[『月刊住職』 2018年11月号より転載]

極楽浄土念仏往生論 宇野弘之著 山喜房佛書林 3000円
小乗仏教を学び、のちに大乗に転向して唯識思想を確立した唯識派三大論師の一人、世親の『浄土論』の和訳解説。念仏往生願生浄土信仰告白書として七高祖の法灯の流れも視野に入れる。



近世金毘羅信仰の展開 北川央著 岩田書院 2800円
金毘羅宮といえば香川が有名だが、金毘羅信仰が全国展開したのは近世に入ってからという。関西地方を中心に西国巡礼など寺院との関係や、参詣ルートから信仰の実態が明らかにされる。



雑賀一向一揆と紀伊真宗 武内善信著 法藏館 9000円
織田信長に抗して紀伊の雑賀門徒たちが立ち上がったとされる雑賀一揆だが、その実は一向一揆ではなかったと著者は言う。雑賀一揆における真宗勢力の位置づけや石山合戦の動向を考察。



律から密へ晩年の慈雲尊者 秋山学著 春風社 5500円
在家者のために十善の法を説き、梵語研究者の先駆者でもあった江戸時代の真言宗僧侶、慈雲尊者。近年発見された直筆本『法華陀羅尼略解』の研究を織り込んだその生涯と教えの解説。



反戦僧侶・植木徹誠の不退不転 大東仁著 風媒社 1400円
俳優の植木等の父親で、三重県伊勢市の住職だった植木徹誠(1895―1978)の破天荒かつ反戦平和を貫いた生涯を、真宗大谷派住職が辿る。



じゃあまたね 彼岸と此岸 森重一成著 探究社 200円
著者は中国新聞文化センターで仏教講座を約30年間務めた広島の浄土真宗本願寺派養専寺住職。末期がんの告知を受けたあとに綴った最後の法話集。



禅僧と神父の軽やかな対話 西村惠信・越前喜六著 大法輪閣 1800円
40年にわたる親交を持つ臨済宗妙心寺派僧侶とカトリック神父が「出家の動機」「無神論と有神論」「幸福とは何か」など多様な視点から語り合う。



「精神科医の禅僧」が教える心と身体の正しい休め方 Discover21 1500円
精神科医でもある臨済宗建長寺派林香寺の川野泰周住職が、科学的知見と禅思想から、疲労を取り除きパフォーマンスを改善する41の方法を指南する。「『脳の疲れ』の正体とは?」他。



「マインドフルネス×禅」であなたの雑念はすっきり消える 集英社 1800円
著者は曹洞宗僧侶を経て、テーラワーダ仏教の比丘となった山下良道師。禅とマインドフルネスの世界と共通点が語られる。「涅槃を観る者」など。



「墓じまい」の結末 森下瑞堂著 現代書林 1300円
元ジャーナリストの本山修験宗住職が、昨今注目される「墓じまい」に警鐘を鳴らし、先祖供養の重要性を伝える。「五歳で死別した母親の供養」他。



現代日本の宗教事情 国内編Ⅰ 堀江宗正編 岩波書店 2300円
全4巻のシリーズ本「いま宗教に向きあう」の第一巻は、現代日本の宗教動向を人口減少における寺社、個人化する葬送、スピリチュアリティと社会、在留外国人との関係などから捉える。



仏さまが導く心が楽になる生き方 川村妙慶著 三笠書房 1200円
ネットを通じた悩み相談の草分けで、アナウンサーとしても活躍する真宗大谷派僧侶が、人間関係や老いなど生活の身近な課題を題材に仏の教えを説く。



阿弥陀さまは人生舞台のセーフティネットです 考古堂書店 1000円
著者は新潟市の真宗佛光寺派瑞林寺の廣澤憲隆前住職。同地で育まれてきた真宗門徒の信仰と聞法にひたむきな姿がこれまでの来し方と共に綴られる。



日本宗教史のキーワード 大谷栄一他編著 慶應義塾大学出版会 2900円
「近代主義を超えて」が副題。聖なるもの、実践、担い手など日本宗教史をキーワードから捉え宗教そのものを浮かび上がらせる論考集。「遠忌」他。



宗教と生命 激動する世界と宗教 KADOKAWA 1700円
AI時代の宗教を識者・研究者の5人(池上彰・佐藤優・松岡正剛・安藤泰至・山川宏)が語った講演録。「宗教はAI時代に誰の心を救うのか」他。



闇の日本美術 山本聡美著 筑摩書房 880円
地獄、鬼と怪異、病、死、断罪など日本の古代・中世の絵画には生老病死の苦を描いたものが多い。中世絵画史研究者が日本人の死生観を読み解く。



美しき日本の仏教版画 内田啓一著 大和プレス 2000円
「すりうつしまいらせるほとけ」が副題。お札など、古来より日本人の身近にあった仏教版画。造形美や魅力、版画の役割を時代の展開と共に解説。



古代建築専制王権と世界宗教の時代 中川武編 丸善出版 3200円
ピラミッドや仏教寺院など地中海から東アジアにおよぶ古代文明と宗教建築の変遷を辿り、建築造形から宗教、王権、建築の相互作用を解き明かす。





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