[『月刊住職』 2018年10月号より転載]

ランカーに入る 常盤義伸著 禅文化研究所 10000円
初期禅宗では所依の経典とされ、達磨大師も重視した大乗仏教経典『楞伽経』4巻本。インド洋のランカー島から持ち帰られた梵語原本を現存の漢訳写本から復元し、邦訳を定稿した労作。



永平寺史料全書 文書編2 吉川弘文館 28000円
永平寺史料全書編纂委員会が、道元禅師の時代からの歴史資料の全てを写真図版に解説・読み下し文を付して編年順に収める文書編の第2巻の刊行。第2巻は江戸時代の132点を収録。



吉津宜英著作集 第1巻 臨川書店 15000円
南北朝隋唐時代のとりわけ華厳思想における画期的論文を発表した泰斗を偲び、東アジア仏教研究に様々に問題提起した著作群を全4巻本で刊行。第1巻は「浄影寺慧遠の思想史的研究」。



鳥海山修験 神田より子著 岩田書院 7200円
副題は「山麓の生活と信仰」。鳥海山は、登山ルートごとに5地区の信仰圏に分かれる。各地区の独自性と共通点が史料と実地調査から明らかにされる。



大乗非仏説をこえて 大竹晋著 国書刊行会 2200円
 大乗仏教は何のためにあるのか」が副題。上座部仏教(テーラワーダ仏教)が関心を持たれる現代に、原始仏教・部派仏教とは異なる大乗仏教の存在意義を打ち出す若手研究者の論考。



初期仏教 ブッダの思想をたどる 馬場紀寿著 岩波書店 840円
なぜ古代インドで、自己と生を問い直し、あるべき社会を構想する仏教が生まれたのか。最新の研究成果をふまえて、「はじまりの仏教」が辿られる。



現代語唯信鈔文意 親鸞仏教センター訳・解説 朝日新聞出版 2500円
聖覚の『唯信鈔』に親鸞が注釈を加えた『唯信鈔文意』。同書に込められた親鸞の思想を真宗大谷派の親鸞仏教センターが現代語訳と共に解説を加える。



やさしく読む参同契・宝鏡三昧 椎名宏雄著 大法輪閣 1800円
曹洞宗寺院の勤行で読まれる『参同契』『宝鏡三昧』を、千葉県の曹洞宗住職が、語句解説にとどまらず、偈頌の作品として歴史・思想的背景、必然性も視野に入れて分かりやすく説く。



なぜ今、仏教なのか ロバート・ライト著 早川書房 1800円
瞑想やマインドフルネスが注目される米国。同国の著名科学ジャーナリストが、進化心理学や認知科学などの知見を通じ仏教を論じる。熊谷淳子訳。



天皇と宗教 小倉慈司・山口輝臣著 講談社 1260円
シリーズ「天皇の歴史」第9巻は、天皇と宗教についての歴史が辿られる。大和王権から、仏法に玉体護持を託した平安時代、明治維新を経て現代に至る天皇の宗教と信仰の受容史。文庫判。



親鸞への接近 四方田犬彦著 工作舎 3000円
人間の巨大な悪を前にした時、立ち現れたのは親鸞の思想だったという。三木清、三國連太郎、吉本隆明をも通じ、独自の視点から親鸞の意義を問う。



ネットカルマ 佐々木閑著 KADOKAWA 800円
自らの行動から報いを受けることを仏教は業というが、インターネットの出現で新たな苦が生まれている。仏教研究者がネット時代の苦の克服を説く。



運命とうまく付き合うレッスン 小池龍之介著 清流出版 1300円
起きることは起きる、起きないことは起きない。ストレス社会に生きる現代人に、運命に抗わず、あるがままに生きることが安らぎの道と説く法話集。



私と世界を幸福で満たす食べ方・生き方 サンガ 2200円
副題は「仏教とハーバード大学が勧めるマインドフルネス」。仏教思想の実践と現代栄養学からの仏教的生き方指南書。ティク・ナット・ハン他著。



日本型資本主義 寺西重郎著 中央公論新社 880円
近江商人の三方よし等、日本の経済は古より独自の倫理観で成り立ってきた。「仏教が支えた資本主義の精神」など日本型資本主義が見直される。



寺と仏像手帳 土門拳著 東京書籍 1600円
戦後日本を代表する写真家が、日本各地の52カ寺と仏像71体を写真と名文で紹介したものに、専門家による各寺の解説を加えたガイドブック。



宗教の羅針盤 西川義光著 海青社 1389円
世界各地に伝わる様々な宗教を「神仏と自己の関係に注目し教義構造を図式化」することで、その特徴を分かりやすく解説する宗教入門。日英対訳付。



実務がわかる宗教法人会計・税務 ゆびすい編著 出版文化社 1800円
文化庁主催の宗教法人実務研修会の講師が宗教法人の会計、税務の基礎知識から行政手続きの実践まで平易に解説する手引書。付録に各種書類様式例。





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