[『月刊住職』 2018年4月号より転載]

日本禅宗における追善供養の展開 国書刊行会 12000円
徳野崇行著 民衆教化としての死者供養に着目し、飛鳥・白鳳時代の銘文から、近世・明治期の曹洞宗の行事規範までを辿ることで、禅宗の追善供養の展開を浮き彫りにした研究論考。



俗化する宗教表象と明治時代 三弥井書店 2800円
堤邦彦・鈴木堅弘編 近代の寺社縁起にはいかなる特徴があるのか。怪異に変容する仏教説話や参詣者への土産物、八つ橋などゆかりの銘菓といった寺社にまつわる宗教文化から考察される。



中世の喫茶文化 橋本素子著 吉川弘文館 1700円
 「儀礼の茶から『茶の湯』へ」が副題。茶と禅の関係は知られるが、喫茶文化を広めたのは南都六宗と平安二宗の寺院が中心だった? 生産・流通・消費を軸に日本の喫茶文化が捉え直される。



日本仏教を捉え直す 放送大学教育振興会 3000円
末木文美士他編著 放送大学のテキストでもある。日本仏教の最新の研究成果をふまえ、思想の読み直しとともに、現代につながる問題が考察される。



仏教英書伝道のあけぼの 中西直樹他編著 法藏館 6500円
近代の日本仏教はいかに異文化と向き合ったか。十九世紀後半に始まった海外仏教伝道活動の様相を、真宗教団を中心に当時、先駆的に出版された仏教英書四点の復刻に解説を付して紹介。



禅仏教入門 鈴木大拙著・増原良彦訳 中央公論新社 1600円
禅とは何か、禅とは虚無か。日本を代表する仏教学者、鈴木大拙が欧米に向けて英語で著した作品を、新たな解説を付けて半世紀ぶりに校訂。新書判。



〈死者/生者〉論 鈴木岩弓他編 ぺりかん社 3200円
東日本大震災の犠牲者遺族に向き合ってきた僧侶や研究者が、死者と生者の関係を再確認し、声にならない声に耳を傾ける技術と理論を説いた論集。「死者の記憶に向き合う宗教者」他。



親鸞から蓮如へ 池田勇諦著 東本願寺出版 750円
本願寺中興の蓮如。変革期に生きる民衆の心をつかんだ文書伝道『御文』の精神を読み解き、現代の真宗教団の礎を築いた思想的歩みに迫る。文庫判。



ビハーラ入門 友久久雄他編 本願寺出版社 1800円
仏教と医療分野を結ぶビハーラ活動に携わってきた僧侶や専門家が、理論と実践を実例を交えて紹介する入門書。「釈尊の実践と現代のビハーラ」など。



囚われた若き僧 峯尾節堂 田中伸尚著 岩波書店 2100円
峯尾節堂(1885-1919)は臨済宗の僧侶。社会主義者らの会合に出席したことで大逆事件に巻き込まれ、獄中死した青年僧の生と死を、「共謀罪」が成立した現在の日本社会に問う。



〈大逆事件〉と禅僧内山愚童の抵抗 眞田芳憲著 佼成出版社 2000円
大逆事件に連座し幸徳秋水らと共に刑死した曹洞宗僧侶、内山愚童(1874-1911)。宗教的倫理に着目し、宗内における名誉回復までが描かれる。



良寛 軽やかな生き方 境野勝悟著 三笠書房 630円
現代も多くに親しまれる江戸時代の僧侶、良寛の考え方・暮らし方・生き方を「あらゆる悩みが消えていく」姿として臨済宗円覚寺派僧侶が紹介している。



めんどうな心が楽になる 牧野出版 1400円
臨済宗建長寺派の住職や副住職五人(永井宗直、笠龍桂、小澤大吾、川野泰周、松本隆行)が自らの経験を交えて説く生き方指南集。聞き手・大竹稽。



うつが逃げだす禅の知恵 千葉公慈著 河出書房新社 1200円
副題は「『私』を取りもどせる教えと実践」。ままならぬ現実とどう向き合うか。千葉県の曹洞宗住職が、禅の教えから身心を調える法をやさしく説く。



「霊魂」を探して 鵜飼秀徳著 KADOKAWA 1600円
葬儀や墓をめぐる昨今の状況と日本人の霊魂観の関係を都市伝説や僧侶への霊魂観アンケート、イタコなど様々なフィールド取材から考察したルポ。



葬儀・法要・お墓・仏壇のすべて 主婦の友社 1400円
「お坊さんがイチから教える!」として、仏教の基礎知識、通夜葬儀、法要・納骨、仏壇の選び方の基本を伝える。現代の葬儀を考える僧侶の会監修。



ぶっカフェ! 小林ロク著 星海社 640円
真言宗、臨済宗、浄土真宗の宗派の異なる僧侶らが働くカフェを舞台に、仏教の行事を親しみやすく描いた青春コミック漫画。第二巻まで刊行されている。



創価学会秘史 高橋篤史著 講談社 1800円
長らく政権与党の公明党を支え、公称800万世帯の信者を抱える創価学会。巨大宗教教団の歴史に迫るノンフィクション。「特高警察と思想検事」など。





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