[『月刊住職』 2018年5月号より転載]

京都永観堂禅林寺史 五十嵐隆明著 法藏館 8000円
紅葉や見返り阿弥陀で知られる浄土宗西山禅林寺派総本山禅林寺が今日あるのはなぜか。創建から明治の廃仏毀釈、福祉事業、戦前戦後までを元管長が豊富な史料と逸話から語り尽くす。



霊山信仰の地域的展開 松崎憲三他編 岩田書院 7000円
古より人々は霊山に何を求めてきたのか。死者供養と地蔵信仰で知られる代表的な霊山と、生駒山や高尾山などの都市近郊の霊山を対象に、里の関連宗教施設の調査と共に分析した研究書。



全品現代語訳 法華経 大角修訳・解説 KADOKAWA 1200円
「諸経の王」と呼ばれる『法華経』。無量義経・妙法蓮華経・観普賢経の全10巻32品をすべて現代語訳し、初心者にも読みやすくしている。文庫判。



禅のこころを描く 白隠 芳澤勝弘他著 新潮社 1600円
臨済宗中興の祖、白隠が庶民に仏の心を伝えようと描いたダルマや布袋などのユーモラスな禅画は一万点以上に上る。その作品に込められた思想を美術史家、漫画家、書家などが案内する。



釈伝空海 上下巻 西宮紘著 藤原書店 計8400円
空海の生地は讃岐国ではなく奈良だった? 謎に包まれた空海の生涯を、著作と膨大な関連資料を読み解くことで新たな視点から描いた宗祖の評伝。



人生の帰趣 山崎弁栄著・藤堂俊英注解他 岩波書店 1260円
大正時代に光明主義運動を提唱し、独自の布教で浄土宗の近代化を図った山崎弁栄(1859~1920)。その代表作に注解、解説を付して文庫化。



墓石が語る江戸時代 関根達人著 吉川弘文館 1800円
江戸時代の墓石には、墓標以上の情報がある。墓地のフィールドワークから歴史災害、身分制社会のあり方、家族像、人や物の交流史が読み解かれる。



動く墓 越智郁乃著 森話社 4200円
「家より先に墓を建てろ」と言われる沖縄。だが先の大戦以降、人々を取り巻く政治や社会状況が祖先祭祀にも変化を及ぼしている。お墓の移動から沖縄の祭祀の変容に迫った研究論考。



日本鎮魂考 岩田重則著 青土社 3200円
日本人は死をどう受け止め、いかに弔ってきたのか。靖国問題、明治政府新造の人格神、戦争犠牲者や地域における「英霊」の記憶など様々な弔いの形が、社会学の視点から描き出される。



現代社会における聖と俗 飯田剛史著 国書刊行会 4600円
社会学者、E・デュルケムの理論から、米同時多発テロ以降の社会を考察すると共に、大本教、生駒山地の宗教習俗、在日コリアン社会の宗教状況など幅広く現代の聖と俗に迫る研究論考。



マインドフルネス・レクチャー 玄侑宗久他著 金剛出版 2200円
禅仏教と西洋の現代医療を結びつけるマインドフルネスの普及に努めてきた医師と、作家でもある臨済宗妙心寺派住職が理論と実践を語った講演録。



奇跡の四国遍路 黛まどか著 中央公論新社 820円
総行程千四百キロに及ぶ四国八十八カ所の札所を廻った俳人が、俳句と共に綴る遍路日記。情報学者・西垣通との巡礼問答も収載している。新書判。



60歳からヘタれない生き方 有馬賴底著 幻冬舎 1200円
副題は「人は裸で生まれ、裸で死んでいく」。臨済宗相国寺派管長が自らの歩みを振り返りながら説く禅の行動論。「両親の離婚で訪れた逆境」など。



流罪の日本史 渡邊大門著 筑摩書房 860円
死刑に次ぐ流罪は罪状や時代ごとに流される場所が細かく規定されていた。親鸞や日?の法難などの史実から刑罰観の変遷が浮き彫りにされる。新書判。



3・11霊性に抱かれて 新曜社 1800円
東北学院大学震災の記録プロジェクト金菱清ゼミナールによる東日本大震災記録。宗教者の活動や震災遺族、原発事故の被害者遺族の思いが綴られる。



宗教と科学の対話 高野山大学編 企業開発センター 1600円
日本を代表する宗教家と科学者が、平成24年から28年にかけて高野山大学で行った講演集第2弾。「仏教と科学」「日本人の信仰心」など。



大きくてよくわかる京都の御朱印 梓結実著 淡交社 1200円
御朱印ブームが続いている。期間限定のレア物や各宗派の教えにふれられるもの、季節感あふれる御朱印など京都のお寺で拝受できる御朱印ガイド。



神仏に抱かれた作家 中勘助 木内英実著 三弥井書店 3000円
代表作『銀の匙』で知られる作家の真髄は、実はインド三部作といわれる『提婆達多』『犬』『菩提樹の蔭』にあるという。作品に込めた思想に迫る。





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