 ゆいぽおと 1200円
悩み相談やワークショップにお寺を開放し、境内に人工のお滝場を作るなどユニークな布教で知られる愛知県の天台宗住職による実践に基づいた法話集。
ためない生き方 A・スマナサーラ著 SBクリエイティブ 800円
怒りや悲しみ、苦しみといった負の感情をためこまないためにはどうすればよいのか。スリランカ初期仏教長老が心との向き合い方を説く法話集。
〈ものまね〉の歴史 石井公成著 吉川弘文館 1800円
能・狂言・歌舞伎・落語など様々な芸能や文学の底流となってきた、ものまね芸。その源流と展開の歴史を仏教芸能との関わりから明らかにする。
日本の新宗教50 別冊宝島編集部編 宝島社 900円
副題は「完全パワーランキング 人脈力・資金力・政治力を全比較」。創価学会、幸福の科学、真如苑など国内の主だった新宗教教団の歴史と現状検証。
えてこでもかける笑い飯哲夫訳般若心経 ヨシモトブックス 1300円
仏教好きとしても知られる奈良県出身の吉本芸人、笑い飯哲夫が『般若心経』について、ユニークなオリジナルの私訳を施した。巻末に写経帖付き。
お東さんのぬりえブック 東本願寺出版 1300円
本山に親しんでほしいと、京都・東本願寺の境内伽藍(御影堂、阿弥陀堂、御影堂門、真宗本廟、渉成園の印月池など)の11場面の塗り絵ブック。
おしゃかさま 本間正樹作・たかすかずみ絵 佼成出版社 1204円
お釈迦様の誕生から出家、悟り、寂滅までの歩みを子供向けにA4判サイズ、全32頁でかわいらしい絵と文で描いた絵本。対象年齢は3歳から。
葬儀業のエスノグラフィ 田中大介著 東京大学出版会 5200円
インターネットで葬儀社を選ぶような現代。変貌する葬儀業界の様相、さらに「現代の死」をめぐる儀礼について、人類学的アプローチから考察する。
税理士の坊さんが書いた宗教法人の税務と会計入門 国書刊行会 2200円
著者は東京国税局の元マルサで税理士の僧侶、上田二郎師。宗教法人の税務の基礎知識から、帳簿の付け方、年末調整の方法や会計管理までを解説。
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